5.生殺し
二時間後。
「あー、なかなか美味い店だったな」
「最高ッス!」
「御馳走様です!」
「あぁ、いいってことよ」
ガヤガヤと話し声が聞こえ始め、外から施錠を外す音が聞こえた。
扉が開いた瞬間、男たちの間に浮かぶ苦笑。
そこにいたのは、もはや捜査官と呼ぶに値しない、快楽に飢え、ただのメスと化したさくらだった。
「か、痒い…痒いよぉっ…!」
涎の水溜まりを作り、天井から繋がる首輪の鎖をピンと張ったまま、ゴロゴロとのたうち回るさくら。
相変わらず、必死に貞操帯の上を掻きむしるも、依然、分厚い革に阻まれ、その刺激は肝心なところへは届かない。
むっちりした太ももは既に大量の引っ掻いた痕で真っ赤、胸の膨らみをすっぽりと覆う椀にも爪を立てた跡が見える。
男たちが戻ってきても手を止めないぐらいだから、この放置された二時間の間も、延々、無駄な抵抗を繰り返していたことが窺える。
「おーおー、お盛んだねぇ」
とニヤニヤしながら床に這うさくらを見下ろす幹部。
さくらは、その幹部のズボンの裾を掴み、
「お、お願い…は、外して…これ外してぇっ…!」
と、ウルウルした瞳で訴えるが、男はその手を冷たく蹴り払い、
「汚い手で触るなよ」
とあしらい、構うことなく、スタスタと歩いてソファーに腰を下ろした。
同じく子分の男たちも次々と…。
「んっ、あぁっ…お、お願い…おかしくなる…おかしくなっちゃうからぁ…い、行かないで…ねぇ、外してよぉっ…」
と、うわ言のように繰り返すさくら。
「チッ…うるせぇなぁ、こいつは」
幹部は面倒くさそうな顔をして再び立ち上がると、どこからともなく取り出したボールギャグをさくらの小さな口に噛ませ、バンドで固定した。
「んぐっ…!んぐっ…!」
すっぽり口に収まった球体に声を奪われ、呻き声を上げるさくら。
そんなさくらには目もくれず、
「これで少しは静かになるだろ」
と、もう一度、ソファーに座り直した幹部は、
「あー、腹一杯になったら女でも抱きたくなってきたなぁ?誰かいねぇのか?すぐにヤレる女は!」
とぼやく。
それに対し、
(わ、私…!私がここに…!)
と目で訴えるさくらだが、見向きもされない。
すると子分の一人がニヤリと笑って、
「アニキ!俺の知ってるヤリマンでよかったら紹介しましょうか?この近くに住んでるヤツで、呼べば5分で来ますよ」
「ほぅ、どんな女だ?」
「えっと…こいつです。一万やれば誰にでも股を開く尻軽ですが、そのかわり、テクニックはなかなかのものが…」
と子分がスマホで写真を示し、幹部も、
「どれどれ…ほぅ、なかなかいい女じゃねぇか。すぐ来れるならちょうどいい。呼べや」
「分かりやした」
と電話をかけに出ていく男。
その下世話なやり取りを、ずっと、恨めしそうな、そして悔しそうな顔で睨むさくら。
幹部は、そんなさくらの目に気付いていながら、別の子分に、
「おい、マット持ってこい。あと、道具もテキトーに準備しろ」
と指示をした。
テキパキと動く子分たち。
さくらの目の前にマットを運び入れ、隣に立てた台には、ローション、バイブ、そして電マ…。
(あぁ…す、すごい…ブ、ブルブルするヤツ…そ、それに、あの太いバイブ…!い、挿れたら、絶対、気持ちいい…!)
目の前でセッティングされていく大人のオモチャに思わず生唾を飲むさくら。
だが、それらは全て、さくらのために用意されているワケではない。
数分後、出ていった男が、女を連れて戻ってきた。
見た目で判断するのは失礼と言うが、実際、一目見ただけでも尻が軽いと分かるギャル風の若い女。
二、三言、会話をして幹部に金を貰うと、そのまま勢いで激しいキスが始まり、そしてマットに押し倒されると、そこに子分の男たちも次々と群がり、その尻軽ビッチにとっては逆ハーレム状態。
まんざらでもない顔で少し焼けた褐色の肌を惜しげもなく晒し、四方八方から指の愛撫が始まると、
「はぁぁっ!んあぁっ!き、気持ちいいっ♪もっとしてぇっ♪」
と艶やかな声を上げる女。
「さぁて、こういうのも使っていくぞ!」
と、先ほど用意した大人のオモチャの出番。
ブィィィン…!
