一章
十一話
男が水をかけようとした瞬間、祐希は水をかけられることを悟り目をつぶる。バシャッ、水の音が聞こえる。しかし祐希には水が感覚が一つもない。恐る恐る目を開けると、陽人が祐希をかばって水をかけられていたのだった。

その光景に静まり返った店内。その中最初に声を発したのは陽人だった。

「祐希大丈夫か?水かかってないか?」

陽人は祐希の方へ振り返り、祐希の心配をする。

「大丈夫です…」

「ならよかった」

安堵の表情を浮かべる。そのあとすぐ男方へと向く。

「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので、お帰りいただいてもよろしいでしょうか?」

陽人がそう言うと、お店の他の客からの視線などをきにしたのか、

「こんな店二度とくるか!!」

男は捨て台詞をはいて店を後にした。

その後陽人は濡れた髪を少し拭いてから、各テーブルを回り、お騒がせしましたと謝罪しキッチンに戻って行った。

「設楽さんすみません。出過ぎた真似をして。お店の評判が落ちたりしたらおれの責任です」

「気にするな陽人。おれがちゃんと店長には後で伝えとくから」

「ありがとうございます」

その後、陽人はいつも通り働き、そしてバイトが終わった。陽人は着替えお店をでて帰ろうとすると・・・

「白石先輩!!!」

後ろから祐希が走ってきた。

「今日は私のせいで本当にすみませんでした」

深々と頭を下げる祐希。

「全然大丈夫だよ。気にすんな。それよりも与田に水かからなくてよかったわ」

「あのときはありがとうございました。先輩のことちょっとかっこいいなって思いました」

笑顔で陽人の方をみる祐希。祐希の笑顔に思わず見とれてしまった。

「お先に失礼します」

祐希はそのまま走って帰ってしまった。

「青春だな」

「設楽さん!?見てたんですか」

「流石イケメン君だわ笑」

「やめてくださいよ〜」

設楽にからかわれる陽人だった。



白夜 ( 2018/09/04(火) 17:49 )