長濱ねるの陥落物語
3.淫蟲
 鮫島が好奇の目をしてジュラルミンケースから取り出したのは、ジャムが入っていたような手の平サイズの瓶だった。
 そして、その瓶の中でカサカサと動き回る見たことのない謎の虫。
 少なくとも、ここ日本には生息しない海外産のモノだ…。

 不気味な赤紫色の体色が異彩を放つこの虫は中国から持ち込んだ『淫蟲』という名の虫で、かつて中国軍が女性兵士の拷問用に品種改良と遺伝子操作を重ね、人工的に生み出した一種の軍事兵器だ。
 女体から分泌される体液に反応を示し、それを吸うことで媚薬成分を含んだ毒を体内で精製して、その精製した毒を足先の棘から獲物に注入する。
 その棘は顕微鏡でようやく分かる程度のもので肉眼では見えず、刺された痛みも感じない。
 即効性のその毒を打ち込まれたことも分からないまま、捕虜はみるみる身体を蝕まれ、狂ったように悶えては耐えきれずに口を割る。
 かの日中戦争の際、危険視した日本軍によって飼育室を破壊され、一匹残らず死滅したとされていたが、最近になって四川の山奥に住む元・中国兵の老人がその生き残りを極秘に飼育、繁殖させたという噂を聞いた鮫島が、その老人とコネを作り、頼み込んで分けてもらった代物だ…。

 鮫島は、クネクネと身悶えるねるの割れ目を指先で撫で、愛液を掬うと、それを左右の乳首へ光沢が出るまで塗り込んだ。
「んはぁぁっ…!」
 固くなった乳首をこねくり回され、甘い反応を示すねる。
 アイマスクのせいで、まだ、鮫島が手に持つ瓶が見えていない。
 愛液まみれの両乳首、そして、その愛液を白く濁して垂れ流す割れ目を確認して、鮫島は不敵な笑みとともに瓶の蓋を開けた。

 カポッ…!

