6.屈辱のリング (調教開始編)
スッ…スッ…
「んっ…んんっ…!」
「ほらぁ、どうしたんですかぁ?ちゃんと、まっすぐ立ってくださいよぉ」
「そ、そんなこと言ったってぇ…!」
見世物と化した沙友理をくすぐり責めにかけてご満悦の日奈子。
いろんなところをくすぐってやるうちに、先ほどの腋以外にも弱点を見つけた。
それは、ずばり、膝小僧。
そこをくすぐった時の堪えてる顔が面白い。
「んんっ…!くぅっ…!」
クネクネと身体をよじる姿に、
「へぇ〜、こんなところが弱いんですねぇ?松村さん」
と意地悪な笑みを浮かべる日奈子の、
「この調子なら、松村さんのこと、案外、簡単にオモチャに出来るかも…♪」
と呟いた一言が気に障る。
「ひ、日奈子…!ホンマ、ええかげんにしぃや… は、早よ目ぇ覚ましっ…!」
と叱りつけるも、耳を貸してくれる様子はない。
いや、それどころか、背後からへばりつくように身体を寄せて、
「こんな絶体絶命の状況なのに、まだそうやって必死に強がってるところ…可愛い♪」
と沙友理のロングヘアーを指でクルクルと巻き、掻き上げて、もう一度、耳に舌を這わせる日奈子。
「んっ…!」
「ふふっ♪いつまでそんな態度でいられるか楽しみですよ、松村さん…♪」
「ふ、ふざけんといて…!私はずっとこのまま…!」
「へぇ〜…これでもですか?」
(…!?)
ふいに視界が暗くなった。
背後からアイマスクをつけられたのだ。
「くっ…!」
「さぁ、これでどこからどんな攻撃が来るか分かりませんよ。怖いですねぇ?」
と耳元で囁く日奈子は、気配を消してスッとしゃがみ、再び膝小僧を狙う。
てっきり耳や腋に来ると思って油断してる沙友理の膝に、ふいにカサカサと虫が這うような指遣いで触れてやると、
「ふぁぁっ!?ひ、膝はアカン…!んにゃぁっ…!」
「あれ〜?何ですか?今の。もしかして猫のマネですかぁ?」
と小馬鹿にして弄ぶうちに、だんだん確立されてくる日奈子のS気質。
立ち上がり、沙友理の耳元に口を近づけて、
「目隠しって実は調教にはマストアイテムなんですよね〜。人によっては、感覚が鋭くなって感じやすくなったり、何をされるか分からないドキドキで余計に興奮しちゃう人もいるみたいですけど…松村さんは…?」
「ど、どっちも違うっ…!」
日奈子の囁きを振り払うように首を振り、
「日奈子っ!ホンマこのへんにしとかな、本部に帰ったら大問題に…!」
と言いかけたところで沙友理の言葉が止まった。
ふいに、
チョキチョキ…
と耳元に聞こえた不穏な音。
さらに冷たい金属が肩に触れ、ブラの肩紐を吊り上げる。
「くっ…!」
「さぁ、目隠しをすれば恥じらいも何もないでしょ?じゃあ、そろそろ見せてもらいますよ、松村さんの色っぽいハ・ダ・カ♪」
唇を噛むよりわずかに早く、パチッ…という音とともに肩紐を切られ、締め付けが緩んだ。
さらに、もう片方の肩紐もあっけなく切断され、だらっと垂れ下がったブラ。
かろうじて胸の膨らみに引っ掛かって残っているが、その膨らみのサイズ自体が小振りだから、背筋を伸ばした瞬間、スルリと落ちてしまいそうだ。
もちろん、それを最も避けたいのは沙友理本人。
必死に胸を張ってブラの落下を防ぐ。
その様を見て、
「アハハ!頑張ってる、頑張ってる♪」
と嘲笑う日奈子。
観衆からも、
「しぶといわねぇ」
「早くおっぱい見せなさいよ!」
「どんな形してるのかしら〜?」
と野次られ、ぐっと堪えるしかない沙友理。
そして、この状況において、アイマスクで視界を遮られたことは致命的だった。
フゥゥ〜…
「んんっ…!?」
ふいに耳から首筋に吹きかかる日奈子の意地悪な吐息。
つい、ビクッと反応してしまったが、慌てて胸を張り直し、間一髪、ブラの落下を止めた沙友理。
続いて、耳たぶを、またもや生温かい舌が這う。
しかも次は、ネチョネチョと耳の穴に潜り込むようにして…。
「んっ、んんっ…!」
思わず脚を内股にして、むず痒い刺激に耐える沙友理。
耳の中で、
「ほら…早く見せてくださいよ、みんなに。松村さんの自慢のおっぱい…♪」
と微笑まじりに囁く日奈子。
「い、嫌やっ!絶体、嫌ッ…!」
追い払おうと髪を振り乱すも、あまり大袈裟に身体を揺らすと逆効果になりうるため、動きに制約が出来てしまう。
そして、その限られた動きは、ギャラリーにとっては、ただ耳を舐められて悶えているようにしか見えない。
「ふふっ…♪」
と妖しく微笑んだ日奈子。
沙友理の視界が利かないのをいいことに、耳を標的にしていると思わせておきながら、ひそかに、また剥き出しの腋を狙う日奈子の指…!
