乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第三部 第十章・白石麻衣の場合 (絶体絶命編)
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「待たせたな。次は、私が相手をしよう」
 と柴崎は言って、両手に持った電マを、一つは胸、一つは股ぐらへと這わせた。
「んんっ…!」
 再び声を漏らす麻衣。
 身体に襲いかかる電マの数は一気に減った。…が、そのぶん、その二本の電マは的確にポイントを突いてくる。
 少なくとも、さっきの下衆な男たちよりは女のツボを熟知している責め。
「あっ、んっ…!くぅっ…!」
 敏感なところへの振動責めに、ジタバタと四肢を揺らす麻衣。
 部下の男たちがもたついたのを挽回するように、柴崎は巧みな電マ捌きで、あっさりと麻衣を追い詰める。
「あぁっ!?そ、そこダメっ…!」
「なに?ここがダメなのか?そうか、そうか…」
 と言って、当然、麻衣がダメと言ったところへ電マをグリグリと押しつける。
「んはぁぁっ!?」
「どうだ?気持ちいいだろう?いいぞ、認めても」
「み、認めるものか…あっ、んっ…わ、私は…負けない…!」
「ほぅ。残念だが、私も負けたくないんだ。となると、結局、どちらかが折れて負けることになる。先に言っておくが、私は折れてやるつもりはない」
「んひゃあぁぁっ!?」
 胸に当てていた電マも股間に移動させ、二本責め。
 剥き出しになったクリトリスを押し潰し、大洪水の割れ目に蓋をするように押しつける。
「ダ、ダメっっ!それダメぇっ…!んあぁっ…!?」
 あと一歩のところで離す。
 アイマスクで眼は見えないが、そのかわり、小さな口がかすかに不満そうな動きをしたのを柴崎は見逃さなかった。
「ククク…今、もう少しだったな?そのままイカせてほしかっただろう?」
「くっ…」
「恥ずかしがることはない。少し素直になればいいだけだ。そこさえ乗り越えれば、こうして…」
「んはぁぁっ!」
「トロトロになったマンコにグリグリ押しつけて、何度でもイカせてやるぞ?」
「ひぃっっ!?ダ、ダメっ…!んひゃあぁっ!」
 可動域いっぱいいっぱいまで身体を引っ張って振動から逃げようとする麻衣に対し、柴崎は、
「逃がさん」
 と言って追尾し、より強く、二本の電マを押しつけて、
「さぁ、言え!正直になって、自分の口から『イカせて』と言ってみろ!」
「言わないっ!言わないぃぃっ!」
「言わないのか?言わないとイクことは出来んぞ?また、さっきのところでやめるぞ?また寸止めだぞ?」
「そ、そんなぁっ…!い、嫌ぁっ!」
 必死に髪を振り乱し、歯を食いしばる麻衣だが、太ももの痙攣は隠せない。
 それを見て、ニヤリと笑い、
(もう限界だな。あと一押しだ)
 と悟った柴崎は、
「さぁ、言え!全てを捨てて素直になれ!」
 と迫る。
(も、もうダメっ…!我慢できないっ…い、一回だけ、一回だけでいいから…イ、イキ…たい…!)
 媚薬&寸止めの必勝パターンに、とうとう音を上げた麻衣。
 消え入るような声で、
「イ、イ……たい…」
「なに?聞こえないなぁ?何と言ったんだ?」
 と聞き返すも、その表情は勝利を確信して、みるみる笑顔になる。
「イ…イキ……た…い…」
 今、確かに言った。
 途切れ途切れだが、確かに「イキたい」と口が動いた。
(やったぞ!)
 ついに訪れた白石麻衣の屈服の瞬間。
 あとは、もう一度、繋げて復唱させるだけ。
「これはもういらんな」
 と言ってアイマスクを取っ払うと、その下から、茫然と天井を見つめる麻衣の虚ろな目が現れた。
 その目には、もう、女捜査官の強さは感じられない。
「さぁ、もう一度、はっきり言え!」
 と一喝して、耳を傾ける柴崎。
(言い終わった瞬間にイカせて、そのまま堕としてやる…!)
 と電マを構えていたが、その時!
 突然、周囲が騒がしくなった…!


