Episode3
12 対決
「今日は、持久走やるぞー。
男子は5km、女子はその半分な。」

教師の声が聞こえると、日向はいち早く反応した。
日向は、体力には自信が無いのだ。
運動神経も特別いい訳では無い。

海斗「佐々木さんの前でいいとこ見せちゃおっかな。
日向には言ってなかったけど、結構タイプやねん。」

海斗が日向の隣に来ると相手の耳元で囁く。日向にもあからさまな挑発とわかり、相手を横目で睨みつけた。

日向「負けるとは思うし、佐々木さんとか好花さんにいいとこ見せたいわけじゃないけど、海斗くんに負けると思ってやるわけないよ。」

海斗は日向の言葉にニヤリと笑うと、怒った様子も見せずに肩をバンバンと叩く。

なんだかんだと、ザワザワしていると女子は男子のあとに走ることになり、トラックの内側に集まっている。

日向、海斗とほかの男子学生がスタートラインに並ぶとホイッスルが鳴らされ一斉にスタートした。

海斗は体力に自信があるのか先頭集団に紛れ込むと勢いよく走り始めたが、日向は後ろの方でゆっくりと走った。

日向は、ほかの男子生徒たちに何周も遅れて抜かされて、けっきょく最後の1人になってしまったが、海斗や、好花、美玲の応援のおかげでゴールまで走りきることが出来た。

海斗「日向、おつかれさん。
さっき言ってたことの証明にはなったで?ダサかろうがなんだろうが負けたくないって気持ちは伝わったよ。」

海斗に肩を叩かれ、日向に向けた言葉を聞くと自然に笑顔が浮かび、2人はハイタッチをする。

美玲も好花も、日向と視線が合うと「かっこよかったよ!」と言っていた。
嬉しくもあったが、同時に悔しいという気持ちも心の中に浮かんできたが。



闇の申し子レイ ( 2020/12/27(日) 06:16 )