第2章
第12話
「あった、ここだよー!」

といつも以上に元気な美玲に手を引かれながらお目当てのパン屋さんに着いた。

「じゃあ、入るよー!」と言われ店に入ると焼きたてのパンの香ばしいにおいが店中に広がっていた。

パン屋には食パンをはじめとする美味しそうなパンが沢山並んでいた。

「どれも美味しそうだけど、お昼どれにする?」と美玲に聞くと

「ちょっと、黙って!私、今真剣に考えてるから。」ここまでのテンションとは打って変わって怒られた。仕方なく一人で店内をうろついて、昼に食べるパンを吟味し、食パンもいいなーと見ていると、選び終わったらしい美玲に

「食パンはパンじゃないからやめてね」と冷たく言われ

「なんか、昔から言ってるけどそれ何なの?」

「食パンは無味だからパンじゃないからダメ」

「その理論わけわかんないじゃん。でもほかにも良いのいっぱいあるし他のにするわ」
と目をつけていた2種類のパンをトレイに乗せ

「お待たせ、いくよ」と美玲に声をかけ2人でパンを買い、イートインスペースに腰を下ろした。

それから2人でパンを食べていると
「陽向、それクロワッサン大福だよね?それ買うか迷ったんだー。一口頂戴!」と可愛く言われるとほんとに美味しくて独り占めしようと思っていたのにいつの間にか腕を伸ばして美玲のまえに差し出していた。

「ちがう!アーン」と周りに誰もいないことをいいことに口開けてそこに入れるよう催促してくるのでこれは仕方ないことで自分の意志ではないと自分に言い聞かせながら口元まであげて食べさせてあげる。

「ありがと!お返しにアーン」とパンを差し出され食べる。


そんなこんなありながら食べ終わると美鈴がプリクラを撮りたいからとゲームセンターへ向かい、美穂と前に撮っていたのもあり、変に緊張はせず撮ることができた。

美玲からは美穂と同じ「財布に入れといて」とお願いされたので僕の財布の中には2人の違う女性と撮ったプリクラが入っていてなんでかわからないけど罪悪感を感じてしまった。




のぞみ ( 2019/01/17(木) 14:48 )