第1章
01
弾いてちょうだい。あなたの音が聞きたいのよ。お願い、奏人。弾いて……


ガバッ


「はぁはぁ…。夢か…。それもそうか。母さんはもういないんだから…。」
なんでこんな夢を入学式に見るんだろ。はぁ…、学校休もうかな…。どうせ行きたくもない学校に入学したんだし…。
愛知の入試制度のせいだよ、まったく。いい公立に入るのになんで内申なんかがいるんだか…。副教科オール1、五教科のオール5の人間が落ちて、副教科美人、五教科そこそこの人間が受かるのだろうか。まったく意味がわからない。
こんなことを言うと、私立に行けばいいだろうと言う人間がいるが、年の離れた姉と二人で暮らしているため私立に通うお金などない。家計に迷惑はかけられない。だから行きたくもない公立に通うのだ。

「奏人ー!今日、入学式だよ!」
下から姉の声がする。

「わかってるって。」
適当に返事をして自室を後にした。

■筆者メッセージ
不定期といいつつ早速更新しました(笑)
主人公の名前と姉は追々わかっていくのでご安心を。

次回は早いかもしれないですし、遅いかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
ハヤブサ ( 2014/02/16(日) 21:19 )