1.お膳立て
「んっ…あっ、あぅっ…」
部屋に響く吐息交じりの声。
その出処は、施術台に「X」の字に拘束されて寝かされた田村保乃だ。
既に全裸。
それまで着ていた女王様チックなボンテージとセクシーな下着の上下は無惨に切り裂かれ、施術台の脚元に布切れと化して落ちている。
そして、その施術台を眺められるように置かれた革張りの高級ソファーで優雅に足を組み、ニヤニヤとその模様を見つめる鮫島。
彼の指示を受け、もはや彼の官女、手先同然となった渡邉理佐、長濱ねる、関有美子の三人が、生贄の保乃の裸体に群がる。
「全身を隈無くオイル漬けにしてやれ!毛穴の一つも逃さず、だ!」
という鮫島の指示を受け、そのしなやかな指で媚薬オイルを丹念に保乃の全身に塗りたくる三人。
「んひゃぁぁっ…!」
「あら、どうしたの?保乃。もしかして…私たちの指で全身をヌルヌルにされて感じちゃってるのかなぁ?」
「そんなに気持ちよかと〜?」
と意地悪な笑みを浮かべる理佐、そしてねる。
肉付きの良い太ももから足の指先まで、長いストロークでマッサージのようにして塗り込むねるに対し、蜘蛛のようにカサカサと動かす左右十本の指を駆使して鍛えられた内ももを一点集中、絶妙なタッチで触ってくる理佐。
たまらず、
「ひぃっ!く、くすぐったい…!」
と声を上げる保乃の反応を見て、
「アハハ!おもしろ〜い!」
と笑みを浮かべる理佐。
元は、不届き者の輩を捕らえ、性拷問にかけていた統治メンバー内でも屈指のドS。
鮫島に屈服調教されて完全に鳴りを潜めたSっ気が再燃したように楽しげだ。
そして、声が漏れる原因はそれだけではない。
「んっ、くぅぅっ…はぁぁっ!?」
時折、手足を繋ぐ鎖を揺らすほどの反応。
天井に向かって盛り上がる乳房、そしてその先端のぷくっと膨らんだ乳首を嬲るしなやかな指。
「ほら、どう?これがいいの?こう?」
と執拗に問いかけながらオイルを塗り込んでいるのは関有美子。
捕らえた男を性拷問にかける際には保乃とコンビを組むことも多かった相棒のような関係。
そんな相棒すらも、今この状況において、保乃を追い詰める刺客と化した。
かつて捕虜の男たちから「乳首殺しの有美子様」と謳われたその卓越した乳首責めのテクニックを身をもって体験させられる保乃。
ツンツンとつっついたり、クリクリと転がしたり。
いつも隣で見ていた巧みな指捌きを、まさか自分が味わう羽目になるとは…。
「ひ、ひぃっ…!ゆ、有美ちゃんっ、!やめてぇ!」
たまらず声を上げる保乃だが、有美子はクスクス笑いながら無視して続ける。
その悶絶する様を眺めながら、
「ククク…救出しようとした仲間たちに追い詰められていく気分はいかがかな?」
と煽るように問いかける鮫島。
「う、うるさぁっ…いひぃっ!?」
強がる啖呵すらも切らせてもらえないオイル責め。
「ほら、さっきまでの態度はどうした?オイルの塗布なんて、まだ序の口の序の口だぞ?こんなところで音を上げてちゃ、先が思いやられるなぁ?」
「くぅっ…!」
「さっきは不覚にも貴様ごときに散々イカされちまったからな。この俺に手を出した代償は高くつくということを身をもって体験してもらおう」
「こ、このぉっ…んひゃぁぁっ!?」
ムッとした表情が、一瞬にして歪み、
「んんっ、あぁっ!?り、理佐さん…!そこアカン…!んあぁぁっ!」
と絶叫する。
「ん〜?ダメなの?どうして?」
と白々しく返しながら、保乃の股ぐらにオイルまみれの指先で襲いかかる理佐。
まるでギターを掻き鳴らすような手つきで割れ目をなぞり、その一連でクリトリスの包皮を剥きにかかる。
「ここにもたっぷり塗らなきゃダメでしょ?遠慮しなくていいからね〜」
「ひ、ひぃっ!?」
仰け反り、悶える保乃。
そんな彼女の見ながら、
「おいおい、もう降参か?あまり簡単に陥落されても困るなぁ?こっちにも段取りってものがあるんだ。ククク…」
と笑みを浮かべる鮫島がチラリと視線を送った先にいる、もう一人の獲物…。
「んっ…んんっ…」
と、くぐもった吐息が漏らすのは、同じく、あと一歩のところで鮫島の手に落ちた小林由依。
目にはアイマスク、そして口にはボールギャグ。
そんな状態で首から下をマントに覆われた異質な光景…。
保乃と同様、そのマントの下は既に全裸に剥かれていた。
