<オムニバス> 大人気イメクラ店「slope」突撃リポート - 指名→「高本彩花さん」
湯けむりの中で
「んっ…んっ…」

 ズッ、チュッ…ジュル、ジュル…

 濃厚なキスが奏でる艶やかな濁音。
 三回目の来店も、これまで通り、すっかりゾッコンの高本彩花を指名し、シチュエーションは依然として女上司とその部下(新婚)による不倫。
 一回目は手違いによるツインルーム宿泊でNTR、二回目は社用車の中でカーセックスだったが、三回目の今夜は、地方出張in温泉旅館で、しかも、もはやそういうことをするためともいえるハナからの相部屋。



 精巧に造られた趣(おもむき)のある和室にて、用意万全に敷かれた布団の上で、寝間着の浴衣をはだけさせて抱き合う二人。
「んっ…んっ…ふふっ、すごい…♪今日は一段と大胆ね♪」
 と笑みを浮かべる彩花に対し、再度キスを仕掛け、もう一度、舌を絡める。
 一回目、二回目は、まだ自制を捨てきれない役を演じていたが、そろそろこちらも心置きなく…そんな気分だった。
「…きゃっ!」
 スレンダーな身体を布団に押し倒し、唇を顎、首筋へと下げていく。
「もぉっ…ダ、ダメよ。そんなに興奮しちゃ…んっ、はぁっ…」
 と、吐息を漏らしながら口にする彩花に対し、内心、
(フッ…何を今さら…)
 と鼻で笑う蔵夫。
 もはや、顔立ちや表情、立ち姿…その存在自体が蔵夫を誘惑しているようなもの。
 そこに、こんな男心をくすぐる隙だらけの浴衣姿を見せられては、いくら妻帯者という設定でもその気になってしまうに決まっている。
 ふいに、彩花の伸ばした指が、蔵夫の浴衣に潜り込み、乳首をなぞる。
「んんっ…!」
 と、思わず反応を見せる蔵夫だが、今日は一つ、心に決めていることがある。

(今回ばかりは主導権は渡さない…!)

 これまで、いわば小悪魔な女上司の誘惑と痴女プレイで弄ばれる生真面目な部下という役回りだったが、一度ぐらい、反撃してもいいだろう。
 返す刀で、こちらも浴衣に手を潜り込ませ、無防備な胸を揉んでやると、
「あっ、こ、こらぁっ…♪んんっ、あぁっ…♪」
「ふふっ…先輩、まだ気持ちよさそうですねぇ?」
「な、なに言ってんの…!からかうんじゃないの…♪」
「からかってませんよ?だって、ほら…!」
「あんっ♪んんっ♪」
 まだ半勃ち程度の乳首を摘まんで転がしてやりながら、
「可愛いですねぇ、先輩…♪」
「も、もぉっ…どうしたのよ、今日にかぎって…あぁっ、んっ、はぁっ…♪」
「もっともっと気持ちよくしてあげますよ…先輩」
 と、おもむろに浴衣を剥ぎ、可愛らしい乳房にむしゃぶりつく蔵夫。
「あんっ♪んんっ、蔵夫くんったら…♪あっ、ダ、ダメっ…♪んひゃぁっ…♪」
 と、逆襲に遭っても満更でもないような反応は巧みな演技か、それとも本気で感じているのか。
 レロレロと乳首に舌を絡めて気を引いている隙に、スルスルと帯を取り去り、浴衣を開く。
 改めて見惚れるスレンダーなボディライン、美脚…。
 その引き締まった太ももを撫で回しながらパンティも脱がせ、蔵夫を虜にした女体を丸裸にすると、
「やぁっ…♪」
「んん?今さら、なに恥ずかしがってるんですか?先輩…ほら…♪」
 と、綺麗に手入れをされた陰毛を掻き分けるように撫で、
「相変わらず、そそる身体ですねぇ…♪」
「も、もぉっ…♪あっ、んんっ…」
「さぁ、どんな具合か確かめさせてもらいますよ…!」
 意気揚々と、茂みを突っ切り、股ぐらに指を下げていく蔵夫。
 指先だけでも分かる湿っぽさ。
 そして、指の腹が熱い岩肌に触れた瞬間、ヌチャッ…と小さな音を立てて肉が開き、淫汁が滲み出てきた。
「あぁっ…♪」
「すごいですね、先輩…ヌレヌレですよ♪」
「い、言わないでよ…恥ずかしいじゃん…」
「ん〜?今まで散々、僕に恥ずかしい思いさせたのは誰でしたっけ〜?」

