05 家族
「日向入るよ。」
ドアをノックして、姉の理佐が部屋に入ってきた。
理佐は5つ上で今は大学に通っている。
理佐は日向を見るといつものように勉強机の前にある椅子に座ると日向が起き上がるのを待つ。
これも理佐が部屋に来た時のいつもの流れみたいなものだ、僕自身も嫌とは思っていないから。
日向「理佐姉おかえり。
部屋に来るなんて珍しいじゃん。」
理佐「美穂に聞いたよ。うちが帰ってないか、聞いてたって。
あんただって私に用がなければ、そんなこと気にしないでしょ?」
全くもって理佐の言う通りだ、日向は美穂に理佐がどこに行ったのか聞いていた。
美穂は僕が理佐姉に用事があると思って伝えてくれたんだよな。
日向「理佐姉、ごめん。
用事ホントはないんだよね。なにか聞こうともしたけど、なに聞こうとしたのか忘れた。」
日向は理佐を見ると申し訳なさそうに見つめて手を合わせて謝るように言うと理佐は溜息をつきながらも微笑みながら「気にしないで。」と言うと部屋から出ていく。
日向は、何を聞こうとしたか思い出そうとしたが、結局思い出せずまたイヤホンを付けると音楽を聴き始めたのだった。