欅共和国の罠 ― 捕らわれた男たちの記録 ―

















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<番外編>同姓師弟の秘め事
7.
「今、外しますからねぇ♪」
 ルンルン気分で分娩台の拘束を解いていく麗奈。
 右足、左足…そして、右手、左手…。
(よし…!)
 と思った茜をよそに、ニヤリと笑った麗奈は、肩を貸すようにして茜を下ろすと、そのままベッドへ運び、抱き合い、もつれるようにして倒れ込んだ。
 ふかふかマットで、ぼよんっ…と弾む二人の身体。
「ほら、着きましたよ…♪ベッド…♪」
 と、優しい笑顔で囁き、唇を重ねてくる麗奈。
 応じるように唇を開け、可愛らしい舌の侵入を受け入れる茜。
 同時に麗奈の、白くて細い身体に手を回す。
「んっ…♪んっ…♪」
 ゴロゴロとベッドの上で転げ回っては、深いキスに夢中の麗奈。
 覆う被さるように真上に来たところでようやく口を離すと、満面の笑みで一言、
「さぁ、茜さん…もっと、も〜っと気持ちよくしてあげますからね…♪」
「うん…すごく楽しみ…♪」
 と上目遣いで油断させておいて、次の瞬間、背後に回した手で、素早く頸椎に手刀を打ち込んだ茜。

 トンっ…!

「うっ…!」
 と小さく声を上げ、茜の上に落ちてきた麗奈の身体。
 受け止め、入れ替わるようにスッと起き上がった茜は、一度、安心したように溜め息をつくと、これまでの鬱憤を露わにするような戦慄の眼差しを向け、
「さぁ…悪ふざけが過ぎた仔猫ちゃん…お返しに、どんな目に遭わせてやろうかしら…♪」
 と不敵な笑みで呟くのだった。

 ……

「…うっ…」
 虚ろな眼差しで目を覚ました麗奈は、すぐに、
「えっ…な、何これ…!」
 と自分自身のあられもない格好と体勢に気がついた。
 いつの間にか服も下着も剥ぎ取られて全裸で、両手は顔の横、脚はM字開脚と、つい先ほどまで茜を苦しめたのと全く同じ形で拘束されていた。
「ちょ、ちょっと…ウソでしょ…」
 と、手足を揺すっても動けないことに狼狽する麗奈。
 そして、ふと気配に…いや、殺気に気付いて部屋の入口に目を移した麗奈の目を見開き、顔が強張る…。
「あ…あ…!」
 麗奈の視線の先には、いつものボンテージに着替え、威厳を取り戻した茜が不敵な笑みを浮かべ、腕組みをして立っていた。
「ふふっ…おはよう、麗奈ちゃん♪目覚めはいかが?」
「や、やぁっ…!」
 慌てた様子で、より激しく手足を揺するも、びくともしない。
 そんな無駄な抵抗をせせら笑うように分娩台に歩み寄る茜。
「ずいぶん出過ぎたマネをしてくれたじゃない…可愛い顔して、なかなか野心家なのねぇ?」
「ひ、ひぃっ…!」
 目の奥が1ミリも笑ってない不気味な笑顔を直視できず、目を背ける麗奈。
 そんな麗奈の顎のラインをスッと撫で、
「さぁ、お仕置きの時間よ?貴女のような危険思想のある娘はここでしっかり再教育しておかないと内部崩壊の種になりかねないからね…!」
「やぁっ、ま、待ってくださいっ…!あ、あれは何かの間違いで…!」
「へぇ…♪何かの間違いねぇ…だったら私も、何かの間違いでこーゆーの使っちゃおっかなぁ♪」
 と、懐から取り出したミニ電マと、何やら香水のような瓶。
「こっちは何か分かるわよね」



 と、茜は、電マよりも瓶の方を麗奈の眼前でちらつかせて、
「これ…何か分かる?」
(…?)
 怪訝そうな顔をする麗奈に、
「これはね。私がMyオイルに混ぜている媚薬成分の素となるエキス…要するに媚薬の原液ね。そのままだと効果が強すぎるから、私が調合する時は五倍ぐらいで薄めてるんだけど…♪」
 と不敵に微笑みながら瓶のキャップを開ける茜に、何かを察し、
「…い、嫌っ!ま、待ってくださいっ!」
 と顔が青くなる麗奈。
「ん?何か言ったかしら…?気のせいよね…」
 と聞く耳を貸さずに、手にした電マの先の球体部分にチョロチョロと原液媚薬をふりかける茜。
 その状態でスイッチを入れると、

 ブィィィィン…!

