関有美子の陥落物語
3.令嬢失墜カリキュラム ━LEVEL-2 淫蟲━
 施術台の上。
 手足を拘束され、オイルで光る身体をくねらせて身悶える有美子。
 性の高ぶりを何度も焦らされ、もはや、つつけば破裂する水風船のような状態にある。
「ククク…さっさと認めればいいものを」
 と、首謀者の笑みが聞こえ、目線の位置をぐるぐる巻きにしていたテープが、ゆっくりと剥がされてゆく。
「うっ…!」
 久々の光が眩しい。
 そして、その光の中に次々と浮かび上がる男たちの影。
 中には見たことのある顔も、ちらほら。…いや、正確には、過去に弄んだ男たち、というべきか。
「へへへ。久しぶりですねぇ?有美子様」
「その節はお世話になりました。立場逆転ですよ」
「まだまだ、たっぷりとお礼をして差し上げますからね」
「くっ…!」
 復讐に燃える男たちの好戦的な笑みに、いまや焦りを感じずにはいられない有美子。
 そんな有美子の眼前に突きつけられる小瓶。
「い、嫌ぁっ…!」
 思わず顔を背ける有美子。
 その小瓶の中に不気味に蠢く虫の姿が見えたからだ。
「ほぅ…虫が苦手と見える。欅共和国を治めるメンバーでありながら、そういう女っぽい一面も持ち合わせているとは、さすが有美子お嬢様!」
 と笑ったのは、その輪の中で唯一、有美子が見覚えのない男。
(コ、コイツが…首謀者…?)
 女の本能が察したのか、その男からは他とは違う危険なニオイを感じ、有美子の顔にも緊張が走る。
 一方、その男、鮫島は、そんな警戒は慣れたものだと意に介さず、ニヤニヤしながら一本指を突き立て、有美子の股間をゆっくりとなぞり始めた。
「んっ…!あぁっ…!」
 度重なる寸止めで既にとろけきっている有美子の秘部。
 そこから湧き出る愛液をたっぷりと掬いとった鮫島の指は、次に、その、ほんのり白く濁る粘液を、散々いたぶられて固く尖る乳首に塗り始めた。
「あんっ…!」
 寸止めの余韻で過敏になっている乳首に、まず右、そして左と、入念に塗りたくったところで、鮫島は、
「さぁ、準備完了だ」
 と満足げに頷き、配下の男たちに、
「よく見ておけよ。お前たちを散々いたぶった箱入り娘が発狂しながら許しを乞うところを」
「へいっ!」
 嬉しそうに返事をする男たち。
 一方、有美子は、
(か、勝手なこと言わないで…!私は負けない…お、お前たちなんかに許しなど乞うものか…!)
 と、眺める男たちに冷たい目を向けていく有美子。…だが、次の瞬間、その表情が一変、恐怖に変わった。
 鮫島が、ピンセットで、小瓶の中の虫を摘まみ上げ、有美子の身体へ近づけたのだ。
「い、嫌っ…!嫌ぁっ!やめてぇっ!」
 ヒステリックな叫びを上げる有美子。
 だが、鮫島は、
「ククク…」
 と楽しそうに笑うだけで、淡々と、有美子のお腹の上に、一匹…二匹…と奇妙な虫を置いていく。
 放たれた虫は計4匹。
 そのカサカサと身体を這う感触が耐え難く気持ち悪い。
「嫌ぁっ!取って…!早く取ってぇっ!」
 絶叫し、拘束されて限られた可動域の中で跳び跳ねる有美子。
 だが、その虫は、まるで吸盤でもついているかのように、有美子が起こす抵抗の大地震にもびくともせず、それぞれ大好物の“蜜”をめざして、素早く、左右の乳首、そして股間の茂みへと移動する。
「ひぃっ!」
 愛液まみれの乳首、そして、その愛液の源泉ともいえる秘部に群がると、それまでの活発さが一転、キレイに舐めとるかのように動きを止めた淫蟲。
「よし、もう充分だろう。ご苦労さん」
 鮫島の不穏な一言とともに、再びピンセットで回収されていく4匹の虫。
 自身の裸体の上に虫を放たれるという屈辱、嫌悪感に思わず涙をこぼす有美子。
 まだ、その虫の習性、恐ろしさなど知る由もない…。

 
 淫蟲。
 それは、かつて中国軍が女性兵士の拷問用に品種改良と遺伝子操作を重ね、人工的に生み出した一種の軍事兵器である。
 女体から分泌される体液に反応を示し、それを吸うことで媚薬成分を含んだ毒を体内で精製して、その毒を足先の棘から獲物に注入する。
 その棘は顕微鏡でようやく分かる程度のもので肉眼では見えず、刺された痛みも感じない。
 即効性のその毒を打ち込まれたことも分からないまま、やがて女は狂ったように悶え、耐えきれずに自ら刺激を懇願する。
 先日の長濱ねるのように…。


