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由衣が部屋を出た後、優美は改めてキャラクターについて考えてみた。ひとまず、性別を女性にして、さらに優美にとって都合のいい...何でも肯定してくれるような優しいキャラクターにしてみた。これなら優美が作った物語を読んでと言ったら喜んで読むに違いない。
しかし、これでは意味がないと気づいた。
優美が求めているのはできる限りの幅広い指摘だ。
「そうなると...」
優美は改めてキャラクター作りに没頭した。こんなにも難しいとは知らなかった。
どれくらいの時間が経ったのか、優美は一通り彼女の設定を書き出してみた。
「今日はここまでにしておこうかな。」
ずっとパソコンとと向き合っていたので、目が疲れていた。
優美はパソコンを閉じ、部屋の明かりを消した。窓からの、月明かりが優美を照らしていた。優美は、この窓から見える、月が気に入っていた。夜空に浮かぶ満月を見つめ、優美は「彼女」も月を見るのが好きという設定を加えようと思った。