 と、まるで浴びた液体の飛沫を飛ばすように振動が始まる。
「さて、と…♪」
 まずはそれで麗奈の胸の先をかすめ、
「あっ、んっ…!」
 と可愛い声を出させる。
「ほら、こっちも…♪」
 と、もう片方の乳首もかすめ、振動とともに、ふりかけた媚薬エキスを付着させていくと、そのまま、お腹、へそ、下腹部と伝い、報復のバイブは股ぐらへ近づく。
「い、嫌っ…や、やめてくださいっ…ふぁぁっ!?」
「なに〜?何も聞こえないわねぇ…♪」
 と意地悪に微笑んだ茜。
 麗奈のまだ濡れてもいない割れ目を電マでなぞり、媚薬でしっかりと湿らせていく。
「あっ、やぁっ、ダ、ダメです…んんっ!」
 静かに怒る鬼軍曹を目の前に身動きがとれず、すっかり顔面蒼白の麗奈。
「さぁ…原液だから効き目は早いと思うけど、どうかしらねぇ…♪」
 と茜が呟いたのを皮切りに、早速、
「あっ、な、何これ…!?あ、熱っ…熱いっ…!やぁっ…!」
 と、麗奈が悶え始めた。
「んー?どうしたのぉ?モジモジ、腰を浮かせしちゃって」
 しらじらしく顔を覗き込む茜に、たまらず、
「あ、熱いですっ…!ち、乳首と…アソコがぁ…!」
「へぇ…それは大変ねぇ…」
 と、すました顔で知らんふりの茜。
 唇を噛んで耐えれたのは、わずか数秒。
 すぐに、
「あ、茜さんっ…!む、無理ですっ…こんなの無理ですっ!な、何とかしてくださぁいっ…!」
 と涙声で声を上げる麗奈。
「何とか…?たとえば?」
「さ、触ってくださいっ!で、でないと、おかしくなりますぅっ!」
「あらぁ、それは大変ねぇ。でも、私はおかしくなるところが見たいんだけど?」
 クスクスと笑う茜に、
「あ、謝りますっ!したことは謝りますからぁっ!」
 と、懇願する麗奈。
「ふーん…どうしようかなぁ…?」
「はひぃっ!?」
 電マの振動が、かすめるように股をすり抜けた。
 それを一度、二度、三度と続けるが、触れるか触れないかの刺激ばかりで、乱暴に押し当てるようなことはない。
 身体が疼いてたまらない麗奈が、今、欲しているのは、むしろそっちの刺激だ。
「あぁっ…んんっ、あ、茜さんっ…んはぁっ♪」
「あらあら、可愛い声が出てきたわねぇ?もっも聞かせてほしいな、その声…♪」
 と、電マでのソフトタッチを続ける茜に、
「あっ、あっ…や、やぁっ、も、もっと!もっとぉっ!」
 と、物足りずに腰を浮かせる麗奈。
 ガシャ、ガシャ…と、手足の拘束具、そして分娩台を揺するも、思うような刺激は与えてもらえないし、得られない。
「さぁ、まだまだ焦らすわよ。私にしたことの代償は、こんなものじゃないからね♪」
 と、優しい笑顔で残酷なことを告げる茜。
 ニコッとして、さらにもう一本、電マを用意し、火照る麗奈の身体を二刀流でいたぶりにかかる。
「ふぁぁっ♪あぁっ、ダ、ダメっ!んひゃぁっ♪」
 悦びながら苦しむ麗奈。
 気休め程度の刺激が、感度をさらに上げてゆく。
(あ、熱いっ!ぬ、塗られたところが熱くて…し、振動でさらに灼ける…!こんなの…!)
 美しい麗奈の顔が、そして身体が、みるみる汗だくになって光沢を放つ。
 イク寸前にすらも連れていってくれない、ただむず痒い刺激を延々と与えるだけのドS焦らし。
「さぁ、どれぐらい焦らそうかなぁ?さっき私に好き放題してくれた時間の倍は焦らさないと気が済まないわね♪」
「なっ…!ダ、ダメですっ!そ、そんなことされたら…私、死んじゃうっ…!」
 調子に乗って茜を何回イカせたかまで覚えていない。が、少なくとも、かけた時間が2、3分ではないのは確か…。
(じゅ、10分以上…!)
 それが単純に15分だとしても、その倍となると30分…。
 半時間もこれが続くなんてとんでもない話だが、茜の表情を見るかぎり、決して冗談ではなさそうだ。
(む、無理…ホントに無理…!)
 震える麗奈に、