 それから、わずか数分後。
「ふぁぁっ…!?」
 突然、苦悶の息を漏らし、ジタバタと身体を震わせ始めた有美子。
 先ほどの虫が留まっていたところが灼けるように熱い。
 その異変に困惑の色を浮かべつつ、熱を帯びた身体は自然と持ち上がり、施術台の上でエビ反りに…。
「おやおや、どうしましたか?有美子お嬢様?」
 鮫島は白々しく口を開き、
「そんな、我々にマンコを見せびらかすように身体を起こして…まったく、はしたない!」
「くっ…!あぁっ…!」
「どれどれ…おぉ、もう大洪水じゃありませんか。それを自らこんなにも高く掲げて…これは、早く愛撫を始めろ、ということですかねぇ?」
 と、馬鹿にしたような丁寧語でチクチクといたぶり、焦らす鮫島。
 だが、もはや有美子には、そんな嘲笑など耳に入らない。
(あ、熱い…!身体が…たまらなく熱いの…!)
 有美子のおしとやかな顔からは想像もつかない大股開きのエビ反り。
 引き締まったふくらはぎ、太ももがふるふると震え、妖しく黒光りする陰毛、とろけた割れ目を恥ずかしげもなく男たちに晒す。
 そして、決してそんなつもりはないのに、自然と身体が刺激をねだり、誘うように腰がゆっくりと揺れ動く。
(さ、触って…!お願い、触ってぇぇっ…!)
 声には出さずとも、その卑猥な願いが頭を占領する。
 溢れ出た愛液が糸を引いて施術台に垂れ落ちる。
 目に見えて粘っこい、俗にいう“本気汁”というものだ。
 その様子に、有美子を眺める男たちの顔にも揃って笑みが浮かぶ。
「ククク…もう限界ですか?有美子お嬢様?」
 と、問いかける鮫島は、
「でもね、そう簡単にこの苦しみから解放してあげるワケにはいかないんですよ。というのも…」
 鮫島は、唇を噛みしめて耐える有美子にぐっと顔を寄せ、
「何やら、捕らえた男を延々と寸止めし、その悶える顔を眺めて楽しむのが大好きな方だと、ここにいる者たちからお聞きしたものですからねぇ」
「━━━」
「そんな貴女には、彼らと同じ苦しみをとくと味わい、自らの愚行を懺悔していただかないとねぇ?」
 鮫島が、ひょいと手を挙げると同時に、周りの男たちが“武器”を手に、有美子を取り囲んだ。
 彼らが手に持つ武器、それは先端にボンボンのついた猫じゃらし…。
 青ざめる有美子に対し、鮫島は、
「ククク…さぁ、それでは再開しましょうか。ブーメランの如く我に返る、イキたくてもイカせてもらえない寸止め地獄をね!」
「そ、そんな…!んあぁっ…!」
 男たちが一斉に猫じゃらしで有美子の身体を責める。
 先刻の寸止めと淫蟲の毒でピンコ立ちになった乳首、そして包皮がめくれて剥き出しのクリトリスをそれぞれ掠めてゆく毛の球。
 さらに、指紋採取を行う鑑識のように、丁寧な手つきで割れ目の周囲をはたく者もいる。
「ひぃっ!んひゃぁぁっ!?」
 くすぐったい。
 そして、それすら今の有美子にとってはたまらなく気持ちいい。…が、足りない。
 もはや有美子は、その程度の微弱な刺激では、到底、満足できない。
(も、もっと…!もっと押しつけて…!もっと乱暴に、グリグリ押しつけてくれないと…イ、イケない…!)
 だが、残念ながら男たちにそのつもりは毛頭ない。
「んあぁっ…!」
「ククク…さぁ、有美子お嬢様!もう逃げられませんよ!」
 鮫島は、その丁寧な口調とは対照的に、悶える有美子の髪を鷲掴みにして引っ張り上げ、
「虫の毒を打ち消すには快楽を受け入れ、失神するまでイキ続けるしかありません!つまり、懺悔をして我々に屈し、奴隷に成り下がる他ないんですよ!さぁ、そこでもう一度、耳を貸してあげましょう!有美子お嬢様!我々に何か言いたいことがあるのでは!?」
 と、引導を渡すように告げ、掴んだその手をぶんぶんと振り上げた。
「んあぁっ!あぁぁっ…!だ、誰か…!誰か助けてぇ…!ほ、保乃ぉっ!ひかるぅっ!い、いのう…えぇっ!んひゃあぁっ…!」
 涙を浮かべ、次々と仲間の名を挙げながら、絶叫する有美子。
 高貴なる令嬢の失墜と奴隷堕ち。
 その瞬間(とき)が、刻一刻と迫る…!


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2020/10/09(金) 22:37 )