Episode2
10 記念
4人は教室に戻ると、担任の教師から少しだけ叱られたが、美玲が泣いていたのだと気づくとすぐに席に戻された。

その後は何事もなく授業を終えると、今月の最後に文化祭を開催するという手紙と何をするか次のHRで決めると話をすると他の生徒たちと一緒に教室を出ていく。

海斗「文化祭かー…みんなは家族も呼ぶん?
俺たちは呼ぶけどさー。」

海斗は4人と共に歩きながら美玲と日向を見ると振り返った。

美玲「私は呼ぶよ。
まぁ、仕事がなければだけど。」

美玲は海斗の顔を見ると、わかんないというように肩を竦めて、また静かに歩きつづける。

日向「ぼくは、呼ぶかな。
姉ちゃんと妹が僕の友達に会いたいって言ってたし。まぁ、今まではいなかったし、いまの松田さんと海斗くん、佐々木さんは友達って言えるのかわかんないけど。」

日向は、静かに言うが日向の言葉を聞くと好花と海斗は立ち止まると振り返り、美玲も怒ったように睨みつけてきた。

好花「何を言ってるん。
うちら4人はもう友達やろ。美玲もなんか言ってやり。」

美玲「渡邉くん、なんでそんな酷いこと言うの?
私は仲良くなれてると思ったのに。」

好花と海斗は日向を呆れてるように見つめて、美玲は日向を見つめると泣きそうな声を出した。

日向「ごめん…ただ、不安になったから…」

日向の言葉を聞くと3人は優しく微笑みかけたが、ゲームセンターの前を通りかかろうとした時に、好花が「あ!」と声を出した。

3人は好花の声を聞くとまた、立ちどまり好花を見つめる。

好花「あのさ、うちら4人が仲良くなった記念に、プリクラ撮らへん?嫌ならいいんやけどさ…?」

好花は遠慮がち言うが、美玲は女の子らしく喜ぶとすぐに賛成していた。

日向は、やっぱり普通の女の子なんだな。と美玲を見ながらも海斗の方を見る。
海斗も、諦めたように首を振ると4人でゲームセンターに入っていった。

プリクラを撮ってる最中は4人ではしゃいだり、好花と美玲が変顔をしている後ろで海斗と日向は呆れたような、困ったような顔をしたりして楽しく過ごせた。

4人分の写真を、プリントすると4人は携帯のケースなどに1枚ずつ写真を貼り付けたが、偶然にも4人が貼った写真は同じで、「この日を忘れない!」と大きな字で書かれている。
楽しげな笑顔を浮かべて、海斗と日向は肩を組み、美玲と好花はピースサインを作って学校では見た事がないほどに輝いていた。

外も暗くなり、4人はそこで別れを告げるとそれぞれ家へと帰って行った。

闇の申し子レイ ( 2020/12/18(金) 22:03 )