 蓋の外れた音に、
「な、何の音…!?」
 と声を上げるねる。
 それを無視して鮫島は、ピンセットで摘まみ上げた淫蟲を、そっとねるの胸の谷間に置いた。
「ひぃっ…!な、何っ!?」
 見えない中、乳房の間を動く感触に不安そうな声を上げるねる。
「やぁっ…!と、取って…!」
 どうやら、そのカサカサと動く細い足の感触から、虫だということはすぐに理解したようだ。
 淫蟲は、谷間をウロウロした後、ふと何かを嗅ぎつけたように、右の乳首を目指し、一直線に乳房の山を登り始めた。
 続けて、もう一匹、胸の谷間に放つと、これも同様に、次は左の乳首を目指す。
「い、嫌ぁっ!」
 左右の乳首に、いや、その突起にたっぷりと塗りたくられた愛液に吸い寄せられるように移動し、まとわりつく淫蟲。
 この間、既に毒腺から分泌された媚薬成分がねるの乳首へ注入されたことだろう。
 鮫島は、ねるの身体を這う淫蟲の様子を満足げに眺めながら、瓶に残る最後の一匹を、股間の陰毛の上に置いた。
「やぁっ…!そ、そこは
ダメぇっ!」
 と悶えるねるをよそに、淫蟲は近くに湧く愛液の泉を嗅ぎつけると活性化したように動きを早め、器用に陰毛を掻き分けて、その下の割れ目を目指した。
「ひぃっ!」
 女性器そのものを覆い隠すように割れ目の上に陣取った淫蟲。
 しばらくそこに居着いた後、男性用精力剤の効果で小指の爪の先ほどの大きさにまで勃起したクリトリスにも、しがみつくように居座った。
「んひぃっ…!?あぁっ…!」
 包皮が捲れて剥き出しのクリトリスに虫の足がまとわりつき、ピクピクと腰を揺らして悶絶するねる。
(よし…!)
 ここにも、間違いなく、毒が注入された筈だ。
 それを確認して、鮫島は、ねるの身体に放った三匹の淫蟲を、一匹ずつ、丁寧にピンセットで摘まんで元の瓶へ回収した。
 左右の乳首に陰部、そしてクリトリス。
 これで女の急所には全て、淫蟲の毒が回った。
(あとは、効果が現れるのを待つのみ…)
 と鮫島が思うやいなや、早速、
「んひゃぁぁっ…!」
 と声を上げ、ジタバタと四肢を揺すって暴れ始めたねる。
 その様子に、目を見合わせ、ニヤリと笑う男たち。
「か、痒いっ…!痒いよぉっ…!」
 と、うわ言のように繰り返すねるに対し、男たちが、
「どこがだ?」
「どこが痒いのか言ってみろ!」
 と囃し立て、それにつられて、
「ち、乳首と…オマンコぉっ!あぁっ、ク、クリも…!」
 と躊躇なく淫語を口に出してしまうねる。
 そして、ジタバタと手足を揺すり、
「やぁっ…!こ、これ外してぇっ!」
 と絶叫する。
 男たちが、
(どうします?)
 という顔で鮫島を見る。
 鮫島はニヤリと笑って、
「外してやれ。どうせ、もう抵抗できるような身体じゃない」
 と言った。
 その言葉で手足の拘束具が順番に外されるのだが、まず手は外れた瞬間に乳首へ、そして脚はもどかしそうにズリズリと内ももを擦り合わせ、ねるはベッドの上を転げ回った。
「んあぁっ!?な、何これぇっ!?あ、熱い…!身体が熱いぃっ!?」
 固く尖った左右の乳首に猫の手を添え、ひっかくようにして刺激し、悶絶するねる。
 しまいには、
「こ、これ…邪魔ぁ…!」
 と、アイマスクを自ら外し、投げ捨てる始末。
  自らこねくり回し、刺激する乳首。
 だが、熱を帯びる股間はまだ触らない。
(こ、こんなの、一回や二回で収まらない…!ま、まずは乳首だけで…)
 そんな愚直な思いで乳首オナニーの手を止めないねるを眼下に、
「ククク…まったく、何というはしたないヤツだ。自分一人で楽しみやがって」
 と嘲笑する鮫島。
 そんな言葉など気にも留めず、自慰に励むねる。
 ふいに鮫島がねるの手首を掴み、後ろ手にして素早く手錠をかけた。
(…!!)
 右手、さらに左手も、気づけば背後で繋がれ、再び自由が奪われるねる。
 鮫島は笑みを浮かべて、
「ククク…これでもう指でオナニーは出来ない。どうする?」
「くっ…!あぁっ、熱いぃ…!」
 中途半端に刺激を与えた煽りで、余計に熱を持った乳首が疼く。
「もったいぶるようなことをしてるからだ。すぐにマンコを触ってれば簡単にイケたものを」
 確かにその通りだ。
 拘束が解けてすぐに核心をついていれば、簡単に絶頂に達することが出来た。
 だが、そこでねるは、股間の刺激の前に、まず“胸だけでイキたかった”のだ。
 そんな不純な思惑まで晒してしまう強力な媚薬毒。
「い、嫌ぁっ…!は、外してっ!」
 欲を出したことを後悔するように背中の手錠をガチャガチャと揺するねる。