耳舐めで気を引いてる隙に、気配を消して近づき、そして、いきなり、こしょこしょと左右同時にくすぐりにかかった。
「はひぃっ!?」
情けない声とともに、ぴょんと飛び上がり、反射的に腰を引いてしまった沙友理。
その瞬間、胸の引っ掛かりを失い、緩んだブラは、あっけなくリングへと落ちていった。
(し、しまった…!)
と思っても、もう後の祭り。
とうとう晒されてしまった沙友理の胸。
沸き上がる歓声に、
(嫌ぁっ!見やんといてぇっ!)
と、内心、絶叫する沙友理。
「あーあ…とうとう出ちゃいましたよ、松村さんのおっぱい…♪」
と、膨らみの裾を指先で円を描くようになぞり、
「へぇ〜…♪可愛いおっぱいしてるじゃないですか…まぁ、見た感じ、サイズは日奈子の圧勝ですけどね♪」
と余計な一言を付け加える日奈子に、つい、
「う、うるさいっ!ほっといてッ!」
と怒りを露わにする沙友理。
ひそかにコンプレックスでもある貧乳…そこだけは誰にもイジられたくない。
ましてや後輩…それも、よりによって年下のわりに自分より胸が大きくて、しかも、いまや敵と化した裏切り者同然の後輩からだと尚更だ。
一方、そんなことなど気にもせず、無造作に沙友理の胸のべたべたと触り、揉みほぐす日奈子。
「あっ…!んっ、んんっ…!」
体内に宿っていた火照りが胸を揉まれた刺激を合図に、一気に活性化したような感覚。
カクテルに混入されていた遅効性の媚薬は、ここにきて、みるみる本領を発揮し始め、この最悪のタイミングで沙友理の感度を高めていく。
(ア、アカン…反応したらアカン…!反応したら日奈子の思う壺…!せやけど…せやけどっ…!)
小ぶりな胸を揉まれれば揉まれるだけ、その胸の内側に熱が集まり、火照る。
その火照りを発散するには、繰り返し、そこを…小さな膨らみを強く揉んで散らしてもらうしかないのか。
やがて…。
「んあぁっ!?あぁっ!?」
「アハハ!だんだんいい声になってきてますよ、松村さん♪」
アイマスクをつけられた沙友理からは見えない日奈子の楽しそうな表情。
過去、自分がクイーンに嬲り殺しにされた時のことを反芻するように同性嬲り、それも、下克上の先輩嬲りに没頭する。
「んっ、くぅっ…あっ、ひ、日奈子っ、ダメぇっ…!」
「またまたぁ!本当は喜んでるくせにぃ♪」
「よ、喜んでないっ…!喜んでるワケないやろ、この状況で…!い、いいかげんに…んひぃっ!?」
抗議を中断し、ひときわ高い声で飛び上がる沙友理。
日奈子の指が、その小さな膨らみの頂点、乳首を摘まみあげたのだ。
「ア、アカンっ!そこは触ったらアカン…んひゃぁぁっ…!」
逃れようと腰を引く沙友理に対し、そう簡単に逃すまいと逆に摘まんだ乳首をどんどん引っ張る日奈子。
「ひ、ひぃっ!?」
真逆に作用した力に悶絶する沙友理に対し、
「アハハ!何やってるんですか、一人で。逃げようとするから引っ張られるんですよ」
「は、離してっ!離してってばぁ!」
「離す?何をですか?」
日奈子の意地悪に口ごもる沙友理。
アイマスクをつけられても、この場の風景はしっかり覚えている。
リングの周りに大勢の女たちが詰めかけ、さらに女幹部クイーン、そして万理華もこの状況を見ているに違いない。
そんな中で「乳首」という単語を口走ることに躊躇してしまうのだが、言わないと終わらない。
「どうしたんですか?もう抵抗はおしまいですか?だったら、次々やっちゃいますよぉ?」