 クチャ、クチャ…♪

「あぁっ、こ、こらぁっ♪んひぃっ♪」
 湿った秘肉を指の腹で擦ってやると、それだけで彩花はピクピクといい反応を見せる。
 そして、慌ててその指を止めようと伸ばしてきた腕をスッと掴み取り、頭の上で押さえつけ、剥き出しになった美しい腋から横乳までをペロペロと舐め回す蔵夫。
「あぁっ、ダ、ダメだってばぁっ!んひゃぁっ♪わ、腋っ…!ひぃっ♪」
「さぁ、たっぷり奉仕させてもらいますよ。先輩♪」
 と、割れ目を弄りながらの女体リップで、彩花を悶絶させる。
 這い回る舌と自慢の指技。
 そんなダブル攻勢に、彩花も、これまでの小悪魔な態度から一変、
「んはぁっ、あぁっ♪す、すごいっ…♪んんっ、あっ、んんっ…♪」
 と、身を任せて感じまくり。
 すっかりメロメロになっている様子を見て、
(チャンス…!)
 と判断した蔵夫は、すかさず枕元に投げ出された彩花のケータイを手に取ると、彩花の左手薬指に目をやり、
「先輩…そういや、先輩も結婚されてますよねぇ?」
「んっ、んっ…えっ…?な、何で…?」
 と、ふいに我に返った様子の彩花に、
「旦那さんとは、普段、どんな感じで会話されてるんですか?聞かせてくださいよ、今から電話で」
 とケータイを突きつける蔵夫。
「え…で、電話…?な、なに言ってんの…で、できるワケないじゃん…」
 狼狽する彩花に、
「へぇ〜…♪今まで僕には電話を取らせたくせに、自分はしない…パワハラですよね?それ…♪」
「━━━」
 黙り込む彩花に対し、着信履歴を探って、
「…あっ、ありました。旦那さんの番号。はい、先輩…♪」
 と発信を押して無理やり手渡し、彩花の脚と脚の間に顔を入れ、スタンバイOKの蔵夫。
 観念したようにケータイを耳に当て、
「…あ、もしもし?あやだけど…今、何してる?」
 と電話が繋がったのを見計らって悪戯クンニを開始する。
「んっ…い、いや、何してるのかな?と思って…うん…あっ、んっ…え?あや?あやは、今、旅館でくつろいでるよ…そ、そう…会社が手配してくれた旅館…え?も、もちろん一人よ…あ、当たり前でしょ…」

 ピチャ、ピチャ…ピチャ、ピチャ…

「あっ、そ、それから明日なんだけど…ま、まだ仕事が残ってるから…んんっ…け、けっこう帰るの遅くなるかも…う、うん…ひぃっ…」

 レロレロ…レロレロ…

「はうぅッ…んんっ…え?何か様子が変…?そ、そんなことないよ…きゃはぁッ…!き、気のせい、気のせい…」

 と、完全に嬌声が混じり、全く誤魔化せていない彩花の電話。
 もちろん実際の旦那ではなく、どうせ受付のマネージャーあたりが演出として付き合ってくれているに違いないが、不倫というシチュエーションなら一度はしてみたいスリル満点の悪戯だ。
 チラッと目が合うと、
(む、無理…!もう無理だってばぁっ…!)
 と助けを求めるような視線を送ってくる彩花。
 仕方なく、ここらで勘弁してやるとばかりに頷いて見せると、
「じゃ、じゃあね…おやすみぃ〜…」
 と会話を終わらせ、電話を切る彩花。
 その瞬間、ポイッ!とケータイを放り投げ、
「ふぅ…!」
 と、ひとまずは溜め息。
 続いて、
「蔵夫くん…!よ、よくもやってくれたわね…!あとで覚えてなさいっ!」
 と言って睨みつつも、すぐに、
「んはぁっ♪あぁっ♪き、気持ちいいっ…んひゃぁぁっ♪」
 と感じまくる彩花。
「ふふっ…なかなかいいものを見せてもらいましたよ。必死に堪えている顔もよかったですね、先輩…それに…♪」

 ピチャ、ピチャ…♪レロレロ…♪

「ひぃぃっ♪」
「先輩って、旦那さんの前では、自分のこと『あや』って呼ぶんですねぇ。仕事ではいつも『私』だから意外でした」
「う、うるさいわねっ!もぉっ…♪」
 と照れる彩花に対し、とどめとばかりに、ガシッ!と太ももをロックし、舌を押しつける蔵夫。
 たちまち彩花は、
「あぁっ、それいいっ!イ、イクっ!イクぅぅっ!んひぃぃっ♪」
 と絶叫し、ブリッジのように腰を持ち上げて果てた。
 満足げに口を離した蔵夫の下顎はとろりと粘っこい愛液まみれ。
 なおも息を荒くして痙攣する彩花の股ぐらは、口を緩ませ、とろとろと湧き水のように愛液を分泌してピンク色の肉をヒクつかせている。
 そこにスッと指を伸ばし、中を掻き回してやろうとなぞると、
「んっ!待って…!」
 と、その指を掴み取り、
「ねぇ、蔵夫くん…♪あや、続きはあっちでしたいな♪」
 と、窓を指差した。
 そこに見えるのは温泉旅館ならではの内風呂。



