第4話
「陽向ごめんね…」と僕の背中の中で時々雨に降られながら僕に呟いた。
なぜこんな状態になったのか少し時間を巻き戻して説明しよう。
昼食後再集合し、山登りが始まった。各班での絆を深めるために班毎に皆バラバラで出発した。
最初は5人で仲良く話しながらのんびり山を登っていた。
斎藤は自分で言っていたようにあまり運動は得意では無いようだったので天気が崩れそうで心配だったが、スピードは斎藤に合わせてゆっくり目で進んでいった。
そんななんでもない時だった、前を進んでいた美鈴が「痛った!痛い痛い」とその場に座り込んだ。急いで近づいて話を聞くと楽しくて、テンションが上がり駆け上がろうとしたら普段の運動不足が祟ったのか足をひねってしまったらしい。
そこで僕は「僕と美玲は後からゆっくり2人で行くから、3人は先に上がって先生呼んできて」と3人にお願いすると了承してくれ、3人はこれまでよりも少し速いスピードで山を登って行った。
「よし、じゃあ行こっか。」と申し訳なさそうに下を向いている美玲に声をかけ、手を持ち立たせ、「はい、次は腕回して」と言い僕らは肩を組む形になりゆっくりながら登っていく。
暫くゆっくり進んでいると
「ごめんね、私のせいで」と言うので
「いいや、大丈夫だよ。3人が先生連れて降りてきてくれるし、落ち着いてゆっくり登ろう」と励ますように言った。
その時頭に
ぽつんぽつんと雨が降ってきた。
「雨降ってきた。レインコートあるでしょ?出して着よう」と声をかけ2人で色違いのレインコートを着る。そこから雨はそのまま降っている中ゆっくり登って行った。
その時には
「初めてのおそろいの服こんな時に着たくなかったよ」と冗談を言える位まで落ち着いていたので安心していたが
ザアザアと一気に雨が強くなる。
雨がピシャピシャとムチのように顔を殴りつける中雨を防ぐことのできる場所を探していた。
「陽向、寒い」と美玲が言うので急がないとダメだと思った僕は自分のリュックを前に抱え
「乗って」と背中を指さして言う。
「でも…」と躊躇する美玲を無理やり前から背負い先に進む。
少し進んだところにあった雨を遮ぎることのできる大きな木の下で僕たちは上から降りてくるであろう、先生たちを待つことにした。
そして今に繋がる。美玲が寒いそうなので降ろさずに背中に背負ったまま先生たちを待つ。
「ごめん、ごめん…」と上で言い続けている美玲に
「大丈夫、大丈夫」と落ち着かせるように言っていると僕もそこまでの疲れも相まって襲ってきて意識が朦朧とし始める。
「佐々木ー」「陽向君、美玲ー」と複数人の声が上のほうから声が聞こえてきた。最初は疲れからの幻聴かと思っていたが、どんどん声は大きくなってきて
「おい、居たぞー!」「早くしろ、早く」と先生達が寄ってきたので、
「とりあえず美玲を…」と先生に美玲を預けると僕は意識を手放した。