 逃げ出すつもりで言っているのではない。
 この身体の疼きを止めるため、ただオナニーをしたいがための訴えだ。
 そんなねるの身体に投げつけられた備え付けの枕。
「こいつで我慢したらどうだ?」
 と笑う鮫島に応えるように、ねるは後ろ手のまま腰を上げ、枕にまたがると、自ら腰を前後に振って股間を枕に擦りつけ始めた。 
 そば殻の入った枕のゴリゴリとした感触は、ぐしょ濡れの花弁、そして肥大化したクリトリスにとって効果てきめんだ。
「んはぁぁっ!あぁっ!」
 枕を横たわる男に見立てた艶かしい腰振りで身体の疼きの鎮静を図るねる。
 だが、淫蟲の毒の疼きは鎮まるどころか、より強く、ねるの身体を蝕んでゆく。
「ククク…欅共和国とやらで高貴なツラした女も、所詮、この程度か。疼いたマンコを鎮めるために擦り付けオナニーとは、そこらの欲求不満の淫乱と変わらんな。えぇ?」
「あっ、あっ!んんっ!はうぅッ!」
 罵倒されても聞く耳を貸さず、架空の騎乗位に夢中のねる。
「あぁっ!イ、イクっ!イクぅっ!」
 と絶叫したところで、無理やり股の間の枕を力任せに引き抜かれた。
「いつまでやってるんだ?終わりだよ」
 と鮫島が冷たく笑うと、ねるは、
「な、何で!?もう少しだったのに…!」
 と、心底、不満そうに口を尖らせた。
 鮫島は、枕を足元へ捨て、
「物足りないのなら他を探すんだな。まだいっぱいあるぞ?擦り付けれるところなんて、いくらでも」
 鮫島の言葉で、獲物を狙うライオンのように目の色を変えるねる。
 そして、少し身体をずらし、次はベッドの淵で腰を擦り付け始めると、再び、
「んあぁっ!?ち、ちょうどいい固さ…!あぁっ!」
 と卑猥な声を上げる。
 その光景を、いいものを見るような目で見つめる男たち。
 長い髪が汗だくのキレイな背中にべったりと貼り付く。
 巧みに腰の角度を調節し、剥き出しのクリトリスをベッドの淵に打ちつけるようにして刺激を得るねる。
 だが、
「んあぁっ!イ、イクぅっ!」
 と口走った矢先、またも鮫島が、
「疲れたから少し横になる。邪魔だからどいてくれ」
 と、強引にねるの身体を退かした。
(ひ、ひどい…!)
 スネたような顔を見せるねる。
 もちろん、わざとに決まっている。
 さっきの枕といい、イキたくてたまらないのを分かっていて、わざと中断させているのだ。
 擦り付けオナニーのポジションを奪われたねるが次に目をつけたのはソファー。
 いい感じの丸みを見つけると、すぐさま、そこへ腰を当てにゆく。
 だが、それもまた別の男に、
「座るのに邪魔だ!どけ!」
 と言われ、テーブルの角を使っていると次は、
「テレビが見えないから向こうでやってくれ!」
 と言われる。
 どこへ移っても難癖をつけて中断させられる擦り付けオナニー。
 指が届けばどうということはないが、後ろ手の拘束では無理だ。
 その間も身体の疼きは増す一方。
(お、お願い…イキたくてたまらないの…!意地悪しないで…イカせて…!)
 へたりこんで、連中に懇願するような目を見せるねる。
 そして、そんな矢先、ねるが見つけた絶好の場所…。
 ベッドに横たわる鮫島。
 その股間の膨らみに、つい、目を奪われてしまった。
(お、大きい…!パンツの上からでも…形が分かる…!)
 竿を象るように浮き上がるテント。
(あ、あそこ…!あそこに跨がってズリズリしたい…!)
 そう思った瞬間、女豹のような目付きでベッドに戻るねる。
 そして有無を言わせず、横たわる身体を跨ぎ、腰を下ろす。
「んんっ…あんっ!あぁっ!」
 すぐに漏れる声。
 当の鮫島はニヤニヤしながら、
「ククク…とうとう俺の身体までオナニーに使う気だな?澄ました顔をして、根はとんでもない変態だな」
 と、ねるの羞恥心を抉るも、当の本人は意に介さず、
「んっ、あっ…た、たまんないよぉ…!マ、マンコも、クリも…こ、擦れて…気持ち…いい…!」
 と腰振りに夢中だ。

 淫蟲の毒が冒され、発情して制御が利かない身体。
 もはや、高貴なる欅共和国の一員の面影はない。
 今、ベッドの上にいるのは女殺しの悪魔と、その悪魔の餌食となった哀れな女だけだ。
「さぁ、もっと腰を振れ!腰を振って擦り付け、俺のモノを、お前の望みの固さにしてみせろ!そうしたらくれてやるぞ!」
 鮫島の指示に従い、悩ましく腰を振るねる。
 刻一刻と、性奴隷の烙印を押される時が迫る…!

鰹のたたき(塩) ( 2020/08/23(日) 08:59 )