乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第二部 第七章・生田絵梨花と久保史緒里の場合
3.600秒の攻防 前編
 運命を分ける10分間のカウントがスタートした。
 男たちは一斉に電マのスイッチを入れ、振動音を響かせながら片足立ちの生田の身体に迫る。
 じわじわと周囲から…などというセオリーはなく、いきなり乳房と股間に電マを押し当てるデリカシーの欠片もない男たち。
「…んっ…!」
 当てられた瞬間、一瞬だけ声を漏らした生田だが、それでも内心、
(何とか大丈夫そう…!)
 と思った。
 やはり気を張っていると快感も鈍るのだろうか。
 順調に、最初の1分間は、ほとんど顔色も変えずに過ぎ去った。
 微妙に刺激は伝わるものの、この程度ならまだ耐えられる範疇だ。
「ほぅ、余裕だな」
 鮫島も感心している。
 だが、ほどなくして、身体に変化が表れる。
「んっ…くっ…」
 2分が経とうとした時、先ほどまで平気な顔をしていた生田が、徐々に苦悶の表情を見せ始めた。
 クスリの効果でジワジワと火照ってくる身体に加え、男たちがだんだんと敏感なところを探し当てたのだ。
 10分間に5回イカされたら負けというルールだから、言ってしまえば1回や2回は別に構わない。…とはいえ、鮫島や衛藤、そして何より、可愛がっている後輩の史緒里の目の前で恥態を晒すというのは、少し躊躇がある。
 股間を彷徨っていた電マがパンティ越しに花弁を嬲ると、
「くっ…やぁっ!あんっ!んぁぁっ…!」
 と、声色が徐々に艶かしくなる。
 片足立ちの体勢が無防備に陰部を解放し、いかなる角度からの振動も全て受け入れてしまう。
 徐々にシミが出来てきたところの少し上、ちょうどクリトリスのところを一本の電マが狙ってきた。
 そこをめがけてグリグリと押し当てられる振動に、生田は、
「んぁぁぁっ!あっ…んんっ!くぅっ…!」
 と堪えきれない声を上げ、何とか逃れようと身体を揺すった。が、身体を縛る縄は解けるどころか、さらに締まっていく。
(ヤ、ヤバい…かも…!)
 ついさっきまでの余裕の表情とは一転、明らかに我慢をしている表情の生田。
 その原因は、目の前で拘束されている史緒里の存在だ。
(くっ…し、視線が…!)
 後輩の目の前で絶頂へと上り詰めるのが恥ずかしくなって、生田は、ついつい顔を背けた。が、男たちの手は止まらない。
(あっ…イ、イクっ…!)
 声を抑え、ビクビクと身体を震わせる生田。
 衛藤は、嘲笑うような表情で、
「あらあら、黙ってイッても誤魔化せないわよ。今のもちゃんと1回にカウントしておくからね」
「くっ…!」
「あと4回、残り7分32秒だ」
 と、鮫島は言った。
 そして、引き続き、あてがわれる電マ。
 衆人環視の中での絶頂に恥じらいはあるものの、
(でも、まだ、5回のうちの一回だから別に…)
 と、多少の余裕は残っていた。
 しかし、ふと前を見ると、何やら鮫島が、おもむろに、さっきのスポイトを取り出し、史緒里に歩み寄っていた。
 その不穏な動きに気付いた生田は慌てて、
「ま、待ちなさいっ!何をするつもり…!?」
「そうそう。言い忘れたが、お前がイクたびに、こっちの小娘にもこいつを服用するからな」
(な…に…!?)
「よって、今ので一回だ。この後、5回イッたら五回、10回イッたら10回だから、可愛い後輩を薬漬けにしないためにも、せいぜい我慢しろよ」
「そ、そんなの、話が違うわっ…!」
 鮫島に鋭く抗議の目を向ける生田。
 しかし、その目と裏腹に、口元はプルプルと震えている。
 その間も、電マの振動が生田を責め立てているからだ。
 鮫島は、衛藤に協力させて、史緒里の口を無理やり開かせた。
「いやっ…嫌ぁぁぁっ!」
 悲鳴も空しく、史緒里の口内へポタ、ポタ、ポタと、3滴、垂らされていくクスリ。
「やめなさい!こ、この卑怯者っ…!…んあぁっ!」
 縄の拘束で動けない生田は怒りを露わにするも、気を逸らした虚をつくように快楽へ誘う振動が襲いかかる。
 危惧した通り、やはり落とし穴があった。
 そのせいで、急遽、強いられる方針の変更。
 これまで、絶頂に達する回数が5回を超えなければ大丈夫と考えていたが、イッた回数ぶん、史緒里の身体にクスリが投与されるとなると、話は変わってくる。
(もうイッちゃダメ…!さ、さっきの一回で食い止めなきゃ…!)
