上村莉菜の陥落物語
5.奇襲
 プシュゥゥゥゥゥ〜…!

 突如、アジト内に立ち込める白い煙。
 その異変に、鮫島は、莉菜を陥落寸前まで追い詰める鬼ピストンを一時停止し、
「な、何事だ!?」
 と怒声を上げた。
 だが、手下は誰も返事をしない。…いや、したくてもできない。
 煙に巻かれ、
「ごほっ、ごほっ…!」
 と、むせる声だけを残して見えなくなる手下たち。
(は、発煙筒…!?いったい誰が…!?)
 莉菜の身体を放り出し、立ち込める煙に目を凝らす鮫島。
 すると、突然、煙の中から、

 ドスッ!ボコッ!

 という鈍い音に続いて、
「ぎゃあぁっ!」
 と悲鳴が轟いた。
「くっ…!」
 もはや莉菜を調教している場合ではない。
「だ、誰だ!?誰かいるのか!?」
 と慌てる鮫島。
 すると、ふいに煙の中から、鮫島の土手っ腹めがけて鋭い蹴りが飛んできた。

 ドゴォッ!

「ぐあぁっ…!」
 まさに一瞬の出来事。
 不意打ちに見事な直撃を許し、激痛に顔をしかめて前屈みになった鮫島の髪を、しなやかな指が掴み上げ、捻り上げる。
「ぐっ…き、貴様…!」
 睨む鮫島をよそに、
「ほ〜ら、やっと見つけたよ。ウチらに歯向かう不届き者のねぐらを!」
 と笑みを浮かべた女、『狂犬』の異名を持つ小林由依。
「な、なぜここが…!?」
「アンタの寄越した口の軽い手下が全部吐いたよ。鮫島さんって言うんだってねぇ?女を屈服させるのが趣味なんだって?なかなかナメたことしてくれてんじゃん」
 小林は、横に倒れた莉菜を一目見て、
「ウチらの仲間にこんなことして、まさか、ただで済むと思ってないよねぇ?」
(…ウチ“ら ”?)
 まさかと思った矢先、再び、がら空きの土手っ腹に、次はまた別の角度から膝蹴りが飛んだ。

 ドスッ!

「んがぁっ…!」
 二発目のクリーンヒットで苦悶する鮫島。
「ほら、観念しぃ!」
 と煙の中から現れ、小林に加勢したのは関西訛りが特徴的な田村保乃。
 さらに、そのどさくさに紛れてそそくさと倒れた莉菜を抱き起こす尾関梨香の姿もあった。
「ぐっ…!くそっ…!」
 莉菜を肉奴隷に仕立てるまであと少しというところで、まさかの奇襲。
 頼りの手下は全員ぶちのめされ、三対一と、一転して非常に苦しい状況だ。
(お、俺としたことが…!)
 この男には珍しく、冷や汗が頬を伝う。
「オゼ。今のうちに莉菜をどこか安全なところへ」
「オッケー!」
 満身創痍の莉菜に毛布を被せ、肩を抱いてアジトから出ていく尾関を見送ってから、
「ほら、こっち来なよ」
 と、小林は、依然、髪を引きちぎらんばかりに捻り上げたまま、鮫島を引きずり、ついさっきまで莉菜を拘束していたベッドへと押し倒した。
「ぐわっ…!」
 放り投げられてベッドの上でバウンドする鮫島の身体を押さえつける保乃。
 小林と二人がかりで、素早く、鮫島の手足をロープで固定する。
「な、何をするっ!?」
 先ほどまで意気揚々といたぶっていた莉菜とまったく同じ、手足を「X」の字に、しかもガチガチに固定されて焦る鮫島。
 焦りながらも、まだ莉菜の愛液が乾かない巨根が、びくんびくんと脈打つのが滑稽だ。
 そんな身動きがとれなくなった鮫島を見下ろすように立ち、
「さぁ…それじゃあ、早速、始めよっか」
「は、始める…!?何を…!?」
「何をって、そんなの決まってんじゃん。私たちに楯突いた罰として、今からアンタを“調教”してあげるから」
(なっ!?)
 思わず目を見開く鮫島
 その狼狽する表情を不敵な笑みで覗き込む小林、保乃。

「虹花に理佐、ねるに関ちゃん、そして莉菜も…よくも私たちの仲間に好き放題やってくれたわね?因果応報って言葉、知ってる?今からアンタの身体で、何倍にもして返してあげるから」

「アンタみたいなドS気取りの男をいたぶんの、たまらんわぁ。ウチらのテクニックでひぃひぃ言わせたるから、覚悟しときやぁ?」

 制裁に燃える二人のアマゾネスは、そのしなやかな指で、鮫島の竿を交互に弾きながら妖しく笑った…!


(『欅共和国の罠』小林由依・田村保乃の章へ続く)

鰹のたたき(塩) ( 2020/11/29(日) 08:53 )