1st
06
「いやぁ、珍しかったなぁ、お前があんなに話してるの。朝だけで一日に平均より話したんじゃね?」
「いつから見てた、助けても良かっただろ、なんで笑ってる?」
「まぁ落ち着けって(笑)」
怒りの質問攻めにあいながら、宮野は少し笑っている。
「ちょっと嬉しくってさ」
「はぁ?なにがだよ」
「いや、あんなに話してたから、これで自分から友達作れるなって思ってさ。」
宮野の表情は少し真面目になっていた。
「お前、あえて人から避けてるみたいに見えてたからさ。」
「…考えすぎだよ。」
それだけ言って授業に向かった。

昔、確かに俺は真那の言う通り、人より目立ち明るい少年だった。それは真那が転校したあとも変わらず、中学に入った当初もそうだった。
あの日がくるまでは、あれは忘れもしない、7月のこと…

「随分ぐっすりだな。」
顔をあげると湯浅先生が俺を覗きこんだ。
「ちゃんと聞けよ。」
「すいません…」
朝から精神力を使いすぎたせいだな、そう思った。

愛生 ( 2014/03/01(土) 00:07 )