プリクラ
学校を出た俺達は駅の近くのデパートに入っているゲームセンターにやってきた。
「じゅんゲーセンとか久しぶりかも」
「そーなん?結構遊んどる人やとおもーてたわ」
「ナナ、それどういう意味?」
「別に深い意味は無いねんで」
出会ってまだ1日も立っていないのにディスることが出来る仲になってるのか…
俺もそういうコミュ力が欲しいな…
「蓮見くんはゲームセンターとかよく来たりする?」
鈴木が横から俺を覗きながら言った
「んー、あんまり来ないかな。うるさいところが好きじゃないからね。鈴木はどうなの?」
「私もあんまりうるさいところは好きじゃないんだけど、秋田は遊ぶところが少なかったから友達と遊ぶときに結構行ってたかも」
そんな話をしていると白石が俺の横へ来て
「もしかして2人ともゲームセンター嫌だった?」
と、心配そうに言ってきた。
「全然嫌じゃないよ。寧ろ誘ってくれて凄く嬉しい」
「私も嬉しいよ!」
「そっか!良かった〜…」
そりゃこんな美人達と遊べるならどこへだって行きますよ。
「てか飛鳥生きてる?」
「生きてますよ〜。まいやん、初対面の人と距離縮まるの早いね?」
「だって同じクラスなんだし、仲良くしたいじゃん」
「そりゃそうだけど…」
「ほら、飛鳥からも何か話しかけなよ」
「えぇ…」
テンションが低い彼女を白石は俺と鈴木の方へ押しつける
「あ…齋藤と申します…」
「いや知ってるよ」
俺は間髪入れずに突っ込んだ
なんか、独特の雰囲気だな…
そんなやりとりをしていると
「ねぇ、プリクラ撮ろうよ!」
純奈が楽しそうにプリクラの機械の前で立ち止まっている
「いいね〜!初めての遊びだし記念残そうよ!」
白石も同じようにテンションが上がっている
純奈が中へと入っていく
それに続いて西野、白石、齋藤も入って行った
「俺らも行こうか」
「6人はキツそうだね(笑)」
案の定、6人で撮るには狭いスペースだった。
必然的に後から入った3人、齋藤、俺、鈴木は後ろ列に立った。
左には齋藤、右には鈴木、そして前3人には純奈、西野、白石と言った芸能人にも負けないくらいの美女に俺は囲まれている。
「絢音ちゃん、見切れてるよ!もっと寄って!」
純奈が鈴木に言うと、鈴木は俺へと近づく。
自分で言うのも何だが、俺はガタイが良いため普通の人より場所をとってしまう。
人混みでは迷惑がられてきたが今日程この身体の大きさに喜んだことは無い。
嗚呼、トレーニングしてて良かった。
鈴木の肩と俺の腕がくっついている。
俺の意識は全てそこへ行っていた。
そして美人達に囲まれているこの状況に俺は興奮してしまった。
勃起してしまったのである。
幸い、全員の視線はカメラへ向いているのでバレる事は無いだろうが、念のため腰を引いた状態で立つことにした。
だが、3枚目の撮影になると、機械から
『次は横を向いて撮影してみよう!』
と、ポーズの指定が来た。
腰を引いたまま身体を横に向けようとしたその瞬間、前列でかがんで撮っていた純奈の腕が俺の硬直した性器に当たる。
純奈は後ろを振り向くと、何かを察するように見て見ぬ振りをして正面を向いた。
バレた。確実に。
そんな焦りから、鈴木がくっ付いていることなどもう忘れていた。
気が付けば撮影も終わっていた。
「落書きどんなのにするー?」
と、そのまま落書きへ行く純奈、白石、西野。
流石にそこは6人は狭過ぎるので近くのベンチに俺と鈴木と齋藤は座った。
「蓮見君、元気ないね?」
鈴木が心配そうに言ってくる
「私も思ってた」
齋藤が同調する
「いや、元気だよ。まぁ正確には元気だった。かな。元気になっちゃったからゆえの今のテンションなんだけれども。」
「???」
2人は不思議そうに俺を見ている
すると落書きを終えた3人が帰ってきて、
「はい!これみんなの分!」
そう言われて俺はプリクラを受け取った。
確かに後半の俺の顔が凄く元気ないオーラが出ている
仕方ないだろう。初めて遊ぶ友達に勃起しているのがバレたのだから。
「もうそろそろ帰ろうか。明日も学校あるしね」
あの後ゲーセン内をウロウロして気になったゲームをやった。その間、純奈と話すことは無かった。
外に出ると白石が
「私達こっちだから。また明日ね!」
と言い西野、齋藤、鈴木と帰路へ立つ。
鈴木は登校した時に一緒の道から来たはずだが、何やら寄りたい本屋があるらしく今日は違う通りから帰るらしい。
残された俺と純奈の間に広がる重い空気。
俺は早くこの空気から逃げ出したく、
「じゃあ俺も帰るわ」
と、そそくさに帰ろうとしたが
「待って!」
振り返ると純奈が俺の真後ろまで来ていた。
そしてこう言った。
「さっき、勃起してたよね?」