1st
05
その日の夜は寝つきが悪かった。まさか一人の女子のためにあそこまで人前で話してしまうとは、宮野の驚いた表情と笑い声がはっきりと残っている。あんなに話したことなんて、中学以来だな。
しかしそのことを思い出すと、自然に感情が落ち着くのと共に実感した。やはり自分はこういう人間なんだと。
静かな夜が戻ってきた。

朝が来て学校に行くと前の席の木本が話しかけてきた、それを軽く一瞥。
これで事なきを得たように思えたのだが
「昨日はあんなに話してたのに、なんで私には冷たいの!?」
なるほど、痛いところをつかれた、いや貫かれた、もっというならミサイルが俺のど真ん中を貫通していった。
「昨日はちょっとおかしかったんだ、みんなが面白くてそれにあてられてね。」
「じゃあ私と話すのは楽しくないんだ…」
ん?なんかまずくないか、これ
「いや、そういう訳じゃないんだ、ねっ、その…」
「もういい、もう島谷君なんて知らない!」
「えっ、ちょっと待って!」
すると彼女は振り返り少し含み笑いをしてこっちを見つめ
「なんてね♪」
と言ってきた。
不覚だ、二日続けて俺は動揺している。昨日までは少し鬱陶しい存在だった彼女が一瞬でこうも変わるとは。
「おはよー!」
そんななか元気に入ってきたのは昨日の同様の原因、矢神さんだ。
「あっ、おはよう矢神さん。」
「もう、やだなぁー、久美でいいよ!それかくーみんでもいいよ!」
満面の笑みでこちらを見てくる彼女に、どう対応して良いか解らずショート寸前の視界に入ったのはニヤニヤした宮野だ。
しかし助けることもなく、目が合うと窓の外を眺めている。
「殺してやる」
『えっ!?』
「あっ、宮野のことだよ。」
突然の呟きに驚いた二人を見て思う、今日も大変そうだと。

■筆者メッセージ
リクエストを頂き嬉しいのですが、この話はもう完成しているのでリクエストはまた違う作品で受け付けたいと思います、すいません。
愛生 ( 2014/02/28(金) 23:52 )