2話
神崎は指定された場所に向かった。
「ここは!」
そこは翔との一件の現場だった。
「やつが選びそうな場所だな。」
神崎は扉を開ける。
「やぁ!待ってたよぉ〜!!?」
扉の先には笑顔の翔が手を振っていた。
「遥香は無事なんだろうな?」
「顔怖いー!遥香さんが無事かは神崎くん次第だけどね。」
そう言うと後ろからぞろぞろと人が出てくる。前軍団とスーツ姿の男たちだった。
「明らかに高校生じゃねーのがいるな?またここで同じように負けたいのか?」
「まさか!今回君は勝てないよ?じゃあ皆やっつけろー!」
翔のその一言でスーツ姿の男たちは神崎に向かって突進する。
「潰す!!」
神崎も男たちの中に突進し決めた一人目掛けて殴り込んだ。しかし…
「ぐはっ!」
神崎の一撃はかわされカウンターを喰らった。
「ガキのパンチなんか喰らうかよ!」
「ぐぁっ!!」
強烈な蹴りが鳩尾に入る。
「どう?強いでしょ?だって喧嘩のプロ集団なんだよ?」
「なるほど…ヤクザか…こんなことできるやつは一人しかいねぇ…」
「ほらぶつぶつ言ってないで立って?君を殴りたいやつはまだまだいるんだから!」
神崎はヤクザに立たされ動けないように捕まえられる。
「この前のお礼…たっぷりしないとね?」
翔は神崎に近付くとメリケンサックをはめ鋭いパンチを打ち込む。
「ぐふっ!!」
「どーよ!?効いたでしょ!?」
「…へっ……蚊が止まったのかと…思ったぜ…」
翔は自慢げに言うと神崎はそれを馬鹿にする。
「なんだとぉぉぉお!!?なら君のことズタズタにしてミンチにしてやる!!!」
翔は急に激怒すると自分の意の向くまま神崎に暴力を振る。
「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおら!!」
「うぅ…ぐっ…あがぁ…」
神崎はとうとう膝を付いた。
「あはは…はぁ…はぁ…血塗れだね?…ほら皆も殺りなよ?…殺したいほど憎んでるんでしょ?」
翔は一段落すると前軍団にそう言った。すると軍団はお互い顔を見合わせると神崎に近付き翔と同じように暴力を振る。
「よくも俺の婚約者寝取ったな!?」
「俺の彼女を汚しやがって!!」
「殺してやる!!」
「私の嫁と娘を返せ!!」
「俺の彼女をよくも!この鬼畜が!ここで制裁を受けろ!!」
全員神崎に大切な人を奪われた恨みを晴らす。ある者は顔を踏みつけ、ある者は鳩尾にキックをし続け、ある者はバットで殴っていた。神崎は次第に防御していた腕が下がっていた。
「皆!ここでストップ!」
軍団は翔の言葉で暴力を止め、翔の方を向く。翔は神崎の髪を掴み顔を上げさせる。
「今日はここまでにしといてやる。遥香ちゃんを返して欲しかったら次の指令が来るまで大人しくしておけ。」
そう言い残すと翔たちは引き上げていった。
「くっ…そ…」
神崎はそのまま意識が遠くなるのを感じた。