「浴衣彼女」×「縁日」×「金村美玖」
「では、お客様。この更衣室でこちらの服に着替えて、着替え終わったら、あちらの部屋に入って、少しお待ちください」
と小包を渡され、更衣室に入れられた蔵夫。
(客も着替えさせるのか)
と感心しながら風呂敷を開けると、まさに…というものが、一式、入っていた。
(やれやれ)
本格的というのか、設定に忠実というのか…。
思わず苦笑してしまった蔵夫だが、自分で指定したシチュエーションだから乗らないワケにもいかない。
いそいそと着替え、部屋に入る蔵夫。
着替えた格好は『甚平』。
入った部屋は、まるで室内庭園のようにド真ん中に木が立ち、下に砂利を敷き詰めて再現された『縁日の木陰』だった。
そして、入ってすぐの足元に、ポツンと一枚、置かれた名刺。
<金村 美玖>
これが今夜、相手をしてくれる女性の名前だ…!