乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―




























































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第三部 第八章・ラッシュアワーパニック ―帰れない女たち― (岩本蓮加、星野みなみ)
9.黙秘せよ!
 性交の臭いが立ち込める部屋の中。
 吊り革に繋がれ、ぐったり膝を折る二人に対して、
「おい、お前ら。まだ終わりじゃねぇぞ?」
 と、男が声をかける。
 顔を上げる星野みなみ、そして岩本蓮加。
 あの後も、代わる代わる肉棒をねじ込まれ、犯された。
 前からも、後ろからも…そして、最後には、脚を抱えられ、屈辱の駅弁ファックまで。
 まるで電車の中でセックスを強いるような疑似羞恥プレイで、二人は何度も絶頂に押し上げられ、昇天した。
 その繰り返しにより、二人はともに疲弊し、憔悴しきっている。
「ま、まだするの…?」
 と、みなみが、うんざりしたように呟く。
 インターバルを挟んだことで、媚薬の効き目も少しは収まった気がする。
 脚を伸ばし、何とか自立はしたものの、自然と太ももが震え、よろけてしまう二人。
 そんな二人の目の前に、男が、これ見よがしに手をかざす。
「そ、それは…!」
「私の…!」
 ハッとした顔を見せる二人。
 男はニッと笑って、
「そうだ。お前たちのスマホだ」
 と言って、みなみのモノと蓮加のモノ、それぞれのホームボタンを押した。
 ともに画面はついたが、すぐにロックナンバーの解錠画面に切り替わった。
 開くには4ケタのナンバーが必要だ。
 男は、二人の眼前にその画面を突きつけ、
「これから、お前たちのスマホから電話帳のデータを抜き取らせてもらう。お前たちの仲間の中から、次の獲物を選ぶためにな」
 と告げた。
「なっ!?」
「えっ…?」
 驚く二人に構わず、男は、
「そのためには、それぞれ、ロックナンバーを教えてもらおうか。まずは星野みなみ、お前からだ」
「お、教えるワケないでしょ…!」
 と、みなみが返すと、男は笑って、
「ほぅ。さっきはあれだけ満足させてやったのに礼も無しか?あれほどイカせてやったのに」
「くっ…!」
 あまり引き合いに出されたくない数時間前の痴態。
 思わず頬を赤らめるみなみだが、気丈に、
「私が何をされようと、仲間を売るようなことだけは絶対にしない!」
 と言い返す。
 男は肩をすくめると、蓮加に目を移し、
「岩本蓮加。お前はどうだ?ロックナンバーを教える気は?」
「そ、そんなの、素直に教えると思ってるの…!?」
「ほぅ。お前もか。せっかく俺のモノで処女膜を貫き、晴れて一人前のオンナにしてやったというのに」
「━━━」
「まぁ、いい」
 男は、もう一度、二人のスマホをかざして、
「何を言おうが、今のお前たちには拒否権も黙秘権もない。ロックナンバーを聞き出すまで、ここから帰すワケにはいかん!」
「ふざけないで!絶対に教えないわ!」
「私たちが仲間を売ると思ってるの!?」
 一斉に反論するみなみと蓮加。
 だが、男の方も余裕たっぷりに、
「売らせてやるさ」
 と言い返し、二人の背後にスタンバイした仲間たちに、
「やれっ!」
 と命じた。
 堰を切ったように、また無数の手が、吊るされた二人の裸体に伸びる。
「くぅっ…!」
「んっ、あっ…!」
 再開される痴漢プレイ。
 時間をおいて一度は収まった性感を再び引きずり出されると、同時に、鳴りを潜めていた媚薬の効果も、再度、現れてくる。
 さっきまでの脳を溶かすような強烈な火照りが、再び二人の身体に…。
「んあぁぁっ!」
「ひぃぃっ!」
「さぁ、ロックナンバーを言え。言えば楽にしてやる」
「だ、誰がっ…んんっ、あぁっ!」
「い、言わない…あひぃっ!」
 身体を這い回る指に悶絶する二人。
 だが、さっきまで散々イキ狂っていた二人の身体は、まだ、その快楽をはっきりと覚えていて、自分たちの意に反し、一刻も早く、そこへ立ち返ろうとする。
(ダ、ダメっ…ま、また…!)
(こ、こんなすぐに…!?)
 ここでイカされてしまっては、また、快楽漬けによる地獄のループが待っている。
 分かってはいるのだが、どうあがいても、それを我慢することができない。
「あぁっ!?イ、イクっ!」
「やぁっ!イッちゃうっ!」
 強情を張ったわりに、あっさりと絶叫する二人。
 …だが。
(…えっ…?)
(…な、なに…?)
 昇天寸前、あと少しというところで身体を這う指が一斉に止まった。
 ウソ発見器の針のように、責めが止まったのを潮に徐々に下降していく性感の波。
(な、何で…?)
(どうして途中でやめたの…?)
 きょとんとする二人だが、またすぐに指が動き始める。
「んっ、くっ…!」
「…んあぁっ!?」
 再開とともに、また悶え始め、再び性感の波が押し寄せる。
「イ、イクっ!」
「ダメぇっ!」
 絶頂へ向けての絶叫。…だが、これもまた寸前でお預け。
 再び波が静まるのを待ち、収まれば、再度、高みへ。
 ここで、ようやく、男が口を開き、
「どうだ?分かったか?今のお前たちの身体は、無理やりイカされることよりも、イク直前で寸止めされることの方が何倍も辛いんだよ。快楽の種を植え付けられた身体では、さっさとイッた方が楽なんだ」
「くっ…!」
「やぁっ…!」
「さぁ、ロックナンバーを言え。ロックナンバーを教えればイカせてやる。言わないと、ずっと寸止めだぞ!」
「そ、そんなぁっ…!んあぁぁっ!?」
「や、やだぁっ!ひぃぃっ!」
 ここにきて、まさかの寸止め地獄。
 散々イキ狂った二人の裏をかいた拷問メニューは、ここにきて片意地を張ってしまった二人には効果てきめんだ。
「お、お願い…も、もう焦らさないでぇっ!」
「イ、イカせてぇっ!イカせてよぉっ!」
 すぐに耐えられなくなり、懇願する声を上げる二人。
「ハッハッハ!情けないぞ、お前たち。そんなにイキたいか?イカせてほしければ、早くロックナンバーを言え。素直に仲間を売れば、焦らさずにイカせてやるぞ。イキたいんだろ?ほら、早く言えよ!仲間など売って気兼ねなくイッてしまえっ!」
 男の高笑いが部屋に響く。


