06
時間というものはすぐに過ぎ去ってしまうもので、あっという間に決戦の日になってしまった。決戦場所は生田さんの家。決戦場所は相手が指定したため、審査員は僕が指定した。僕が指定したのは毎年音楽祭に出席してくださっている僕の知り合いの音楽家の方だ。あの人なら公正な審査をしてくれるはずだ。
「緊張するよ……。」
玲奈はさっきからずっとこの調子だ。ガチガチに緊張している。見てるこっちが緊張するからそんなに緊張しないでくれよ……。え?僕は緊張しないのかって?玲奈を信じるからそもそも僕が緊張してたら駄目だからね。
「お嬢様がお待ちだ。急いでくれ。」
生田さんの執事の金谷に急かされて僕たちは屋敷の中へと入った。
「広すぎるよね……ここ……」
初めて入れば驚くのも無理はない広さだ。僕はもう慣れた。いや…無理矢理慣れさしたの方が正しいか。いちいち驚いていたらきりがない。
「お嬢様はこちらだ。」
案内されて入った部屋にはドレスを身にまとった生田さんがいた。そして審査をしてくれる音楽家の方もいた。
「ようやく来たね。じゃあ早速始めよっか!」
着いて早々始まるか……。玲奈は大丈夫だろうか…。僕はそっと玲奈の背中を擦る。
「大丈夫。玲奈ならきっと大丈夫。」