と聞こえる振動音が、さくらの欲を誘う。
(あぁっ…な、何で…!私は…?私にも…!)
と視線で訴えるも背を向けられては意味がない。
その後も、卑猥な声や振動音が部屋に響くたび、それを目の前で見せられるさくらも、胸のお椀に手を添え、内ももを一心不乱に掻きむしる。
(わ、私もっ…!私にも同じことしてよぉっ…!)
という目を続けるも、さくらのことは完全に無視…。
グジュッ、グジュッ…とマットの上から響く濁音と、
「あんっ!で、出ちゃうっ!そんなに激しくされたら、潮、噴いちゃうよぉっ!」
と絶叫するビッチ。
やがて、由来そのまま、クジラの潮吹きのように男たちの輪の中から噴水の如く飛び散る液体。
大きく弧を描き、さくらの目の前にまで飛散した。
その光景を見ても、
(ず、ずるいよぉっ…!)
と思ってしまうさくら。
そして、息を荒くして潮吹きの余韻に浸る女の腕を引っ張り上げ、その眼前で仁王立ちになる男たち。
女が、求められている次のアクションを理解したように妖艶な目付きで、一人ずつベルトを抜き取り、ズボンとパンツを下ろしていく。
次々に露わになる男のシンボル、そして、それに、遠巻きに目を奪われるさくら。
ある意味、今、さくらが最も欲してるものだろう。
特に幹部のものは、さすが幹部と言わざるをえない大きさと反りを併せ持ち、その黒光りして脈打つ様はまさに女を鳴かせる凶器と呼ぶにふさわしい。
(す、すごいっ…!あんな太いの挿れられたら…す、すぐにイッちゃいそう…!)
と、勝手に、その巨根で犯されている場面を妄想し、自ら心拍数を上げる。
そして端から順番に口で奉仕を始める女に触発され、赤ん坊のようにハイハイでマットに近づこうとするさくらだが、すぐに首輪の鎖が、
ガシャンっ…!
と音を立て、ピンと張って、それ以上、前へは行けなくする。
それに対して悔しそうな顔をしながら、
(お、お願い…こっちも見て…!私にも気付いて…!)
と視線を向けるが、依然として男たちは見向きもしてくれず、手練れ尻軽ビッチの豪快なディープスロート、丸呑みアナコンダフェラに夢中だ。
たまらず、
「んー!んーっ!」
とボールギャグから呻き声を漏らすも状況は変わらない。
これを外し、その股の間についたものを引っ提げてこっちへ来てくれれば、自らも同じようにむしゃぶりつき、必ず満足させてみせるという心意気で待ち続けるさくらだが、なかなか願いは通じない。
やがて、女を仰向けに寝かせ、その股の間にペチペチと巨根で打ちつける幹部。
「はぁぁっ!?す、すごぉい!カチカチのオチンポ、オマンコの入り口に当たってるぅ!は、早くっ…!早く来てぇ!」
と下品な淫語で挿入をねだる尻軽ビッチ。
視覚効果によるものか、その光景を見せられるさくらも貞操帯の奥にじわじわと広がる熱を感じる。
(わ、私も…!私も欲しいよぉっ…!)
物欲しそうな目付きで幹部を見つめるさくら。
すると、ようやくその願いが通じたのか、目が合った!…が、欲情したさくらを見てニヤリと笑みを浮かべた幹部は、構わずそのまま、自慢の巨根を尻軽ビッチの割れ目に突き挿した。
「あんっ♪き、来たぁぁっ♪」
と上がる嬌声。
そして幹部は、そのまま“さくらの目を見ながら”ゆっくりとピストンを開始する。
まるで、
(どうだ?羨ましいだろ?お前も欲しいだろう?)
と、見透かしたさくらの心に問いかけるように…!
疼く身体を自身で慰めることも出来ず、悶絶するさくらにとって、目の前で見せつけられる生ハメセックスは究極の生殺し…。
(ず、ずるいよぉっ…!)
ボールギャグに歯を立て、涙を浮かべた眼で、自身が待ちわびた光景を見つめるさくら。
激しく突かれるたびに跳ね上がる褐色の脚。
パンっ、パンっ…!