 その結末は10分もしないうちだった。
「…に、2735…」
「ご、5142…」
 しつこい寸止めに耐えきれず、それぞれ、息絶え絶えに自身のスマホのロックナンバーを口にする二人。
 言われた通りのナンバーをそれぞれのスマホに打ち込むと、男はニヤリと笑って、
「ロック解除…二台とも無事に開けたよ。ありがとうよ」
 と言った。
 そして、二台とも電話帳を開き、蓮加のスマホではグループ名「同僚」を、みなみのスマホではグループ名「OB」のところを開き、片っ端から抜き取っていく。
 白石麻衣、秋元真夏、高山一実…といった大物の名前もあるし、伊藤純奈や山下美月など、既に手にかけた女も多い。
 さらにスクロールしていくと、井上小百合、寺田蘭世、吉田綾乃クリスティーといった、まだ唾をつけていないメンバーもいるし、生駒里奈、相楽伊織など、既に一線を退いたOBの名前もあった。
 男たちは、それら「乃木坂46」という組織に関係する女の連絡先を、全て、二人のスマホから抜き取った。
 思った以上に人数が多くて驚いたが、これで、かなり優位に立てるだろう。
 裏社会の力を使い、連絡先から住所を突き止めれば、もう、こっちのものだ。
 松村沙友里のような古参メンバーの住所に押しかけ、自宅を襲撃して犯すのも一興。
 戦線離脱中の与田祐希に追撃レイプを敢行するのも一興。
 抗争に無関係のOB、市来玲奈を見せしめとして血祭りに上げ、ヤツらを精神的に追い詰めるのも面白い。
 何にせよ、このリストさえあれば、あとは、どうとでも出来る。
 男は満足げに二人の元へ戻ると、
「へへへ。お前たちが快楽に負けて仲間を売ってくれたおかげで、これから、かなり戦局が変わりそうだ。礼を言うぜ」
 と皮肉を言い、二人のスマホを、
「これは、もう用済みだ。返してやるぜ」
 と言って、それぞれ二人の口に押し込んだ。
「んぐっ…!」
「がぁっ…!」
 まるで骨を咥える犬のように、無様にスマホを咥えさせられる二人。
 そして男はニヤリと笑い、二人の背後の男たち向かって、
「約束だ。コイツらの寸止めされて火照った身体を、今一度、たっぷりイカせてやれ!」
 と命じた。
 一斉に二人の身体を這い回る指。
 二人は咥えたスマホを床に落とし、それぞれ、
「んあぁぁっ!イっクぅぅっ!」
「イッちゃうぅぅっ!んひゃぁぁつ!」
 と、仲間を売った後ろめたさも忘れて、はしたなく絶叫し、大きな痙攣とともに果てるのだった…。


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2020/06/22(月) 00:47 )