1話
彼女の名前は北川 綾巴。
彼女はこの町に引っ越してきたばかりだか、この町の人達はみんないい人ばかりで学校でもクラスの皆も彼女の事を歓迎してくれた。今では彼氏もいる。
今日は今から彼氏とデートだ。
「おっそーい!」
「ごめん綾巴、待った?」
「待ったわよ!何で遅刻したの?」
「せっかくのデートだからと思って服悩んでたら遅くなった。ホントごめん!」
デートに遅刻してきた彼氏にご機嫌斜めだった綾巴は自分とのデートのために服を悩んでたと知って機嫌が治る。
「そっか…。ならいいや!」
「許してくれるの?」
「うん!もう起こってないよ♪ほら!行こう!」
そう言うとデートを開始する。
そして夜…
「今日はありがと!楽しかった。」
「僕も楽しかったよ。…じゃあ、ここで。」
「うん、バイバイ〜!」
そう言うと二人は分かれ帰宅する。
ドンッ
綾巴は機嫌が良かったため、注意を怠り家の前で人とぶつかる。
「痛ってーな!」
「ひっ…あ、あの…」
綾巴はもともと人見知りが強かったのと、相手が怒っていたため謝罪の言葉が出なかった。
「ぶつかったら謝れよ!」
そう言うとその人は家に入って行った。そこは自分の家の隣だった。
「お隣さんかぁ…。目を付けられてたらどうしよう…。」
綾巴は引っ越してから隣人に一度も会ってなかった。なので仕返しされるのでは?などと思い怯えながら自分の家に入った。
一方、綾巴とぶつかった相手は神崎だった。神崎はぶつかったやつが隣人だと気付いていた。
(あの女…新参者のくせに俺にぶつかったのに謝らないとはいい度胸だ。今度たっぷりお返しさせて貰うぜ!)
神崎は次のターゲットを綾巴に絞り、作戦を考える。
それから数日後…
その日、綾巴は遊ぶ相手がおらず、だらだらしていた。彼氏を誘ったが塾があると言って断られた。暇だなぁなどと思っていた時だった。
「綾巴!ちょっと!」
と、母親に呼ばれめんどくさそうにリビングへ行く。
「綾巴、回覧板回してきてくれる?」
「えぇー!嫌だよ。お母さんが行ってきてよ。」
「そんなことを言わないで行ってきて。今お母さん今から仕事なの。お願い、渡して来て。部屋でゴロゴロしてるくらいなら少しは運動しなさい。」
と言うと母は仕事に出掛けた。
家の前でインターホンを押そうとするが、数日前のこともあり、なかなか押せなかった。けどいつまでも外には居なくなかったので勇気を振り絞ってインターホンを鳴らす。留守であることを祈った。
『はい、誰ですか?』
綾巴の祈りは虚しく相手が出た。
「回覧板です。」
『はい、ちょっと待って下さい。』
少しして、神崎が出てくる。
「君はこの前の…」
「あっ…ええっと、はいこれ」
綾巴はこの場を脱出するべくさっさと終わらせようとするが、
「中に入らない?この前イライラしてて少しキツく言っちゃったから謝りたいんだ。」
神崎は前回と異なり優しい口調でしゃべる。綾巴は断ろうとおもったが、実は優しい人なんじゃないか思い、また隣人とは仲良くしておいた方がいいと思ったので家の中に入る。これから悲劇が始まると知らずに。
神崎の家は以外と綺麗で少し良い匂いがした。
「あんまり見られると恥ずかしいな…。はいこれお茶。」
そう言うと綾巴の前にお茶とお菓子が置かれる。
「…ありがとうございます。」
綾巴はやはりまだ前回の神崎を思い出して警戒する。
「やっぱり僕のこと怖い?」
「はい、少しだけ…」
綾巴は神崎の質問に素直に答える。
「そっか…、なら改めて、この前はキツい口調で言って怖い思いさせてすみませんでした。」
「い、いえ!こちらこそ、ぶつかったのに謝りもせずにすみませんでした。」
神崎の誠意のある謝罪に綾巴も追うようにこの前の事を謝る。
「よかったぁ、仲直りできて。どうぞ食べていいですよ?仲直りの印に。」
「ありがとうございます。」
綾巴は一安心して、そう言うとお茶とお菓子を食べる。
数分後…
綾巴はテーブルに突っ伏して寝ていた。神崎は綾巴のお茶に睡眠薬を入れていたのだ。
(くくく、誰が仲直りするかよ!今からじっくり仕返しさせていただくぞ!)
神崎は不気味な笑みを浮かべて綾巴を寝室に連れ込んだ。