 …といっても実際は外ではなく、プレイルームの中に置かれた作り物だが、仕切りのガラス戸に檜風呂、その先にはオーシャンビュー…再現としては充分なほど精巧に造られていた。
「あや、せっかくだからあそこでしたい…♪」
 と、おねだりするようなあざとい目つきを見せる彩花に、
「上司の言うことには逆らえませんね…じゃあ、あっちへ行きましょうか」
 と、もっともらしいことを言いつつ、蔵夫自身も、内心、
(お高い旅館の内風呂でセックスなんて、男の夢すぎるだろ)
 と、思わずテンションが上がっていた。
 スッと立ち上がり、浴衣を脱ぎ去って裸になると、彩花の手を引き、二人で内風呂へ。
 まず蔵夫から湯船に浸かる。
 本物さながらに造られた檜風呂。
 それに合わせて、周りの景色は壁への投影、心地よく吹きつける夜風は送風機、鈴虫の音もスピーカーによるものだが、どれも気にして見なければ演出だと疑わない。
 現に湯加減も、作り物とは思えないほど心地よいものだ。
 安月給の現実世界では、到底、こんな部屋に泊まれないし、こんないい女と一夜をともにすること自体も難しい。
(本当にこの店は世の男の妄想を見事に叶えてくれる店だ)
 と、すっかり上機嫌な蔵夫は、呼び込むように彩花に目をやった。…が、すぐに来ず、なぜか不敵に笑っている彩花。
 その美乳と陰毛を放り出すかわりに意味深に後ろに組んでいる手も気になる。
「え…ど、どうかしました…?」
 キョトンとする蔵夫に、
「はい、これ…♪」
 と、背後から出された彩花の手には、すっかり見慣れた蔵夫のケータイが…!
「え…?な、なに…?」
 と目が点の蔵夫だが、何の気なしに受け取って画面を瞬間、思わず目を見開いた。
 なんと、おなじみの、

<史帆 (※あなたの妻)>

 に対し、既に発信されているではないか。
 しかも、これまでのようにただの通話ではなく、テレビ電話…!
「えっ…ちょ、ちょっと!」
 と取り乱している間に、
「もしもし〜?」
 と相手に繋がってしまった。
 その瞬間、画面に大きく映る仮の妻、史帆の顔。
 パッと見、嫌いじゃない…いや、むしろ好みの顔立ちの女性だが、過去二回、プレイの一環として電話越しに新婚夫婦役として話しただけで、実際は初対面。
 それにもかかわらず、しっかり役を入れて、
「どうしたの?テレビ電話なんて珍しいじゃん♪お仕事、終わった〜?」
 と、いかにも新妻というデレデレした口調で話してくる史帆に、
「あ、あぁ…終わって、今、旅館に着いたところ。出張で使うわりにはすごくいい旅館でね。部屋に露天風呂があるんだ」
 と会話に進まざるをえない蔵夫。
「えー!露天風呂あるのっ!?わぁっ、ホントだ!いいなぁ〜♪」
 と、蔵夫側の背景を確認して声を上げる史帆。
「い、いやぁ…!やっぱり露天風呂はいいねぇ。一日の疲れが吹き飛ぶよ。はは…ははは…」
 と、ぎこちない作り笑顔を見せながら、チラチラと彩花に目を向ける蔵夫。
 当の彩花は、テレビ電話の死角から、ちゃぽん…と片足を湯船に浸け、してやったりの笑みを浮かべる。
 負けず嫌いな女の逆襲は思った以上に早く、そして倍返しだった。
(テ、テレビ電話はやりすぎでしょ!さすがに…!)
 と目で訴える蔵夫に構わず、全身を湯船に浸かるやいなや、蔵夫の脚と脚の間に身体を入れ、腰を持ち上げる彩花。
 情けなく浮上し、湯船から先端だけが突出した肉棒…。
 それに指を絡め、
(さぁ、愛する奥さんとたっぷり喋りなさい。平然を装いながら…♪)
 と言わんばかりに、まずは手コキから始める。

