加藤玲奈
2話
『神社の前に7時集合!』と自分で言っておきながら遅刻してしまった。せっかくできた彼氏との初詣&今年初デート。玲奈はとにかく走り続けた。

「れなっち〜!2時間遅刻だよ!?」

「ごめん!起きたらもう七時回ってた…」

「まぁいいや、とりあえず…明けましておめでとう!」

「おめでとう!!今年もよろしくね?」

それから玲奈は神社の各所を回った。しかし…

「うぅ…人混みで酔っちゃった…」

「大丈夫か?…ん〜、ならあっちの奥の方なら人少ないからあそこで落ち着いて来たら?御守りは俺がれなっちの分も買っとくからさ!」

「ごめん…ありがとう…うっ…」

そして玲奈は人の居なさそうな奥地に来た。

「んん〜!!空気がおいしい!!ん?でもなんか人の声がする…」

玲奈は誰か居るのかと思い声のする方へ行ってみると…

「キャッ!」

男女の行為を目の当たりにした。他人がしているのを初めて見た。叫んだ後すぐに口を押さえたが遅かった。二人がこっちを見ている。玲奈は反射的に逃げた。

(ヤバイ!!他人のエッチ見ちゃった!)

玲奈は彼氏の所に急いだ。しかし石で足を挫いて転んでしまう。

「あ痛!」

「おい…」

背後から声がする。しかもすごい怒りが籠っている。

「す、すみません!誰にも言いませんから!お願いだから見逃して!!」

「そいつは無理なお願いだ。他人のセックス見てタダで帰れるわけないだろ?」

「なら…どうしたら…?」

神崎はニヤリと笑った。

「そうだな…こっちは誰にも言われたくない物見られたんだからそっちも弱味を出していただこうかな?」

「そんな物…無いです…」

「なら仕方ない…お前にはここで死んでもらう。悪く思うなよ?お前の運が悪かっただけだ。」

そう言うと神崎はゆっくりと玲奈に近付く。玲奈は生命の危機を感じた。

「何でも言うこと聞きますから!どうか命だけは!!」

こんな台詞ドラマでしか言わないと思っていた。玲奈は土下座で頼んだ。

「そうかぁ…なら服全部脱げ。」

「へっ?」

玲奈の頭は一瞬フリーズした。この男は何を行っているのだろう?しかしその言葉を理解した瞬間玲奈は驚いた。

「そんな恥ずかしいこと!私にはできませんよ!!」

「でもお前にはそんなことより恥ずかしいもの見られたからな…やはりお前には…」

「わ、わ、分かりました!脱ぎます!脱ぎますから!!」

玲奈はいそいそと服を脱ぎ始めた。抵抗などなかった。なぜなら昔にもこんなことがよくあった。

昔の玲奈はいわゆる陰キャでよく髪型でバカにされた。ついたあだ名が『触覚女』。いじめは小学校からあり中学の時は特にピークだった。お弁当はトイレで食べていたし、その時に頭から水が降ってきたこともあった。

しかしそんな自分が嫌になった玲奈は遠くの高校を受験しなんとか合格した。髪型も変えやっと彼氏もできた。運が上を向いてきたと思ったらこの様だ。なにか悪いことをした訳でもないのに…

「脱ぎました…」

玲奈は今までの出来事がフラッシュバックしていた。そして脱ぎ終わり後ろを振り向くとスマホを構えていた神崎がいた。

「意外と結構いい体してるな?」

「撮らないで下さい!」

「お前が脱ぎ始めるところから撮ってたんだぞ?今更おせーよ。」

「そんな…」

「この動画…ネットやお前の学校にバラまいたらどうなるんだろうな?」

玲奈はどうしたらいいか分からなかった。目は泳ぎ、頭は真っ白だった。また中学の時のような思いはしたくなかった。でもこのままいいようにもなりたくなくった。

「わ…私だって外でエッチしてたことバラすわよ!?」

玲奈の人生最大の抵抗だった。しかし神崎の想定内だった。

「証拠は?あるのか?」

「それは…」

「もう分かっただろ?お前はもう終わりなんだよ。このまま好きにさせてくれれば悪いようにはしない。」

玲奈の脳内は真っ白から絶望の黒に塗り替えられた。どうすることもできない。そう理解した玲奈はコクリと頷いた。

■筆者メッセージ
皆さんにご報告です。
この作品をもうすぐ終わらせることにしました。なのでリクエストの受付を終了いたします。リクエストにお応えできなかった皆様、申し訳ございません。
そしてどうかこの作品を最後までよろしくお願いします!!
カルマ ( 2016/01/21(木) 22:42 )