渡邉理佐の陥落物語
3.屈辱のリモート自慰
(オ、オナニー…!?)
 驚きの後、明らかな嫌悪感と躊躇を見せる理佐。
「…どうした?早く始めたまえ」
「━━━」
 急かされても、なかなか自尊心を捨てきれない。
 ただでさえ性格はS、自慰を強要されるなど本来なら耐え難い屈辱だ。
(で、でも、やらなきゃ…!言う通りにしないと虹花を助けられない…!)
 覚悟を決め、ソファーにもたれ、両手を胸元へと持っていく理佐。
 服の上から、ゆっくり、自分の胸を揉む。
 それを、四、五回、繰り返すも、まったく感情が入らず、気分が乗らない。
 気分が乗らないから手つきも怠慢に見える。
「おいおい、ふざけてるのか?」
 と画面越しに肩をすくめる目出し帽の男は、
「もっと、こういう反応を見せてもらいたいな」
 と言って、おもむろに人質の虹花の胸を鷲掴みにした。
「んんんっ!!」
 画面の向こうで、猿轡を噛み締めて呻き声を上げる虹花。
 さらに男の手が食い込み、震えるたび、くねくねと艶かしく身体を躍らせる。
(い、いつもの虹花じゃない…!クスリ…?催眠…?)
 敏感すぎる虹花の反応を訝しむ理佐だが、
「なぜ手を止める?早くやれよ」
 と言われ、慌てて胸を揉む手を動かす。
 だが、何やら様子のおかしい虹花に対して、クスリも催眠もないシラフの理佐は、いくら自身の胸を鷲掴みにしても男の期待するような反応は出なかった。
「仕方ないな…」
 男は呆れたように言って、
「右のサイドボードの一番上の段にある小さな壺を持ってきたまえ」
 と言った。
(壺…?)
 目をやると、確かにサイドボードの一番上の段に小さな壺が置かれていた。
 立ち上がり、それを持って再びソファーへ。
「そう、それだ」
 と言う男の横で、必死に何かを伝えようとしている虹花。
 だが、猿轡が邪魔で声にならない。
 それどころか、
「少し黙ってろ」
 と男に言われ、画面外に追いやられてしまった。
「これをどうすればいいの?」
 と理佐が問うと、男は笑って、
「服を脱いで、その壺に入っている液体を身体に塗りたくれ」
 と命じた。
 またもや訪れる理佐の静かなる抵抗の間。
 だが、いくら渋っても虹花を助けるためにはやらなければならない。
「さぁ、まずはストリップだ。ちゃんとカメラの前で脱ぐんだぞ?」
 と注文をつける男。
(う、うるさい…!)
 顔を赤らめながら、指示通り、服を脱いでいく理佐。
 下着姿になると、ブラに圧迫された膨らみと、スラリと長い脚が露わになった。
「いいぞ、セクシーだ。さぁ、その調子で、どんどん脱いでもらおう」
 と続きを促す男。
 ブラのホックを外せば体型のわりに意外とふくよかな胸が、そしてパンティを下ろせば綺麗に処理された陰毛が現れる。
「ククク…素晴らしい身体じゃないか。ソファーに座って、もっと見せてくれ」
「━━━」
 言われた通り、ソファーに腰を下ろし、長い脚をM字にして開く理佐。
「ほぅ。よく男を喰らっているわりには、綺麗なピンク色のマンコをしてるじゃないか」
 と笑われて、さらに赤面する理佐。
「さぁ、始めろ」
 と言われ、仕方なく、壺の中の粘液を掬う理佐。
(な、何これ…!?)
 指先にまとわりついて離れない気味の悪い液体。
 それが何かも分からないまま、指示通り、その粘液を自身の胸に延ばしていく。
 羞恥で熱くなった体温に溶け、さらに汗と混じることによって、みるみる液化して光沢を放つ粘液。
 胸の膨らみ、そして乳首にも、丹念に塗り広げる。
「いいぞ。その調子で、マンコにも塗りたくれ。クリトリスには特に入念にな」
「くっ…!」
 再度、壺に指を入れて粘液をこそぎとり、それを股ぐらへ。
 おそらく妙なクスリに違いない。
 そんなことは子供でも分かりそうなものだが、主導権が完全に相手側にあるため、黙って従う他ない。
 指示通り、秘部、そしてクリトリスへと指を這わせる理佐。
「んっ、あっ…!」
 気分は乗らなくとも、ヌメヌメした指で直に触れると、さすがに少し声が出てしまう。
「さぁ、そのままオナニーを続けろ」
 と言われ、胸を揉み、花弁を弄くり回す理佐。
「あっ、くっ…んんっ!はぁっ…!」
 徐々に吐息がかった声が漏れ始める。
(や、やっぱり…!)
 思った通り、胸、乳首、そして股間と、ヌメりがつけたところが熱を持ち、疼く。
 それ自体は予想の範疇だったが、想定外だったのは、その疼きの加減だった。
「くっ…んはぁっ…!」