肉と肉のぶつかる音に生々しい喘ぎ声が合わさり、やがて、
「んあぁっ!?イ、イクぅっ!」
と絶叫して果てる尻軽ビッチ。
たまらず、もう一度、貞操帯をこねくり回すさくら。
だが、もちろん外れないし、指を差し込む隙間も出来ない。
そんな無駄な抵抗をしているうちに、
「ぐぅっ…だ、出すぞっ!出すぞぉぉっ!」
と幹部が唸り、尻軽ビッチの割れ目から巨根を引き抜いた。
そして、その目の前の女体に熱く滾った精液をたっぷりと浴びせ、褐色の肌に白のアクセントを…いや、違う!
なんと幹部は、立ち上がると、さくらの目の前に来て、眼前でその射精目前の巨根を扱いた。
ドピュッ!
(きゃっ…!)
美しい童顔が、たちまち精液まみれ。
「ふぅ〜、こんなに出ちまったか。最近、女を抱いてなかったからなぁ。へへへ…」
と自らが発射した精液の量に感心する幹部。
鼻に抜ける精液のニオイ、もとい、オスのニオイがさらにさくらの身体を欲情させるも、もう後の祭り…。
性欲を発散して満足した様子の幹部は、さくらには構うことなく、ソファーに戻り、素知らぬ顔でくつろいでしまった。
(ひ、ひどい…!)
何度、刺激を求めても叶わない。
唯一、さくらが貰えたのはフィニッシュの精液だけ…。
そして視線を戻せば、次は子分の男が強欲な尻軽ビッチをバックで突いていた。
「あんっ♪あんっ♪」
と飛ぶ嬌声。
そして、この男も、発射寸前になると男根を抜き取り、さくらの元へ。
「おら、寝転べよ!」
と押し倒してマウントを取り、その上で幹部同様、激しく扱く。
(やぁっ、そ、そんな近くで見せないでっ…!あぁっ、熱いっ…!)
勢いよく飛び出した精液が、胸を覆う鉄製の椀の上、そして美しいデコルテラインから首筋へと着弾する。
またしてもフィニッシュの精液だけをさくらに施し、満足げに去っていく男。
そして、次も、その次も、さらには小休止を終えた幹部から二周目に入ってからも…。
(も、もうやめて…これ以上、焦らさないでっ!い、いっそのこと、無茶苦茶に…犯して…!)
と、ボールギャグ越しに訴えるさくらだが、徹底された“生殺しの刑”は終わらない。
代わる代わる尻軽ビッチに杭を打った男たちは、依然、締めの射精だけをさくらへ向ける。
みるみる白濁汁にまみれていく身体。
やがて自制が利かなくなり、気を紛らすつもりで、その浴びた精液を自らの身体に塗りたくるさくら。
だらしないガニ股を晒し、股間の貞操帯の上から精液まみれの指をズリズリと擦り付けながら、
(犯して…早く私を犯して…!)
と、卑猥な懇願を脳内で繰り返すも、結局、その日、さくらが相手をされることはなかった…。
そして…。
……
「…くら!…さくらッ!」
「しっかりしてよ!さくら!」
(…うぅっ…)
金切声で名を呼ばれ、ゆっくり目を開けるさくら。
暗闇の空に煌々と灯る街灯。
そして、その視界に割り込んでくる女二人。
(さ、紗耶…?沙耶香も…)
そこでやっと、仰向けに倒れた自分を金川紗耶と掛橋沙耶香の二人が抱き起こしているという状況に気付いた。
(こ、ここは…どこ…?)
眠い。
瞼が重い。
睡眠薬でも盛られたのか、頭がぼーっとする。…が、耳だけは正常に聞こえた。
「…もしもし!金川です!たった今、井の頭公園でさくらを保護しました!無事ですっ!」
と、本部に、興奮気味で電話報告をしている紗耶の声。
(い、井の頭…公園…?)
身体が上手く動かない。
それでもどうにか動こうとすると、抱き起こす沙耶香が、
「大丈夫!私たちだけだから!」
と安心させるように言った。
(私たちだけ…?じゃあ…あの人たちは…?)
重い頭を傾け、キョロキョロと左右を見渡すも、周りにあるのは夜の帳の下りた雑木林のみで、男たちの姿はない。
さらに本部と連絡を取る紗耶の声が聞こえ、
「はい、乱暴された形跡はありません!ちゃんと服を着ています!」
(え…?)
耳を疑い、おそるおそる目線を下げると、なんと、元の衣装に戻っているではないか。
拉致されたと思われたさくらの発見に小躍りする同期の二人。
だが、そんな二人を尻目に、さくらは、意識が戻るにつれ、青ざめていった。
二人には分からないだろう。
一見、乱れがないように見える服。
だが、その下には、あの貞操帯の感触、そしてあのスライムによる鈍い疼きが今もなお残っていたからだ…!
(つづく)