1話
彼女の名前は西野未姫。
彼女は元気だけが取り柄でいつも明るく皆のムードメーカーだった。そんな彼女には数ヶ月前から彼氏ができた。しかし彼女には悩みがあった。
「ごめんね、待たせたよね?」
「いや、全然。今回は未姫にしては早かったじゃん。いつもは倍ぐらい遅いのに!」
「うるさい!さっさと行くよ!」
今日はデートの日でテーマパークへ行く予定だ。
「俺あれ入りたい!」
「え…お化け屋敷?」
彼氏が指差した方には『呪怨の巣窟』なるお化け屋敷があった。未姫は根っからのびびりでこういうのは苦手だった。
「ち…違うの行かない?」
「大丈夫だって!俺が着いてるし。ほら、行くぞ!」
そう言うと彼女は未姫の手を引っ張ってお化け屋敷に入る。
数分後…
「いやー、怖かった!流石に最後の貞子が追っかけて来るのは焦ったわ!」
「もう二度とお化け屋敷なんか入るか!もう〜、声ガラガラだよー。」
未姫は序盤からずっと悲鳴を上げて若干声が荒れていた。
「ならどっかで飲み物飲むか!」
「うん!」
二人はその後お茶をするとテーマパークを満喫しる。そしてそのまま彼氏の家に直行した。
「未姫…好きだよ…」
「私も好きだよ?」
お互い見つめ合ったあと口付けをし彼氏が未姫をベッドに押し倒す。そして未姫の服に手をかけた時…
「ちょっ!ちょっと待って!!」
「えっ!?」
未姫は彼氏を突き飛ばし立ち上がる。
「あっ!ごめん…でも…あのね?…」
「いいよ、まぁまだそういうのは早いか!また未姫が決心できた時でいいよ?」
未姫は自分がしてしまった失態に泣きそうになったが彼氏は優しくそう言って頭を撫でた。そのあとは何事もなく解散した。
その数日後…
「ってことがあったの…」
「ふーん…」
未姫は数日前の自分の失態を親友の真子に相談していた。
「でもなんで拒否したわけ?好きなんでしょ?」
「うん…実はね…私、男性恐怖症みたいなんだよね…。」
「ええっ!?」
真子はいつも明るい未姫が男性恐怖症だなんて微塵も感じなかった。
「あっ!別に常に怖い訳じゃなくて…その…行為になったりしたら怖じ気づくんだよね…。」
「へぇ…いつから?」
「小学四年生ぐらいかな?私習い事の帰りで一人だしその上夜だったから怖かった。だから急いで帰ってたら突然呼び止められて振り返ったらさ居たんだよね…」
「何が?」
「変態…」
未姫は小さい頃に一人で夜道を急いで帰宅中に呼び止められてその方を向くと露出狂の変態に出くわし追いかけられたそうだ。未姫はその変態の裸体と恐怖が今でも忘れられないという。
「だからさ男の裸とか想像すると鳥肌たって震えが止まらないの。その日も想像しちゃって怖くなったの…どうやったら治るのかなぁ?」
真子は少し考えると何かを思い付いたようにニヤリと笑う。
「そういうの詳しい人知ってるよ?」
「ホントに!?」
「うん!今度紹介してあげる!」
未姫は真子にお礼を言うと移動教室だからと言って帰って行った。真子はその後に電話をかける。
「あっ、神崎様ですか?今ちょうどいい獲物見つけたんですけど…」