2.汗の匂いと雌の香り
目を覚ました七瀬。
だが、目を開けても視界は暗いまま…目隠しをつけられているとすぐに分かった。
そして、妙に空気が肌に触れる…これも、下着姿にされているとすぐに分かった。
そして両手を上に吊られた状態での拘束。
その状況から、否応なしに、あの夜、男たちに理不尽に慰み物にされた悪夢が甦る。
(ま、また…!?いやぁぁっ…!)
暗闇の中、必死に手の自由を取り戻そうともがくが、拘束具が外れない。
「だ、誰か…助けて…か、一実…!」
恐怖のあまり、親友の高山の名を呼ぶ七瀬。
小動物のような細い声に、周囲の男たちから笑い声が上がった。
「へへへ。元捜査官のくせに第一声が『誰か助けて』か。一線を退いたら気も弱くなるのか?」
「嫌っ…!もう嫌やぁッ…!」
一度、経験があるせいで、置かれている状況の飲み込みは早い七瀬。
ただ、何故また自分が狙われたのかが分からない。
それに対し、一人の男が、
「お前は人気女優だからな。もう一度、お前が犯されてるところが見たいっていう変態が世の中に沢山いるんだ。諦めろ!」
という理不尽きわまりない説明でまとめた。
そして、
「さぁ、今さら四の五の言うこともねぇ。早速おっ始めようか」
という男の声とともに、ぐっと左右の脚を掴まれ、開かれた。
そして、腰を引っ張られ、無理やり、お尻を後ろに突き出す体勢にされる七瀬。
同時に男の指がパンティを掴み、持ち上げてTバックのようにして、そのままスッと横にずらした。
「やぁっ…ちょっとぉ…!」
剥き出しの尻肉、そしてお尻の穴へ視線が集中するのが、目隠しをしていても分かる。
そして、そのお尻の穴に当てられる丸みを帯びた先端。
男の指でぐっと押されると、その固形物が飲み込まれるように七瀬の体内へ。
「よし、入った!」
という誰かの声とともに、左右に広げた脚、引っ張られた腰、細めて横にずらされまパンティを持つ手が一斉に離れた。
(な、何…?何されたん?今…)
目隠しをされたまま、戸惑う七瀬。
お尻の穴に“何か”を挿れられた。
ただ、まさか、それが、強力媚薬『HMR』から精製された特殊座薬だとは夢にも思わない。
もちろん、前回それを盛られた伊藤純奈がわずか数分で音を上げて雌猫と化したことについても、既に一線を退いた七瀬が知る由もない。
それから、しばらく、男たちの手は離れた。
座薬の効き目が出てくるのを待つ無言の時間。
その不気味な間に、七瀬の恐怖も増すばかりだ。
五分後…。
わずか300秒のうちに、突如、
「んっ…あぁっ…くぅぅっ…!」
と、息が乱れ始めた七瀬。
同時に、全身にみるみる浮かび上がる脂汗は、まるでローションでも塗りたくったかのように光沢を放っている。
「何だ?どうしたんだよ?」
わざとらしく問う男。
ひとまず無視をするも、男たちはしつこく、
「辛そうだな?どうしたんだ?」
「すごい汗だな。そんなに身体が熱いのか?」
と、ニヤニヤしながら七瀬に問いかけ続ける。
(こ、こいつら…知ってて聞いてるやろ…!)
体内で急速に宿った熱が、皮膚まで侵食する。
やがて七瀬は、もどかしく地団駄まで踏み始めた。
そのむっちりとした太ももからスッと細くなるふくらはぎまで、下半身も既に汗まみれ。
元々の汗っかきという体質も相まって、まるでジョギングでもしてきたかのようだ。
「んっ…くぅっ…!」
首を振るたびに、毛先が首筋に貼りつき、風呂上がりのようになった。
「さぁ、どうしてほしいんだ?」
「お前さんは、前も、一回、媚薬漬けにされてるからな。ひとたび火がつくと、なかなか消えねぇぞ?」
「記憶から消しても、身体は覚えてるんだよ。あの“乱れに乱れた夜”のことをな」
「や、やめてぇぇっ…!」
「ほら、またあの時みたいに楽しもうぜ。チンポをおねだりして、自分で跨がって腰振って気持ち良さそうにイキまくったじゃねぇか。ハッハッハ!」
(ち、違う…!あれは…あの時のナナは…私じゃないっ…!)
脳内で必死に否定する七瀬に対し、あの忌まわしい出来事を蒸し返し、精神を痛めつける男たち。
それプラス、同時に身体を痛めつける媚薬とのダブル攻撃に、七瀬は防戦一方だ。
クンクン…
ふいに、周囲から鼻をすする音が続々と聞こえ始める。
併せて、髪、首筋、伸ばされた二の腕など、前後左右に男たちが近寄ってくる気配も感じた。
(も、もしかして…ニオイを嗅がれてる…!?)
