【誕生】
02
財宝を見つけた2人は、翌朝の朝刊に大きく掲載されていた。学校にも記者が押しかけ、学校中のヒーローになっていた。

だが、ニュースというのは、めでたい事ばかりではない。その日の夕刊には、奇妙な殺人事件が掲載されていた。

人が消える……。

被害者は皆、着ていた服だけを残し、姿を消しているとの事だ。


財宝を見つけて、一週間が経過した。
考古学者達は、洞窟にある鎧を回収しようと作業をしている。
だが、剣を回収する事が出来ない。
鎧に関しては、剣よりも回収が困難だった。
鎧は、人間の皮膚を溶かしてしまう程の熱を持っていたのだ。既に7人の作業員が、負傷している。


この晩、勇介は奈和の家に来ていた。呼び出されたのだ。
奈和の作った夕飯を貰っている勇介は、渡された書類に目を通していた。


「これ、何の書類?」


「あの鎧について、調べてみたの」


勇介の前にシチューを置くと、彼は嬉しそうにニコッとした。向かい側の椅子に座った奈和は、先に食べ始めた勇介に、調べた事を話し始めた。


「古代の文字でね。魔戒語って言うの」


「魔戒語かぁ」


シチューにしか興味がない勇介は、聞き流していた。勇介からスプーンを取り上げた奈和は、表情がむすっとしていた。


「あぁ〜食べてるのにぃ!」


「じゃあ、ちゃんと聞きなさい!」


幼馴染というより、姉弟。もしくは親子だ。
奈和からスプーンを返してもらった勇介は、ちゃんと話を聞く姿勢をとった。


「古代より、魔戒という場所で騎士と怪物が、闘いをしていたの」


【闘い】というワードを聞いた途端、大の特撮ファンである勇介は、興味を惹かれた。


「闘いって、どんな闘い!? 変身とかするの!?」


今度は、煩くなってしまった。
奈和は、ガミガミと質問をしてくる勇介の口に、箸で掴んだ里芋を突っ込んだ。


「静かに!」


「ふ、ふぁい」


奈和は、自分で調べた事を勇介に話続けた。

古代より存在する魔戒には、ホラーと呼ばれる魔獣が生息し、人々を襲い、その魂を食らっていた。そのホラーを狩るべく、立ち上がった者たちが居た。

それが、魔戒騎士。

ソウルメタルという物資で作られた剣と鎧を装備していた。


「その鎧と剣が、あの洞窟にあったの」


「へぇ〜」


それに関しては、興味がなさそうだった。


「……あんた、聞く気あんの?」


「シチューお代わりしてもいい?」


むすっとしながら立ち上がった奈和は、勇介からひったくるように皿を受け取り、鍋の元に向かった。
話を聞かない点については、腹が立っているのだが、シチューをお代わりした事に関しては、少し嬉しい。
複雑な気分だった。


「あれ? これはなに?」


勇介は、机の上に置いてある指輪のような物を手に取った。リングに小さな頭部が付いたスカルリングのような意匠だ。


「棺桶の中に入ってたの。調べようと思って、持ってきたんだ」


「ふぅーん」


それほど興味を示さない勇介は、指輪を置いた。

黄金騎士 ( 2014/07/01(火) 22:48 )