1話
彼女の名前は松井玲奈。彼女はいつも電車で通学している。しかも普通電車で。それには理由があった。
(あっ…今日もいる…。)
玲奈は車両のど真ん中まで人混みを掻き分けて突き進み同じ年頃の青年の前で落ち着く。ここが彼女の特等席ならぬ特等位置だった。
(いつ見ても格好いいなぁ。どんな日でもいつもここにいるし。生活習慣が決まってるんだろうなぁ。まぁいつも本読んでて私のことには気付かないんだけどね…。)
玲奈は毎日この話したこともない青年の顔を拝むためにわざわざ長い時間をかけて普通電車で通学していた。卒業までには声をかけたいと思っているが人見知りの玲奈には困難なことだった。
(いつも何読んでるのかな?小説みたいだけど…面白いのかな?)
青年をじっと見つめていると気配に気付いたのかぱっと玲奈の方を向く。
(うわっ!ヤバイ!こっち見た!て言うかばっちり目が合った!!)
玲奈は驚きのあまり下を向く。青年は首を傾げてまた本を読む。
(あぁ〜、変な女って思われたかな?何見てんだよって思ったかな?…サイアク…。)
玲奈は青年に不快感を感じさせていないか心配していた。その時…
(ひゃっ!えっ…何?…)
玲奈の尻に人の手が強く当たる。
(特に揺れてなかったのに…よろけただけかな?)
と玲奈は気にしなかったが少しすると…
(ひっ!ま…また?…違う…この触り方はまさか…痴漢!?)
今度は当たったのではなく撫で回すような触り方だった。
(嫌だ…怖いよぉ…だ、誰?…ダメだ…周りに人が多すぎて分かんない…。)
玲奈は犯人を特定しようとするが通勤ラッシュと時間が重なっていて人が多いためできなかった。
(大声で叫ぶ?…いやいや!…あの人の前で痴漢だなんて大声上げたくない…!どうしよう…)
玲奈は打開策を考えるが目の前の初恋の相手に痴漢をされた女だと印象付けられたくないため何もできなかった。
(仕方ない…この人か私が降りるか満足するまで耐えるしかない…)
玲奈は色々試行錯誤したが結局耐えることしかできないと結論付けた。
(まだ終わらないの?私の降りる駅までまだまだあるよぉ…ええっ!?そんなことまでするの!?)
玲奈は早く終って欲しいと思ったが痴漢はエスカレートし玲奈のスカートを捲り下着越しに秘部を触り始めた。
(うわぁ〜、知らない人にアソコ触られてる!…気持ち悪い…)
玲奈は体中を力ませてただ耐えていた。しかし痴漢は更にエスカレートする。
「あっ!…」
玲奈は一瞬声を出してしまった。すぐに口を手で抑える。痴漢は下着を退けて指を入れてきた。
(嘘…ホントに指が入ってる…誰にも触らせたことないのに…え?でも私…濡れてる?)
玲奈は痴漢されている間に濡れており痴漢の指がすんなりと入っていった。
(やだ…なんかこの人上手い…私の弱い所ばっかり攻めてくる…)
痴漢は巧みに指を動かして玲奈を絶頂へ導く。
(あ…あ…もう…ヤバイ…イク…電車の中で…初恋の相手の前で…イク!…)
玲奈がそう思った瞬間
「○○駅〜!○○駅〜!」
大勢の人が流れるように電車から降りる玲奈はその人混みと共に押し出される。
「あ…危なかった…もうちょっとで私…」
玲奈は息を荒くしながら床にしゃがみこむ。一方その頃電車内…
「あーあ…あと少しで果てさせることができたんやけど…」
「まぁ今日は様子見だ…なかなか腕を上げたな?由依…」
「ありがとうございます。神崎様…。」
痴漢をしていたのは由依だった。なぜ神崎がしなかったのかと言うと気付かれると面倒だから。由依なら女なのでバレても誤魔化せれる。なので玲奈がキョロキョロしたときには完全に対象外だった。
神崎は玲奈が毎回この電車で通学しそれが初恋の相手がいるからだと知っていた。神崎は玲奈が痴漢されても耐えるタイプだと分かると作戦を開始する。