(な、何事だ…!?)
 反射的に麻衣の股間に押し当てた電マを離して顔を上げると、部下の一人が飛び込んできて、
「柴崎さんっ!大変です!捜査官の連中が乗り込んできました!」
「な、何だとっ!?」
(なぜ、ここがバレた…!)
 狼狽しているうちに、騒がしい声が隣の部屋まで近づく。
「柴崎さんッ!まずいですよ!早くっ!」
 と、部下が手招きする。
「チッ…!」
 どうやら少し遊びすぎたようだ。
 駆け出そうとしつつも、再度、目の前で横たわる麻衣の裸体に視線が戻る。
(わ、私としたことが、なんというザマだ…!)
 堕としたも同然のこの身体を味わうことが出来ないとは、こんなつまらない話はない。
 だが、だからといって、こんなところで捕まるワケにはいかない。
「柴崎さんっ!まずいですって!」
「うるさいっ!分かっている!黙ってろっ!」
 つい、部下に怒鳴り返す柴崎。
「ち、畜生ッ…!あと一歩のところで!」
 後ろ髪を引かれながらも、横たわる麻衣の裸体に背を向け、駆け出す柴崎。


 柴崎がその部屋を抜け出したとほぼ同時に、怒りに燃える女捜査官たちが雪崩れ込むように突入してきた。
 意識朦朧とする麻衣の目に飛び込む仲間たちの姿。
 秋元真夏、高山一実、松村沙友理、そして…。
「れ、玲香…!若月も…!」
 その驚きで少し意識が戻ったといっても過言ではない。
 桜井玲香と若月佑美。
 まったく予期していない二人が、なぜかそこに並んでいた。
「麻衣っ…!」
 突入してきた五人は、麻衣の寝かされる施術台に駆け寄ると、次々と上着を脱いでは麻衣の白い裸体に被せた。
「しっかりして!」
 と声をかける真夏。
 一方、
「柴崎っ!どこにいる!?」
 と高山が声を荒げる。…が、返事もなければ、既に気配もない。
 しかし、よく耳を澄ませば、バタバタと慌てたような足音、そして狼狽する男たちの声が聞こえる。
「外だ!」
 と松村が声を上げて駆け出し、高山が続く。
 その廃工場は湾岸工業地帯の一角にあり、すぐ裏は東京湾に面していた。
 二人が建物を飛び出して裏に回った時には、ちょうど、突堤から、モーターボートが一隻、離れていくところだった。
 そのモーターボートの甲板には数人の人影があり、そのうちの一人は間違いなく柴崎。
「待ちなさいっ!」
 と叫ぶ松村だが、海に出られては現状どうしようもない。
 モーターボートはぐんぐん加速し、あっという間に点となって二人の視界から消えていった。
「くそっ!逃げられた!」
 思わず地面を蹴り上げる高山。
 そこへ遅れて出てくる真夏と、その後ろから玲香と若月に肩を抱かれる白石。
「麻衣っ!」
「大丈夫!?」
 高山と松村は、モーターボートの消えた水平線から向き直って駆け寄る。
「な、何とか…」
 白石は、絞り出したような声で返して、
「し、柴崎は…?」
「モーターボートで逃げられた」
 と高山は悔しそうに言う。
 白石は、仕方ないというように頷いて、
「それより、みんな…どうしてここが…?」
「この二人のおかげ」
 と、真夏は、玲香と若月を示したが、
「話は後にしよう。とにかく今は、早く病院へ」
 と言った。
 
 ……

 和田まあやの裏切りという狡猾な罠にかかり、捕らわれ、非道な女体拷問によって陥落寸前まで追い詰められた白石だったが、仲間の救援により、何とか貞操は守ることが出来た。
 次にマークすべきは、花田組の組長、花田肇を相手にクーデターを起こして暗躍し始めた悪徳弁護士の柴崎。
 これからは、彼と、その一派が相手となる。
 そして、その新たな悪に立ち向かう「乃木坂46」に帰ってきた頼もしい二人のベテラン。
 これにより、また大きく様相が変える今回の抗争。
 この不毛な戦いは、果たして、いつまで続くのだろうか?


(つづく)


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鰹のたたき(塩) ( 2020/07/14(火) 04:34 )