欅共和国の罠 ― 捕らわれた男たちの記録 ―

















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序章編 松田里奈と森田ひかるに捕まった男
2.強制密着振動
 森田は慣れた手つきで用意したローターを五郎の左右の乳首に押し当て、テープで貼りつけていった。
 汗で剥がれないよう、何重にもテープをぐるぐる巻きにされたその姿は、まるで男なのにブラを着けているかのようだ。
「ねぇ。私、これ、何回やってもウケるんだけど」
 松田が、森田に向かって笑みをこぼす。
 何回やっても…ということは、これまでにも侵入者を捕らえては同じ目に遭わせて楽しんでいたのだろうか。
(厄介なヤツらに捕まってしまった…早く逃げ出さないと…!)
 と思っても、手足の枷を外さないことにはどうしようもない。
「よし、出来た!」
 テープを巻き終えた森田は意地悪な笑顔を見せ、
「どんな反応するか楽しみ〜」
 と、脂汗でいっぱいの五郎の顔をニヤニヤしながら眺める。
 ぐるぐる巻きのテープの擬似ブラジャー。
 その左右の先端の、ぼこっと盛り上がった膨らみは、森田の手からの電波の受信を今か今かと待ちわびている。
「行くよ〜?…えいっ!」
 遠隔リモコンのスイッチを入れる森田。
 ヴィィィン…と、テープの内側からくもった音を立て、左右のローターが振動を開始した。
「んぐっ…がぁっ…!」
 刺激が走る。
 慌てて身体を揺すっても、ぐるぐる巻きのテープのせいで勃起した乳首に密着したローターを振るい落とすことができない。
 そして、また、そのことを、
「暴れても無駄だよー。ズレないように何重にも巻いたからね」
 と森田が自慢げに言う。
 まるで電気ショックを食らっているかのように「X」字の拘束のまま、ぴくぴくと震える五郎と、その反応を見て爆笑する意地悪な拷問官たち。
 特に森田の方は、お腹を抱え、奇声に近い笑い声を上げて笑っている。
 その森田の手からリモコンを奪った松田は、
「じゃあ、だんだん強くしていくね?」
「や、やめっ…くぅぅっ!」
 振動のレベルを上げられていくにつれ、情けない吐息を堪えきれなくなってくる。
「ほら、しっかり立ちなさいよ。クネクネしないの」
 リモコン片手に、松田が、ぺちぺちと五郎の内腿を叩く。
 そして歯を食い縛る五郎が次に見た画。
 それは、さらにもう一つ、ローターを手にした森田の姿だった。
「その二つだけだと思った?…残念、もう一つあるんだよ?」
 と嬉しそうに笑みを浮かべる森田。
「さぁ…次はどこに当てようかなぁ…?」
 わざとらしい口調だが、もちろん狙いは既に定めている。 
「や、やめろ…くっ…!」
 たじろぐ五郎のパンツのゴムを摘まみ、引っ張る森田。
 そこに出来た隙間にローターを落とし、摘まんだ指を離すと、ぺちっ…と腹を打つ音がして、パンツのゴムが元に戻った。
 こうしてパンツの中に押し込まれたローター。
「アハハ!立派になったじゃん!」
 と、パンパンの股間の膨らみを見た松田が笑う。
 そして、五郎の眼前にリモコンをちらつかす森田。
「ほら、スイッチ入れちゃうよー?」
「くっ…や、やめろ…!」
「ホントに入れちゃうよ?ほら…ほら!」
 ゆっくりリモコンのスイッチに指を持っていくところから、わざと見せつけ、煽ってくる森田。
 その楽しそうな笑顔は、まさしく、いじめっこそのものだ。
 そして、ついに…。
「…んがぁぁぁっ!」
 スイッチオンと同時にパンツの中で暴れだす振動。
 このタイミングで、すっかり固くなり、先走り汁が溢れたイチモツへの振動は、効果絶大だった。
「くぅぅ…あぁぁ…がぁっ…!」
「アハハ!めっちゃ声出すやん、コイツ」
 指を差して笑う松田。
 だが、そんな見下し発言に腹を立てるヒマもなく、腋をくすぐられた子供のように五郎は必死に身体をよじった。
(は、離れろ…離れてくれ!)
 と思うが、ぐるぐる巻きのテープ、ピタッとしたパンツは、ともに中の異物を離さない。
 女二人の意地悪な拷問に手も足も出ない五郎。
 そんな絶好のオモチャを前に、主導権を握った二人の笑みが止まらない。
 これだけ暴れても、枷は外れる気配がない。
 やはり女の言う通り、鍵がないと外れないようだ。
 そして、その鍵は、今、目の前にいる女がポケットに入れていた。
(ど、どうすればいい…?どうすれば、あの鍵を手に入れることができる…?)
 頭の片隅で模索するが、刺激に邪魔されて頭が回らない。
「どう?気持ちいい?」
 と問われても、返事をする余裕がなかった。
 無視されて少しムッとした様子の松田が、
「聞こえてる?アンタに聞いたんだけど!」
「ぎゃぁぁっ…!」
 股の間に差し込まれたヒールの先でグリグリと股間を押されたことで、中のローターがより感じるところに当たってしまった。
 そんな五郎の絶叫に崩れ落ちて笑う森田。
 松田は呆れた様子で、
「何よ?その顔…もっとしてほしそうな顔しちゃって。もっと?仕方ないわねぇ…」
「がぁぁっ!ち、違うっ…や、やめろっ!やめてくれぇ…!」
 つま先で金玉を持ち上げるように嬲る松田の脚責めに悲鳴を上げる五郎。
「聞いた?やめてくれぇ…だって。ウケるんだかど」
「情けないなぁ。私たち、女だよ?女に好き放題やられて恥ずかしくないの?」
「ほら、感じてばっかいないで答えたら?」
 なおも股の間で動く松田の脚。
「くぅぅ…くそぉっ…くそぉぉっ!!」
 追い詰められて手も足も出来ない状況に発狂寸前の声を上げる五郎。
 だが、それすら、二人にとっては面白おかしく映るだけだった。


 その後も、レベルの強弱で緩急をつけたり、さらにくすぐりを追加されたり、散々、弄ばれる五郎。
 一通り、いたぶって満足した二人は、
「さぁ、どうしよっか?コイツ」
「とりあえずリモコンの電池がなくなるまで放っておくってのはどう?」
(…!)
「いいねぇ!レベルを少し抑えめにして、イクには足りないぐらいで、ずっと生殺し状態にしとこうよ」
「オッケー、決まり!」
(お、おい…!)
 何やら物騒な話を進める二人。
 その話を聞いていて、みるみる背筋が凍る五郎。
(こ、このまま放置…?ウソだろ…?)
 半信半疑で二人を見ると、本当に部屋を出ていこうとしているではないか。
「ちょっと疲れたから、私たち、休憩してくるね」
「気が向いたらまた来るから、それまで頑張ってねー」
 さっきまでの意地悪な絡みがウソのように、あっさりと突き放し、笑顔で手を振って出ていく二人。
「ま、待て…おいっ…おいっ!」
 返事のない叫び声が空しく響く。
 微弱な振動だけ残して部屋に放置された五郎。
 二人の思惑通り、断続的に快感が押し寄せはするものの射精するには少し振動が弱い。
「くぅぅ…はぁっ…がぁっ…」
 それからしばらく、その部屋には、誰にも需要のない捕虜の男が悶える吐息だけが響いた。

鰹のたたき(塩) ( 2020/04/13(月) 17:43 )