10 美穂の想い
美穂は、理佐と話したあと日向の部屋の前に立ってしばらく考え込んでいた。
さっきの日向にとった行動に自分も、悪い事をしたと思っていたからだ。
だけど、最近は日向に反抗してばかりでまともに話すことも無ければ、日向に話しかけることもしなかった自分が謝っても許してもらえるかという不安もある。
しばらく頭の中でいろんな可能性を考えては消してということを繰り返していたが、意を決したようにドアをノックした。
しばらく沈黙が続いていたが、部屋の中でガサゴソと物音がしたと思うとドアが開き日向が覗き込むようにこちらに顔を出す。
美穂「ひゅうが兄起こしてごめん。
話があるんだけどいい?」
美穂の言葉を聞くと、日向は何も言わずに部屋のドアを開けて、何も言わずに「入っていいよ。」と合図してベッドに戻るとそのまま座り込む。
部屋に入りドアを閉めると、その場に立ちつくしたまま、美穂はどう切り出そうかと考えていると、日向はまた立ち上がり美穂のそばまで椅子を持っていくとその場にしゃがみ込んだ。
日向「座って。起きてたし大丈夫だよ。話ってどうした?」
日向は美穂に優しく声をかけると下から目線を合わせ、微笑みかけた。
美穂「ひゅうが兄さっきはごめん。ひゅうが兄が理佐姉を傷つけたと思ったから…」
美穂は、椅子に座るとそのまま泣き出してしまいながら、声を絞り出すように謝った。
日向の、さり気ない優しさにも感動をしてしまったが、何も言わずにそのまま泣きじゃくり、しゃくりあげることしか出来なかったが。
日向「そんなことか、気にしないでくれていいのに。
僕も美穂には冷たく当たってばっかりだから、お互い様だよ。
まぁ、美穂は悪くないと思うけどさ?」
日向は、相手の口から出た言葉に驚きを見せたがクスッと笑うと美穂の頭を撫でていた。
それからしばらくは、仲のいい兄妹のように2人で楽しそうに話をした。
2人が眠くなり、おやすみと言って眠りについたのは真夜中を過ぎていた。