そして、そのスタイル抜群の裸体で穴の空いた箱馬に座らされ、抵抗できないように手足を箱馬の四隅にくくりつけられている。
そして、その箱馬の中でじっくりと蒸される謎のハーブ。
鮫島が新たに入手した代物で、それを蒸し、発生する蒸気をマントの中に溜めて全身の毛穴や下半身の粘膜から吸収させる。
そうすることで代謝を高め、全身の感度を上昇させて発情を促進する効果がある。
「こっちの関西女も勿論だが、特に貴様はただの拷問では済まさんぞ…!俺が苦労して仕入れたこの催淫ハーブの効果を、身をもって思い知るがいいっ!」
と、先刻、散々な目に遭わされた恨みを晴らさんとする鮫島。
そして施術台で悶絶する保乃に向き直ると、
「さぁ、耐えてみせろ。そう簡単に堕ちてもらっては面白みがない。…だが、そうやって君が耐えれば耐えるほど、あっちの先輩は、より長い時間、催淫ハーブの蒸気を浴びることとなる。先輩のことを思うなら、さっさと降伏して、許しを乞うべきだぞ?」
「な、なに言ってん…!そ、そんなことするワケ…んっ、んあぁっ!?ね、ねるさんっ!?ア、アカンって、そこはぁぁっ…!」
またしても啖呵が途中で途切れる。
割れ目をなぞる理佐の指に続き、次はねるの指が、保乃のテカテカと光って顔を覗かせるクリトリスを捉えた。
「ほ〜ら、こっちはねるがやっちゃるね。保乃ちゃんの固くなったお豆さん、たくさんいじめてあげるから」
「んっ、あぁっ!ひぃっ、あぁっ!?」
先輩二人からオマンコをクリを同時責め、さらに有美子からねっとりとした乳首弄りをされてジタバタと悶絶する保乃。
みるみる身体が熱くなる。
オイルが浸透してきた保乃の身体に、ヌルヌルした三人の指は、まさに凶器そのもの…!
そして、有美子の指が猫の手になり、すっかり固くなった乳首をカリカリとひっかくと、
「ア、アカンっ!有美ちゃん、それアカンってぇっ!?」
と関西弁で絶叫して仰け反る保乃。
その反応を見て触発され、
「あはっ♪ねるもそれやるー!」
「んはぁぁっ!?」
有美子の手つきを真似て、同じ要領でクリトリスを嬲り始めたねる。
「ひ、ひゃあぁっ!さ、三人とも…しっかりしてぇ!目ぇ覚ましてよぉっ!」
と訴えるも、快楽にしつけられた三人は聞く耳を貸さない。
いや、むしろ逆効果で、
「保乃こそ、早くこっちへ来なよ。私たちと一緒に、ご主人様に気持ちいいこといっぱいしてもらえばいいじゃん。ここも、もうこんなにトロトロになってるんだから…」
ピチャ、ピチャ…
「んんっ!あぁっ!」
わざと濁音が立つように割れ目を嬲る理佐。
そこに横から、
「ほぅ…もうそんなに濡れているとはな。いやらしい汁の音が響いてるぞ?」
と加勢する鮫島。
「ち、違うっ!これは…オ、オイル…!」
「へぇー?オイルがこんなに糸引くんだぁ?」
と理佐は指を上げて粘っこい糸を見せつけ、
「オイルって、こんなに白みがかってたかなぁ?」
「━━━」
「アハハ!黙っちゃった!自分のアソコから出したものって認めたも同然ね!」
「じゃあ、次はこのオマンコ汁をたっぷり塗りたくってクリ責めしてあげるね?…ね?してほしいでしょ?」
「くぅっ…!」
口ごもり、防戦一方の保乃だが、それもその筈。
相手は先輩二人に仲の良い親友。
お人好しの性格と上下関係を重んじる忠誠心が邪魔をして、強く突っぱねることが出来ないまま、ズルズルと快楽の沼へ引きずり込まれていく。
そして、とうとう、
「ゆ、由依さん…!た、助けてぇっ…!」
と、自分ではどうにもできず、頼れる先輩に助けを求める始末。
だが、そんな頼れる先輩も、いまや部屋の隅でマントにくるまれて催淫ハーブ蒸しにされ、自分自身の身動きもとれない状態…。
そして、大ピンチを悟る保乃の耳元で、有美子が一言、
「保乃…まだまだこれからだよ?ご主人様の“教育”は、こんなもんじゃないんだから…」
と不敵に囁く。
その囁きが合図だったかのように、
「さて、それじゃあ、そろそろ俺も加勢するとしよう。その肉付きの良い身体、たっぷり俺好みの身体に開発してやるぜ!」
とソファーから腰を上げ、施術台、いや、処刑台へと近づく鮫島…!
「い、嫌や…!嫌ッ!こ、来んといてぇっ…!」
迫る性感開発に恐れおののく保乃。
果たして保乃は、前の三人に続いて、鮫島の言いなり肉人形へと堕ちてしまうのか!?
そして、この間もずっと催淫ハーブの蒸気を浴び続ける小林の運命は…!?
(つづく)