 これ以上、史緒里にクスリを飲ませるワケにはいかない。
 土壇場での気持ちの切り替えは難しい。
 整えていた筈の気持ちが一瞬の迷いで地盤から揺らぎ、その隙を電マの振動とクスリによる火照りが容赦なく侵食してくる。
「んぁっ!やぁっ!あぁっ!…や、んんっ…!」
(ま、まずい…また…!)
「次はちゃんとイクって言えよ?下手な誤魔化しはペナルティーとしてプラス1回にするからな」
「くっ…!」
 刻一刻と近づく絶頂。
 それを自らの口で告げないといけない。
 しかも、目の前には史緒里がいる。
「くっ…!み、見ないで…!目線を切って!早くっ!」
 生田は早口で捲し立てる。
 慌てて俯く史緒里。…だが、それは衛藤が許さない。
 髪の毛を引っ張り上げ、
「よく見なさい。アンタの尊敬する先輩が電マでイカされる瞬間を!」
「あっ、いやっ…!み、見ないで…イ、イクっ!…あんっ!!」
 また跳ね上がる身体。
 そしてまた、史緒里の口に、連帯責任の二度目の滴が3滴、注がれる。
 その光景を口惜しそうに見つめる生田。
 徐々に快感が増してきたのもクスリの効果に違いない。
 今の自分が、ほんの3滴でこの火照りだと思うと、史緒里は既に倍の6滴を飲まされている。
(た、建て直さないと…!これ以上は…!)
 と生田は考えるが、当てられ続けている電マの快感が思考の邪魔をする。
「くっ、んんっ、あっ、やぁっ!はぅぅ…!」
 電マを押しつけられ、先ほどと別人のように甘い声を漏らす生田。
(ヤ、ヤバい…またすぐイッちゃう…!)
 自分でも不安になるぐらい、次の絶頂へのインターバルが短くなっている。
 クスリの効果、プラス、絶頂に達するたびに敏感になる女体の妙のせいだ。
 焦りが不安を助長する。
 否応でも窮地に立たされている気がする。
「身体に力が入ってるぞ。またイクのか?次で三回目だ」
「少しペースも早くなってきたぞ。危ないんじゃないか?」
「お前がイクことで小娘の方もきつくなるぞ。助けてやると啖呵を切ったんじゃなかったのか?」
 鮫島の嘲笑も気に障るが、それ以上に、目を背けることを許されず、その光景を強制的に見させられている史緒里の目線が痛い。
「ふふっ…プルプル震えてる。もしかして見られてる方が興奮しちゃうのかしら?」
 と、衛藤も冷やかしに参戦する。
「う、うるさい…んんっ!」
「ほら、ご覧なさい。先輩のあの感じてる顔を」
「やめて…見せないで…んあぁぁっ!イクぅぅっ!!」
 三度目の絶頂に達する生田。
「あらあら、またイッちゃったみたい。残念ね。…はい、あ〜ん」
 衛藤は、おどけながら、史緒里の口を開けさせる。
「はぁ…はぁ…」
 三度目のクスリの投与で、心なしか、史緒里の吐息も荒くなってきた。
「あと2回。残りは4分39秒だ」
 鮫島の声に、宙を仰ぎながら、
(そ、そんな…ま、まだ5分近く…あるというの…?)
 と愕然とする生田。
 当初は余裕だと思っていたゲームは、クスリの効き目と動揺によって公算が崩れ、まずい塩梅になってきた。
「んんっ!あんっ!い、いやっ!イキたくないっ!あぁっ…!」
 口を真一文字に縛って声を抑えることが出来ていた時など過去、今は自然と声が漏れるほど敏感になっていた。
 まだ2回の猶予を残しながら、生田の反応と残り時間を見て既に勝ち誇った表情の鮫島。
 男たちが手に持つ電マは、なおも生田の身体を這い回り、いまに奈落の底へ突き落とそうと、さらに鋭く牙を剥いて襲いかかった。

鰹のたたき(塩) ( 2020/01/17(金) 14:44 )