 ちゃぷ、ちゃぷ…

 と湯船に立つ音をかき消すように、慌てて、
「し、史帆は、今、何してるの?」
「私?今、テレビ見てた」
「そ、そっか。なに見てたの?」
「え〜?何だと思う〜?当ててみて〜♪」
 と、話してみて分かる、若干、重そうで面倒くさいタイプだが、ガチャ切りするワケにもいかず、しょうもないクイズにも付き合って、
「ん〜…何だろう?どうぶつピース?」
「ブ〜!どうぶつピースは若林さんが降板してから見てない。正解は、あちこちオードリーでしたぁ♪」
「あー、そっちか。それにしても史帆はホントに若林が好きだなぁ」
 と話を合わせて目をやるケータイの奥で、ムクムクと水面から浮かび上がる肉棒を巧みな手捌きでこねくり回す彩花。
(んっ、くっ…!)
 前回、前々回もプレイ中に無理やり電話をさせられてヒヤヒヤするという流れはあったが、今回はとうとうテレビ電話。
 喘ぎ声はもちろん、表情にも注意が必要だ。
「ねぇねぇ。今日はどんなお仕事したの〜?」
「…え?あっ…きょ、今日はね。上司と一緒に取引先の支社を回るって仕事でさ」
「へぇ〜…その上司ってさぁ、女の人…?」

(ギクッ…!)

「え…ま、まぁ、そうだね。女の人…」
「へぇ〜…女の人かぁ…」
 と急に史帆は声のトーンを落として、
「それってさぁ…もしかして相部屋だったりするの…?」
「ま、まさかっ!いくら上司と部下でも男と女で相部屋なワケがないだろ!お互い一人部屋だよ、一人部屋に決まってるじゃないか」
「そっか、そうだよね。ちょっと考えすぎちゃった♪てへ…♪」
 と笑う史帆。
 普段なら可愛い笑顔が、今この状況では可愛いとは思えない。
 むしろ、その明らかに嫉妬深そうな態度に、尚更、今のこの状況がバレたらまずいという緊張感が増す。
 さらに史帆は、女の勘なのか、突然、
「ねぇねぇ。どんな露天風呂なの?カメラで見せてよ」
 と言い出した。
「え…み、見たい?べ、別にいいけど…」
 と、ケータイで周囲を映す。
 もちろん、一緒に湯船に浸かる彩花の姿は髪の毛一本たりとも映さないように、だ。
「へぇ〜♪いいなぁ、羨ましいなぁ♪私も行きた〜い♪」
「じゃ、じゃあ…今年のボーナスが出たら行こう」
「言ったからね?絶対だよ?約束だよ?」
「うん、約束するよ」
 と、仮想とはいえ、こっちはこっちでラブラブの夫婦を演じきる蔵夫。…だが。

