第1章
ホームルーム
遅刻ギリギリで登校してきた俺はクラス表を確認して自分のクラスへとやってきた。

「B組はここか」

教室のドアを開けるとまだ誰も馴染んでいない為かとても静かで重たい空気が流れている。

座席表を確認すると真ん中の列の1番後ろだった。
こういう時は窓際の1番後ろだと青春ラブコメが始まるのかも知れないがそんか甘い世界では無かった。

そんなことを考えていると、玄関で別れたはずの鈴木が教室に入ってきて、座席を確認すると俺の右隣の席に座った。

「鈴木もBクラスだったんだ」

「うん!蓮見君と同じで良かった!」

笑顔で言う彼女を見ながら俺は自分に勘違いするな、と言い聞かせた。

『よかった』というのは知ってる人がいることについてであって、俺に好意がある訳ではないし出会って数分なのだからそんなのは当たり前だ。

しかし彼女の綺麗な笑顔に俺は惚れてしまっていた。

中学生の時に何度も勘違いを重ねて失恋してきたというのに俺という人間は単純だった。

そんなことばかり考えていると担任が入ってきて1時間目のホームルームが始まった。

出席番号順に軽く自己紹介をしていく。

料理が好きなやつ、歌を歌うのが好きなやつ、飯を食うのが好きなやつなど沢山の個性が飛び交っている。

というかこのクラスの女の子全員可愛いな。

みんなの自己紹介を聞いていると俺の番が来た。

「北海道出身、蓮見慎です。筋トレが趣味です。よろしくお願いします。」

何気なく言ったけど趣味が筋トレとか暑苦しいとか思われてないかな。

まぁ別に最初の挨拶なんてそのうち忘れるからいいや、と考えていると

「趣味筋トレなんだー。じゅんもたまにするよ。」

と、前の席にいた女子が話しかけてきた。

伊藤純奈って名前だったか。

大人っぽい容姿なのに一人称が「じゅん」というところに少し驚いた。

「スタイルいいもんね。スラッとしてる。」

「ありがとー。あ、私のこと純奈って呼んでくれて構わないから。」

「じゃあ俺も慎でいいよ。」

「おっけー!じゃあ慎、これからよろしくね。」

「おう」

この子はすぐ他人と仲良くできるタイプなんだな。

このクラスは良い人が多いし、うまくやっていけそうだ。


■筆者メッセージ
ストックがあるわけではないので不定期になりますー
vinc ( 2018/11/17(土) 02:13 )