1話
「まさかそんなことがあっただなんて…」
翔は神崎の過去を聞いて同情した。
「あの日から彼は…輝は変わったの。今ではあの夏のことを後悔してる。私は輝が苦しそうなのを見ているのが辛かった!けど輝がこんなふうになるなんて思わなかったの!!お願い、今の輝を終わらせて!」
「言われなくてもしますよ。でもあなたのおかげでどう終わらせるか決まりました。必ず成し遂げます。」
翔は遥香の願いを聞き入れた。
「ありがとう。あなたを見ていると昔の輝みたいで…。でもあなたには道を誤って欲しくないの。あなたの作戦に私も入れて欲しいの、いい?」
「勿論です。それでは僕たちの基地に案内します。」
「あと…私たち同い年だから敬語はやめない?」
「…そうだね。」
こうして翔は新たに心強い助っ人の遥香を軍団に加えた。
後日、アジト内にて…
「明日、神崎に終止符を打つ。僕たちの戦いもこれで終わりだ!みんな…今まで着いてきてくれてありがとう!必ず勝とう!」
軍団の士気は最高潮だった。
作戦はまず、遥香が神崎を呼び出す。そこで待ち伏せをして今の神崎の状況を突き付ける。そこで神崎を更正させるというものだ。
(全て上手くいっている。神が僕に味方しているんだ!これならいける!!)
そしてとうとう決戦の日を迎えた。
「おい遥香、こいつはどういうことだ?」
神崎は遥香に呼び出され来てみると翔の軍団と自分の奴隷たちが待ち受けていた。
「お前たちもどういうつもりだ?」
「全てを終わらせるつもりだよ。そのために来てもらったんだ。」
「おいおい、何ふざけたこと言ってんだ?全てを終わらる?笑えるぜ!おいお前たち、こっちに来い!」
神崎は奴隷たちに自分の方へ来るように言うが誰も来ない。
「無駄だよ。彼女たちは正気に戻ったんだ。君が何を言っても彼女たちは従わないよ。」
「ちっ!お前…何をした?」
「何もしてない。彼女たちが本当に愛している人に気が付いたんだ。その心は君がどうこうできるものじゃないんだ!」
翔は畳み掛けるように言葉を続ける。
「君みたいに人の体を手に入れるのとは訳が違うんだ!愛し合っている人達の心はそんなに弱くない。君だって知っているだろう!?大切な人が奪われる悲しみを!なら分かるはずだよ今の僕たちの気持ちが!!それなのに君は平気なのかい!?」
翔は声を荒げながら熱弁する。その言葉にその場にいる全員が心打れた。
「神崎くん!君はどうして憎いやつと同じことをするだよ!!なんで罪もない人をそんな簡単に傷つけれるんだよ!そんなことしても意味ないよ!!」
神崎は崩れ落ちて頭を抱えた。翔はそこに歩み寄る。
「もうこんなこと辞めよう…。僕たちは話し合って君のことを許そうと決めていたんだ。だから…もう一度やり直そう?」
翔は神崎に手を差し伸べる。神崎はゆっくりとその手を取り起き上がる。
「良かった分かってくれて。なら僕たちは友達からやり直さない?」
「あぁ…そうだな。」
そう言うと二人は強く握手する。
(これでやっと…やっと終わるんだ…。)
「ぷっ!くくくっ!…ってなると思うじゃん!?」