「さぁ、狂っていく中でたっぷり後悔しなさい。貴女のしたことが、いかに恐ろしいことだったかを…!」

 心臓を射抜くような茜の鋭い視線。…いや、むしろ射抜かれた方が楽になれただろう。
「い、嫌ぁっ!嫌ぁぁっ…!」
 鬼軍曹、守屋茜を我が物にする思惑が潰えた麗奈。
 そして、その謀反の報復は「倍返し」さながらに過酷を極めた。

 …… 

 それから一時間弱。
 有言実行とばかりに、微弱な振動で焦らし続けた茜。
 その結果、その部屋では、
「んぎぃっ…!ぎゃぁっ…!あぁっ…!」
 と、そんな声色の人物がいたかと首を傾げるような呻き声が響いていた。
 スーパールーキー守屋麗奈、あえなく発狂…。
 あの凛とした美しい顔立ちは無惨に崩壊し、快楽に飢えた雌豚そのもの。
 数珠の玉のようにビンッビンに勃起した両乳首と、だらしなく淫汁を垂れ流した股ぐら。
 大量すぎて分娩台では受け止められず、ポタポタ…と下に水溜まりを作っている。
 その変わり果てた姿を見て、ようやく電マを止めた茜。
「ふふっ…どう?気分は?少しは反省したかしら?」
 と、すっかり余裕を取り戻して爽やかに聞くが、当の麗奈は、涙と涎、そして鼻水で顔がぐしゃぐしゃ。
 火照って真っ赤な頬に、なおも後悔の涙を流して、
「ゆ、ゆるじでくだざい…ゆるじでくだざい…」
 と壊れたテープレコーダーのように繰り返すのみ。
「どれどれ…♪」
 と、股ぐらを覗き込む茜は、クスッと笑って、
「アハハ!すごいわよ!オチンチンはおろか、指も舌も使ってないのに、もう中出しされたみたいになってるわよ♪ここまで真っ白で粘っこい本気汁は見たことない♪」
 と嘲笑を浮かべ、指先でその白い雫を掬い取る。
「んはぁっ…♪」
 それだけでも、ビクッ…!と跳ね上がる麗奈の身体。
 感度がバカになっている証拠だ。
「ほ〜ら…ほ〜ら…見て、これ…こんなにネバネバよ?」
 と糸を引かせて見せ、いきなり、その指を麗奈の口に押し込む茜。
「んごぉっ…!」
「ほら、汚れちゃったわ。キレイにしてちょうだい♪」
「うぅっ…んぐっ…!んぐっ…!」
 すっかりおとなしくなって、借りてきた猫のようになった麗奈は、言われた通り、まるでフェラチオをするように茜の指を咥え、先端から根元まで丹念にしゃぶった。
 まるで、言われた通りにすれば何かいいことが待っていると期待しているかのように。