 声が抑えられない。
 そこで理佐は、ようやく、虹花の様子がおかしかったのも、このクスリを盛られたせいに違いないと悟った。
 自らの身体で確信を得る皮肉…。
「ククク…いいぞ。だんだんノッてきたじゃないか」
 と、画面越しに、その男…鮫島が言う通り、当初に比べると無意識に指の動きが速く、そして本格的になってきた理佐。
「さぁ、もっと挑発的に、自分の指で感じている姿、そして表情をカメラに映せ」
(くっ…!)
 指摘をされたことで我に返り、動きを抑えようとするが、もう指は止まってくれない。
「んはぁぁっ!?あぁっ!やぁっ…!」
 気付けば、理性を保とうとする脳に対し、右手は卑猥な手つきで乳首をこねくり回し、左手は股を一心不乱に擦り続ける。
(ダ、ダメっ…!本気になっちゃダメっ…!)
 と必死に自分に言い聞かせる理佐。
 ふいに画面の向こうで、鮫島が、
「ほら。この声、お前もよく聞け。仲間がお前を助けるためにオナニーをしているぞ?」
 と、再び虹花を画角の中に戻す。
「や、やぁっ…!」
(そ、そうだ…!声が…!)
 鮫島と会話が出来ているということは、当然、その傍にいる虹花にも、この喘ぎ声が聞こえているということだ。
 それを思い出して急に恥ずかしくなる理佐。
 そんな理佐の羞恥心を見越したように、鮫島は、さらに、
「さぁ、お前も一緒に見るか?仲間のオナニーしている姿を」
 と虹花の目隠しに手をかける。
(…!!)
「や、やめてっ!見せないでっ!見ないで、虹花ァっ!」
「ククク…」
 目隠しを外しかけて、まだ外さない鮫島。
 目の前の虹花よりも、画面越しの理佐の恥じらう反応を楽しんでいる。
「さぁ、外すぞ!こいつの目隠しを外してしまうぞ!見られるぞ!」
「ダ、ダメっ!嫌ぁっ!」
 なおもオナニーを続けながら髪を振り乱して嫌がる理佐。
 その矛盾が、脳と身体の乖離を如実に表していた。
 強制された行為の筈が、すっかり没頭してしまっている自分。
(し、しっかりしなきゃ…!こ、これはあくまでも虹花を助けるため…!ここまで浸る必要はないのに…!)
 だが、疼きに翻弄され、指が止まらない。
「んんっ!あんっ…!あんっ…!」
「ほぅ。マンコだけじゃ満足できず、次はクリトリスを触るつもりだな?」
(くつ …!)
 鮫島は、理佐の指の動きで目ざとく見抜くと、
「お前の仲間、どうやら次はクリトリスを触るらしいぞ?こっちからは何も指示していないのに、まったくエロい女だ」
 と、わざわざ虹花にも伝え、さらに、
「もう乳首もビンビンになってやがる。なるほど、摘まんで転がすのが好きみたいだな」
 と聞かせるように解説をする。
(い、言わないでぇ…!)
 爆発するのかというぐらい赤くなる理佐の顔。
 オナニーの解説…。
 これまで欅共和国きっての女王様として、不届き者の男どもを数々、嬲り殺しにしてきた理佐にとって、こんな恥辱は初めてだ。
「んはぁぁっ!?あぁっ!はうぅッ!」
「ククク…躊躇なくクリトリスを摘まみやがった。その摘まんだ指でどうするんだ?」
「…んひぃっ!?あぁっ…!」
「やはり思った通り、乳首と同様に指で転がし始めたか。分かっているぞ。ヌメりで滑って、それがまた気持ちいいんだろう?」
(う、うるさい…!うるさいぃっ…!)
「ん?何だ?腰が浮き始めたぞ?もしかしてイキそうなのか?」
「んんっ!んあぁっ!あぁっ!」
(ダ、ダメっ…!イ、イク…!イッてしまう…!)
 まもなく来たる絶頂に向けて、指の動きが速まる。
「あぁっ!ダ、ダメっ!ダメぇぇっ!」
 絶叫とともに腰を浮かせる理佐。
 そして遂に…!と思った次の瞬間。

 バタバタバタ…!

(…!?)
 オーガズムに達する直前、突如、部屋に飛び込んできた男たち。
 素早く理佐の腰かけるソファーを包囲すると、胸と股間に置いた理佐の手を捻り上げる。
(し、しまった!仲間…!?)
 と思った時には、画面の向こうで鮫島は笑っていた。
「ククク…マヌケな女だ。オナニーに夢中で気付かなかったのか?」
「くっ…!」
 両脇を固められ、無理やり立たされる理佐。
 そして、そんな理佐に浴びせられる強烈な一言。
「もう少しでイキそうだったのに残念だったな?」
「━━━」
「ククク…そう睨むなよ。俺も、すぐ、そっちへ行く。次は俺が直々に、たっぷりと可愛がってやるさ」
 と鮫島は言って、そこで画面は途切れた。

鰹のたたき(塩) ( 2020/07/31(金) 09:07 )