乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―




























































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第三部 第四章・白石麻衣の場合 (危機一髪編)
3.迫るローター
「さぁ、始めるぞ…」
 片桐は、いやらしい笑みを浮かべながら手を伸ばす。
 必死に暴れる白石。…だが、無駄だ。
 むしろ、その無駄な抵抗が余計に興奮を煽る。
 片桐は、タイトスカートの上から白石の股間のあたりをパンッ、パンッと叩いて、
「本当は、今すぐ触ってやりてぇところだがな…」
 と言いながら、白石の髪をかきあげ、耳に指を這わす。
「さ、触らないでっ…!」
「どうした?怖いのか?へへへ」
「くっ…!」
 とにかく今は耐え忍ぶしかない。
 急に、ブゥゥゥゥン…と振動音が聞こえた。
(…!)
 片桐が無数のローターを束で持ち、コードを垂らしてぶらぶらと白石の顔の前で揺らした。
「じっくりいこうじゃねぇか」
 と言って、その束を白石の耳元へ当てる。
「っ…!」
 むず痒い振動に嫌悪感を示し、顔を激しく左右に振って追い払おうとするが、片桐はしつこく、右の耳、左の耳とローターを当ててくる。
 そして、それは、だんだんと首筋、そして胸の谷間へ…。
「んっ…!」
「まだ服の上からだ。インターポールのエリートなら、これぐらいは余裕だろ?」
「あ、当たり前でしょ…この程度…!」
「そうか。じゃあ、ここも当然、余裕だよなぁ?」
「んんっ…!」
 ローターの束が、その盛り上がりの山頂を襲う。
「どうした?身体を揺すって。この程度は余裕なんじゃなかったのか?」
 ねちねちと言葉を浴びせる片桐。
 振動がブラウス越しに乳肉を震わせる。
 そしてローターの束は、お腹を通過し、タイトスカートで覆われた股間へ…。
「んっ、くっ…!」
 縛られた両足に力を込め、タイトスカートの生地を目一杯まで張る。
 その上で躍るローターの束。
「へへへ。振動が中まで伝わらないようにしてるのか。それじゃあ…」
 ローターは、一旦、タイトスカートの生地の端、膝まで下がると、白い美脚を伝って、その生地の内側へ入り込む。
(…くっ…!)
 左右の太ももの間で所狭しと跳ねるローターは、少しでも傾斜をつけると、そのまま転がって脚の付け根まで来てしまうだろう。
 だから少し腰を浮かし、緩やかな上り坂を作って抵抗する白石。
 こんな玩具で反応するワケにはいかないし、少しでも時間を稼がないといけない。
 片桐はコードを巧みに操りながら、目線を、ブラウスを押し上げる胸の双丘へと移し、
「さて…そろそろ、その服の上からでも分かる自慢の巨乳を見せてもらおうか」
「や、やめなさい…!」
 ブラウスのボタンに迫る指。
「一つずつ丁寧に外して脱がされるか、それとも強引に引きちぎられるか、どっちがいい?」
「ど、どっちも嫌っ…!」
「そうか。じゃあ、俺の好きな方で…」
「きゃっ…!」
 ブチブチブチッ!…と音を立てて弾け飛ぶボタン。
 強引に引き裂かれたブラウスのはだけた隙間から覗く黒のブラ。
 そこに包まれた白い柔肉の盛り上がりと弾力が片桐の目を奪う。
(た、たまんねぇ…!)
 時間をかけて、ゆっくりといたぶってやろうと思うのだが、美しい顔立ち、白い美脚、そしてこの胸の膨らみと、ひっきりなしに誘惑が押し寄せる。
(ダメだ…我慢できん…!)
 片桐は、操っていたローターの束をスカートの中から抜き取って放り出すと、白石の髪を鷲掴みにして、
「予定変更だ。お前は、今、この場で犯す!」
「くっ!」
 男の突然の気変わりによって身の危険が一気に近づき、必死に身体を揺する白石。
 だが、固い結び目はびくともしない。
(ダ、ダメだ…!ヤラれる…!)

 万事休すか!?

 …と思われたその瞬間。
 部屋に銃声が轟き、
「ぐあっ…!」
 片桐が呻き声を上げて崩れ落ちた。
 がくっと膝を折って倒れたところを見ると、どうやら脚を撃たれたらしい。
 間髪入れず、ドドドッと部屋に飛び込んでくる二人の侵入者。
「動かないで!…動いたら撃つよ?」
 と、倒れた片桐にライフルを向ける女。
 上から下まで黒を纏い、手の平にはレザーグローブ、黒いキャップにサングラスをして銃を構えるその姿は、スワット部隊さながらだ。
 そして、その女の横顔を見て、白石は驚愕した。
「な、奈々未…!?」
 かつての盟友、今は捜査官を退き、故郷の北海道で暮らしている筈の橋本奈々未の姿がそこにあった。
 さらに、もう一人、素早く白石の手足を縛る麻縄をナイフで切断する小柄な女。
「もう大丈夫だよ」
 と白石の身体を起こしたその女、伊藤万理華も同じく、盟友の一人だ。
「ど、どうして二人がここに…?」
「詳しい話は後にして、とにかく逃げるよ!」
 万理華は、ブラウスを引き裂かれてブラが見え隠れする白石に布きれを渡して脱出を促す。
「く、くそっ…逃がすか!…ぐわっ!」
 足元で呻き声を上げる片桐に強烈な蹴りを見舞う橋本。
 昏倒する片桐を尻目に三人は駆け出した。
 白石は、先を行く二人に続きながら、
「待って!他のみんなも助けないと…」
「大丈夫!心配無用!」
 と万理華が言い、続けて橋本が、
「ちゃんと手は打ってきた。もう一人の“麻衣”が上手くやってくれてる筈よ」
 と笑った。

鰹のたたき(塩) ( 2020/03/22(日) 23:17 )