 ジュポ…♪

 突然、湯船から突出した肉棒にしゃぶりつく潜望鏡フェラ攻撃に転じる彩花。



 完全に油断していた蔵夫は、つい、
「うぉぉっ…!」
「え?なに?なに?」
「い、いや…急に強い風が吹いたもんだから冷たくて…」
 と慌てて誤魔化し、
「テレビ見てたところ、邪魔してごめんね。じゃあ、明日、帰るから。そ、それじゃあ…!」
 とテレビ電話を終えようとする蔵夫だが、
「ちょっと待って!」
「…え?な、なに?」
「今日、一緒に行ってる上司さんって、何て人?」
「え…な、何で?聞いてどうするの?」
「いや、別にどうもしないけど、一応、聞いておこうと思って…」
 と言う史帆の妙に低いトーンの声色に、湯船に浸かってる筈なのに背筋が凍る蔵夫。
 その間も、意地悪な彩花の潜望鏡フェラは続き、黙っていると、ジュポ、ジュポ…と咥える音が聞こえてしまいそうだ。
 仕方なく、
「た、高本…さん…」
 と白状するも、
「べ、別に何にもないよ?確かに女の人だけど、本当にただの上司で、部屋も別々で、あの…!」
「はーい。じゃあ、お仕事がんばって〜」
 と、言い訳をぶったぎるように一方的にテレビ電話を切ってしまった史帆。
(や、やべぇ…バ、バレたかな…)
 史帆の顔が消えた画面を見たまま顔面蒼白、茫然とする蔵夫。
 …いや、これも全て、不倫という背徳感を高める演出だ。
 蔵夫は未婚だし、今のテレビ電話の女だって、別に妻でも何でもない。…が、何もかもが全てリアルだから、つい、自分は新婚で、あの女が愛する妻だと頭に刷り込まれてしまう。
 そして、そんな蔵夫に追い打ちをかける彩花。
「あーあ…さすがにそろそろバレちゃったかもねぇ♪」
「━━━」
「いいじゃん♪ほら、奥さんのことは忘れて、今晩は私と楽しもうよ♪ねぇ…?」
 と、こっちはこっちで魔性の笑みを見せる彩花。
 すっかり意気消沈してしまった蔵夫を呼び戻すように、より激しい潜望鏡フェラに睾丸いじり、そして湯船の中での乳首責めと、愛撫に勢いが増す。
「…あっ、うぅっ…」
「ほら、声が戻ってきた♪」
 と、嬉しそうに微笑む彩花。
 その弾けるような笑顔が、後ろめたさに覆われた蔵夫のモチベーションを再び急角度で上げていく。
「んぐっ♪んぐっ♪…ほら、どんどん固くなってきてる♪」
「あぁっ、せ、先輩っ…うぁぁっ…!」
「どう?奥さんのこと忘れた?」
(…!)
「奥さんのこと忘れたら挿れさせてあげる♪」
「うぅっ…うぅっ…!」
 いやいやをするように首を振る蔵夫。
 やはり、今までのような声だけとは違って、あたかも実在するように顔を合わせ、クロストークをしてしまったことが決定打となったようだ。
 まるで洗脳…すっかり既婚者の感情を刷り込まれた蔵夫は、これまでのように、ただ本能だけで彩花との行為を求めることに躊躇が生まれていた。
 ぶっちゃけ、彩花に匹敵していたと思う史帆の美貌。
 今ここで彩花と行為に及ぶことは、すなわち、史帆を裏切るということだ。
(ダ、ダメだ…あの娘を裏切っちゃダメだ…)
 襲いかかる快楽に対し、必死に歯を食い縛って堪える蔵夫と、その芽生えた自制心を真っ向から壊しにくる彩花。

 ジュポ、ジュポ…♪

 と、脳まで溶かすようなフェラテクで蔵夫を手玉に取り、
(したいよね…?早くしたいでしょ?私と…♪)
 と詰問するように、乳首を摘まんで催促をしてくる。
 口を離したのも束の間、次はそのスケベな舌で竿を舐め上げ、
「ほらぁ、こっちはもう、早く私のオマンコの中に入りたいって言ってるよぉ?こんなにビンビンになってさぁ!」
「うっ、うぁぁっ…!」
(ヤ、ヤバい…!き、気持ちよすぎるっ…!)
 所詮は刷り込みだけの自制心…実際に快楽攻撃を浴びれば、ひとたまりもない。
「アハハ!今すごくマヌケな顔してるよ?蔵夫くん♪」
 と嘲笑い、とどめとばかりに、
「ほらっ…これ、好きだったよねぇ?前回ヒィヒィ言ってたよねぇ!?」
 と、例の、無理やり挟む寄せ乳パイズリを湯船の上で披露する彩花。
「うぉぉっ!?おぉっ…!」
 悶絶とともに、
(ご、ごめん…史帆…!やっぱりダメだ…!俺…この人とするエッチが好きすぎて…!)
 と、白旗を挙げる蔵夫。

 ……

 そこから二人は今夜も燃えた。
 湯船に浸かったまま挿入し、本能のまま、じゃぶじゃぶと湯が溢れるほど激しく腰を打ちつけ合った。
 もちろん湯船の中だけではない。
 檜風呂の枠組に寝そべっての正常位…手をついての立ちバック…さらには石畳の上で騎乗位まで…。
 嬌声を夜空に響かせて絶頂を繰り返す彩花と、そのたびに背徳の白濁汁を愛妻以外の女の腹の中に注ぎ込む蔵夫。
 文字通り、お腹一杯まで、たっぷり搾精してもなお飽き足りず、部屋に戻って布団の中でも延長戦を続ける彩花は、まさしく吸精サキュバス。
 すっかり淫乱上司の性欲処理係に着任した蔵夫は、プレイ終了後、生気までも吸い取られたかのように、しばらく起き上がることも出来なかった。
 そして去り際、そんな蔵夫の耳元で囁く彩花。

「お客様、おめでとうございます♪当店、実は裏ルールがありまして、“同じ嬢で同じ設定を三回続けて楽しまれた方”には、次回来店時に特別なサプライズをご用意しております♪是非、次回の来店まで、楽しみにしておいてくださいね♪」

 果たして特別なサプライズとは、果たして何であろうか?
 また近々、再訪することになるだろう。
 サプライズの内容を確かめるため…そして、彩花を満足させるという職務のために…。


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2021/11/01(月) 02:07 )