 チュポッ…チュポッ…

 と、分娩台から首だけ起こしての指フェラ。
 乱れた長髪が肩や首筋に貼りついているのも相まって、妙なエロチシズムを醸し出す。
「…はい、もういいわよ」
 と、満足げに指を引っこ抜いた茜。
 淫汁まみれが唾液まみれに変わって帰ってきたのを、次は自身がベロベロと舐めると、スッと麗奈の大洪水の股ぐらに這わせる。
「…んひゃぁっ♪」
「ふふっ、いい声ね。そんなに待ち遠しかったの?」
「は、はいっ…ず、ずっとしてほしくて…んひぃっ!?」
「あら、どこかに当たった?」
「ひぃっ…ク、クリに…クリに当たりました…♪あひぃっ!?ダ、ダメぇっ♪」
「何よ、嬉しそうな声を出したから、てっきり喜ぶかと思ったけど違ったの?」
「ち、違いますっ…!嬉しい…嬉しいです…!だから、もっと…♪」
「そうよねぇ?嬉しいに決まってるわよね♪」
 と、ヌルヌルした指でスクラッチをするように固くなった豆を擦り上げる茜。
 たちまち、
「あっ、イ、イクっ♪イクぅぅっ♪んはぁぁっ…!」
 と、声を上げて絶頂へ駆け上った麗奈。
 焦らされ続けた末のクリイキで凄まじい快楽を得たのだろう。
 それだけで失神するほどの跳ね方だった。…が、茜の指スクラッチは速度を落とす気配がない。
「んひぃっ!?ま、待ってくださいっ…イ、イキましたっ!今イッたからぁっ!あぁっ、そ、そんな続けざまにしちゃダメぇっ!んあぁっ!?」
 と絶叫する麗奈に、
「ほらっ!こーゆーことしてほしかったんでしょ?気が済むまでしてあげようじゃないの…私の、だけど♪」
 と、まったく聞く耳も貸さず、それどころか緩んだ膣口にも指を押し込み、ここから二点責めにするドSっぷり。
「んぎゃぁぁっ!?あぁっ!んはぁっ!?」
 いやいやをするように首を左右に振りながら、
「イ、イクっ!またイクっ!んあぁぁっ…♪ま、待って!イッた!もう二回もイッたからぁっ!んあぁっ!?」
「なに言ってんの!もっとイケるでしょ?好きなだけイカせてあげるわよ!ほらほらっ、ほらぁっ!」
「がぁっ…あぁっ、イ、イグっ!イグぅっ!んほぉぉぉっ♪」

 プシャァァッ!

 と、とうとうイキ潮を撒き散らしての絶頂。
 だが、いくら情けないアへ顔を晒しても責めは止まらない。
 焦らし地獄から一転、次はイカセ地獄。
「二度とあんなことしようなんて考えることすらしないようにしとかなきゃいけないからね♪」
 と、あえてトラウマを植えつけるつもりの確信犯的な制裁拷問に、
「イ、イグっ!またイグぅっ!」
 と、絶頂…そして、またすぐに絶頂を繰り返す麗奈。
 間隔がほとんどない、まるで“イキながらイク”ような感覚。
 息絶え絶えで瀕死状態の麗奈に対し、
「アハハ!分かった?これに懲りたら、二度と私に逆らうんじゃないわよ?」
 と高笑いの後、
「男もいいけど、女で遊ぶのも楽しいものねぇ…思いのほか気持ちいいものだし、これは今後も考えものだわ…♪」
 と不穏なことを呟いた茜。
 そして…。

 ……

 ズリュッ…!ズリュッ…!

「んっ、あぁっ♪いいっ、すごくいいわ♪ほらっ、どう?たまんないよねぇ!?」
「んひぃっ♪き、気持ちいいですっ!茜さんと繋がるの、さ、最高ですぅ♪」
 と、恍惚の表情を浮かべて見つめ合う茜と麗奈。
 その股には、ウナギのような双頭ディルドーが潜み、二人の身体の架け橋となる。



「あぁっ、んんっ♪私…今日は…あんっ、んっ…いつもより溜まってるわよ♪ひ、昼間の男が…んっ、あまりにも早漏で…粗チンすぎたから…!はぁん♪」
「わ、私も思ってましたっ♪あっ、んんっ…だ、だから今日は…私も…溜まってます…♪ひゃぁっ♪」
 と、繋がり、喘ぎながら話す二人。
 埋まるディルドーに追いローション…媚薬入りMyローションをたっぷりと追加し、
「じゃあ…今夜はたっぷり付き合ってもらうわよ、麗奈ちゃん…♪こないだのあの舌遣い…また見せてくれるわよねぇ…?」
 と、笑みを浮かべる茜に、
「はい、もちろん…♪茜さんのためなら、いくらでも…♪」
 と、二つ返事で頷き、続けて、
「そ、そのかわり…私にも、また、あの指責め、してくださいねっ…♪」
「もちろん♪たくさんしてあげるわ♪」
「やったぁ…♪」
 と屈託のない笑顔を見せる麗奈。
 その目からは、あの日のような野心はすっかり消え失せ、いまや完全なる茜の忠臣…お互いの身体を知ったことで、より強固な絆を得たパートナーへと成り変わっていた。
 そして再び、一心不乱に腰を打ちつけ合う二人…。
 底なしの性欲を持つ二人の憂さ晴らしは、この後、明け方近くまで続くのだった。


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2021/09/19(日) 11:02 )