1st
07
放課後、ちゅりの誘いで衣装の係はファミレスで意見を出しあうことになった。行くつもりは全く無かったのだが、昨日あそこまで話してしまった以上行くしかなかった。
「じゃぁどうしよっか。」
注文したものが揃ったところでちゅりが話し始めた。
「今のところ出た案は和服にタキシードと私服だったよね。」
「私服良いね、誰の案だっけ?」
「いや、輝、お前だよ。」
「えっ、そうだっけ…」
全く覚えがない、何を言ったか不安になってきた。
「茉夏はどう?」
ちゅりは白いカーディガンの女の子に話を振った。
「私はどれでもいいよ…」
小さい声で答える辺り、彼女もきっと人見知りなんだろうな。
「ところでさー、タキシードにしたら女子は何を着るの?」
「あっ…」
どうやら久美ちゃんは的確に宮野の弱点をついたようだ。
「それは…メイド服とか!」
苦し紛れにありきたりなことを言っ…
「いいね!メイド服着たい!!」
久美ちゃんはやはり予想外だ。
「じゃぁどの案でも通れるようにそれぞれの具体的なイメージ出そうぜ。」
纏まらない気がしたため俺は全体にそう声をかけ動いた。
-あれ、なんで俺こんなこと言ってるんだ?-
昨日も今日も、この空間にいると不思議と話せてしまう、昔に戻れている気がする。
それはどうしてだろう、昨日は久美ちゃんから始まったことだよな。
「そんなに見て、どうかしたの輝君?」
急に声をかけられてびっくりしたが
「どの服が久美ちゃんに似合うかなって思ってさ。」
そんなことを口から出してしまった。
「えぇーやだ、恥ずかしいよ…」
照れながら笑う久美ちゃんを見て思った。
-俺はもう大丈夫だ、この心の闇とも、人と違うところとも向き合っていけそうだ-
そう思った。

■筆者メッセージ
一章長いですね、まだ半分もいってないんですよ(笑)
やはり小分けにして進める方向でいきますね。
愛生 ( 2014/03/01(土) 00:39 )