第1章
初日
初登校日。

俺は余裕を待って家を出たはずなのに少し焦っていた。

田舎から出てきた為、信号や改札での時間を甘く見ていたのだ。

「なんでこんなに人が多いんだよ…」

そんな事をボヤきながら学校へ向かって行く途中に俺と同じ校章のついた制服を着ている女生徒を見つけた。
俺のネクタイと同じ色のリボンをしているので同学年だろう。

その生徒は辺りをキョロキョロしながら動いており、高いビルを見つけては上を見上げている。
田舎者丸出しだ。

俺も田舎出身という立場からか勝手に親近感を覚え、その子に話しかけてみた。

「君、乃木坂高校の生徒だよね?」
彼女は少し驚いた後に
「はい。そうですが、貴方もですか?」
「そうだよ。君が挙動不審だから話しかけてみたくなっちゃって。」
そういうと彼女は口に手を当てて少し笑いながら、
「そんなとこ見られてたなんて恥ずかしいです」
と言った。
田舎者だと思っていたのに近くで見ると凄く整った顔立ちをしていて、育ちの良さそうな雰囲気を感じる。

「あっ、そういえばまだ名乗ってなかったね。俺は蓮見慎。」


「私は鈴木絢音です。」


俺達は学校まで談笑しながら向かった。
遅刻ギリギリという形になってしまったが、こんな綺麗な子と友達になれたことに喜びを隠せなかった。

■筆者メッセージ
閲覧ありがとうございます。

これからマイペースで書いていきますのでよろしくお願い致します。
vinc ( 2018/11/17(土) 01:38 )