十八話
数日たったある日、陽人は絵梨花と一緒に授業を受けていた。真面目にノートをとる絵梨花とは対照的に、陽人は机に突っ伏して寝ていた。授業の終わりを告げるチャイムと同時に陽人は目を覚ました。
「ふぁ〜よく寝た」
「気持ちよさそうに寝てたね。昨日寝てないの?」
「昨日家に飛鳥が泊まりに来てて、日芽香と飛鳥と朝の4時までゲームしてた」
「仲良いね」
「絵梨花は兄妹とかいないの?」
「お姉ちゃんがいる。でも陽人のとこみたいには仲良くはないかな」
「そうなのか。とりあえず、昼飯食べに行くか」
筆記用具などを鞄にしまって講義室をあとにし、食堂へと向かった。昼休みということもあり、食堂は多くの人でにぎわっていた。陽人は絵梨花は昼食を購入し、席を探していると、見たことある顔がイヤホンをし、一人でいたので、その人物の元へと向った。後ろから近づきイヤホンをはずし、「わっ!」と驚かしてみた。
「びっくりした!なんだ陽人か」
その人物は後ろ振り返り陽人を睨んだ。
「飛鳥ここ空いてる?」
「空いてるけど…。おどろかさないでよね!」
「ごめんごめん」
陽人と絵梨花は飛鳥と同じテーブルで昼食を取り始めた。
「そういえば一人?日芽香は?」
「さっき授業違ったし、他の友達と食べてるんじゃない」
「飛鳥は友達と食べないのか?まぁ飛鳥のその性格じゃ友達つくるのも難しいか笑」
「そうかもね。ごちそうさま」
飛鳥はそう言って立ち上がって、食器の乗ったトレーを片付けに行ってしまった。
「ごめん絵梨花。冗談のつもりが飛鳥怒らしたみたい」
「謝りにいかなくていいの?」
「まぁいつものことだからいいかな」
「だめだよ。大事な幼馴染なんでしょ?ちゃんと謝ってきなさい!」
「わかった。いってくる!」
陽人はトレーを片付け、走って飛鳥を追いかけて行った。
「なにやってんだろ私…」
絵梨花の小さなつぶやきは、誰も気づくことはなかった。