七瀬の予想通り、男たちは、汗まみれで悶える七瀬に群がり、全身のニオイを嗅ぎ始めた。
「あ〜、いいニオイだ!女のニオイがする!」
「これは香水か?それともボディソープか?何にせよ、いいニオイの中に少しだけ汗の酸っぱいニオイも混じって余計に興奮するぜ」
「いやっ…!気持ち悪い…!やめてっ…!」
激しい嫌悪感で身体をよじる七瀬。
男の鼻が、二の腕から、その付け根、手を吊られて全開の腋へと迫る。
つんつんと、男たちの指が腋をつつく。
「んっ…!」
くすぐったくて、小さく声を漏らす七瀬。
そんな七瀬に耳打ちするように男たちは、
「お前の腋、もう汗でビチョビチョだよ」
「さぁ、このキレイに処理された腋の下はどんなニオイか確かめてみるか」
「い、嫌やっ!嗅がんといてっ…!」
そんなことをしてくる男は初めてで、全身の鳥肌が立つ。
クンクン…
「んんっ…!」
男たちが鼻を鳴らして息を吸っているのを、空気の流れで感じる。
「あ〜、さすがに腋の下はちょっと汗くせぇな。でも、またすぐに嗅ぎたくなる」
「こんないい女がこんなニオイを身体から出してるってのがたまらねぇよ」
口々に言って笑う男たち。
気持ち悪いと感じる嫌悪感と、恥ずかしいと感じる羞恥心が入り交じり、何とも言えない感覚に陥る七瀬。
そして、その間も収まらない身体の熱。
胸が熱い、そして先端は痒い。
そして、さらに…。
(ヤ、ヤバいっ…アソコも…!)
とうとう、その熱は、女性の性感の核となる股の間にまで押し寄せた。
太ももを擦り合わせ、どうにか紛らわそうとするが、身体の火照りはダイレクトに股ぐらへと届く。
そんな中、太ももを擦り合わせるのは、変に刺激がプラスされて、むしろ逆効果にもかかわらず、やり始めたものは、もう止まらない。
それを続けるに伴って、自身の股の間から明らかに液体が分泌されている感覚。
(ど、どうしょう…!止まらへん…!)
そして、そんな矢先だった。
「さて…それじゃあ、次は股の間のニオイを嗅がれてもらおうか」
(…!!)
男の言葉で、途端に動揺し、とっさに身構える七瀬。
「お?何だ、その脚は?」
ぎゅっと締め付けた左右に太ももに、絶対に開かないという固い意志が覗く。
(今は…アカンっ…!絶対に…!)
なぜなら、もうパンティから滲み出るぐらいにグショグショだから…。
「へへへ。おもしれぇじゃねぇか。おい、お前ら!コイツの脚を開け!」
男の指示で七瀬の脚に群がる男たち。
開かれてたまるものかと必死に力を込める七瀬だが、男と女、しかも多勢に無勢とあっては分が悪すぎる。
男たちは七瀬を身体ごと担ぎ上げるように持ち上げ、力ずくで脚を開かせようとする。
ジタバタと脚を打ちつけ、伸びてくる手に蹴りを見舞う。
「くっ…この野郎、すごい暴れっぷりだ…!」
「どうやらマンコのニオイだけはどうしても嗅がれたくないらしいな」
「でもよぉ…そんな反応をされればされるほど、意地でも嗅ぎたくなるんだよ、俺たちは」
「くっ…!」
ゲスい男たちに対して抵抗を続ける七瀬だが、次の瞬間、
「んあぁぁぁぁっ…!」
という喘ぎ声とともに脚の動きが止まった。
もみくちゃの中、一人の男の手が、七瀬の小ぶりな胸をブラの上から鷲掴みにした。
そして、そのチャンスを逃さない男たち。
力を緩めた隙をつかれ、一瞬のうちに、ぐっと両脚を開かれてしまった。
「へへへ。必死の抵抗もこれまでだな」
男が、内ももをがっちりとロックし、閉じれないように身体を入れる。
「おぉ?何だ、もう大洪水じゃねぇか。マン汁まみれで下着越しでもマンコの形がくっきりと浮き出てやがる」
「い、いやっ…!やめてっ!!」
「おら、おとなしくしろ!」
周りの男たちに身体を固められ、もう動けない。
男は一気に吸い上げるため、大きく息を吐いた。
その呼吸音が耳に入る。
「さぁ、それじゃあ行かせてもらいましょうかねぇ」
「やめてっ!やめてぇぇっ!いやぁぁっ!」
クンクン…
「んんっ!ああっ…!」
男の鼻が七瀬の股ぐらに埋まり、ぐりぐりと左右に揺れながらニオイを嗅がれると、その鼻っ柱が擦れる刺激でビクビクと感じてしまう七瀬。
「あー、たまんねぇっ!発情したオンナのニオイがするぜ!」
感激して顔を上げた男の下顎はパンティから滲み出た七瀬の愛液まみれになっていた。
「どれ、もう一回!」
「んやぁぁっ!ああっ!」
「おい、ずりぃぞ!そろそろ代われ!」
「バカ!次は俺だっつーの!」
我が先にと順番で揉める男たち。
その後、男たちに代わる代わる股ぐらに顔を埋められ、火照って蒸れた女性器のニオイを嗅がれた。
粉砕された羞恥心。
かんなでじわじわ削られるなんてレベルではない。
ど真ん中に五寸釘を打ち込まれ、中心から一気に叩き壊されるような精神的ダメージ…。
前回の凌辱以上、人生最大の恥辱を受け、茫然と立ち尽くす七瀬。
そして、そのぐったりした身体をなおも蝕む媚薬の火照り。
「よし。それじゃあ、次へ行こうか。ニオイを嗅いだだけじゃ無責任だ。そのぐしょ濡れのマンコも可愛がってやらねぇとなぁ?」
ニヤリと笑い、物言わぬ七瀬に問う男。
それと同時に、吊られた七瀬の顔に寄るカメラ。
男を魅了する美貌と欲を駆り立てる身体を併せ持つがゆえ、七瀬の地獄はまだ続く…。