クリクリ…クリクリ…
「んひゃぁっ!?」
指の腹で転がされ、さらに悶絶する沙友理。
「うわぁ…すごい…!松村さんの乳首、ちっちゃいくせにもうこんなにコリッコリになって…どうですか?気持ちいいですか?」
「き、気持ちよく…ない…」
「はい、ダウト〜!そんな可愛い声で反応してるくせに気持ちよくないワケないでしょ?ウソつきにはお仕置きですよ。ほらっ、ほらぁっ!」
「んあぁっ!?あぁっ!?」
ぎゅっ、ぎゅっ…と摘まんで引っ張られ、痛みと快楽を同時に与えられる沙友理。
ふと、頬に髪がかかった。
日奈子が背後から首を伸ばし、肩越しに覗き込んでいるのだ。
そして…。
とろっ…
「はうぅッ!?」
日奈子のセクシーな唇から垂れた涎は見事に沙友理の右の乳首に命中した。
すかさず指で絡めとり、擦りあげて馴染ませると、
「んはぁっ♪」
「アハハ、いい声になってきたじゃないですかぁ♪ほ〜ら、こっちもヌルヌルさせちゃいますよぉ♪」
と、続いて左の乳首にも涎の潤滑油を支給。
こちらは惜しくも乳首にドンピシャではなく胸の膨らみの方に落ちたが、すぐ指で掬って乳首まで運んで塗り込む。
「ほら、日奈子の涎でヌルヌルにしてあげますね♪」
「ひ、ひぃっ…!ダ、ダメっ、それダメぇっ!もうやめてってばぁっ!」
「えー?だったら認めてくださいよ。気持ちいいってこと♪」
「い、嫌やっ!それは嫌ぁっ!」
「じゃあ、認めるまで続けますね〜♪」
淡々と乳首弄りを続ける日奈子。
刺激が理性を、そしてクスクスと聞こえる観衆の笑みが沙友理の自尊心を、それぞれ痛めつけていく。
(あ、熱いっ…!胸が…乳首が…さ、触られてるところが、全部、熱い…!)
冷めない熱、火照りがバスト周辺に完全に停滞してしまった。
たまらず、
「ひゃぁっ!?あ、熱いっ…!熱いぃっ…」
と次は声に出して苦悶する沙友理。
「へぇ〜…?熱いんですかぁ…それは大変ですねぇ…♪」
と他人事で乳首嬲りを続ける日奈子。
その表情は、また何やら妖しげな、良からぬことを企んでいる顔だ。
「んっ、く、くぅっ…!」
「アハハ♪もうじっとしてられないですね。そんなに熱いですか?松村さん」
「━━━」
たまらず、うんうんと頷く沙友理。
もちろん、まだ屈する気など毛頭ない。
単に「熱いか?」という問いに対する頷きなのだが、
「へぇ〜…そんなに熱いなら何か“ひんやりするもの”で冷ましてあげないとねぇ…?」
と不穏な一言を口走る日奈子。
そして、次の瞬間、
「あひぃっ!?」
突然、冷たいものが、すっかり過敏になった胸の膨らみを襲った。
粘っこい液体が胸を包む。
(な、なに!?…まさかっ!)
ハッとした表情をする沙友理に、
「どうですか?松村さん。じっとしてられないぐらい熱いのも、これで少しはマシになりましたか?」
と微笑みかける日奈子。
目隠しをされている沙友理には見えないが、その手に持っていたのは、クイーンから手渡された強力媚薬「HMR」配合のオイル。
それを贅沢に胸全体に振りかけてやったのだ。
そして耳に飛び込むリングサイドからの声。
「あなた、そもそも、それのことを調べに来たんでしょ?だったら思う存分、調べるがいいわ。自分の身体で、実際に体験しながらね。…まぁ、その後どうなっちゃうかは知らないけど♪」
クイーンの無責任な言葉に、松村の口元がさらに強張った…!
(つづく)