1話
放課後の空が暗くなり始めどのクラブも帰った時間に真っ暗な教室で女子生徒が一人ポツンと突っ立っていた。そこへ体育系の教師が入る。
「待たせたな、木崎…」
その女子生徒はゆりあだった。
「木崎…」
教師はそう言うとゆりあを後ろから抱き締めた。
「手紙を見たよ…正直驚いた。まさか、俺に気があったとはな…」
「うん…でも先生には奥さんが…」
「いいんだ…もうとっくの昔に冷めてるしな…」
「それに、私たち生徒と教師の関係なんだよ?」
「構わないさ…俺はお前を一人の女として君の愛を受け止めるよ…」
すると教室が突然明るくなる。
「くくく…教師が生徒と不倫なんてしていいんですかー?」
教室の隅から声が聞こえる。
「か、神崎!?」
あまりの驚きに声が裏返る。教室が暗く目立たない所にいたため気付けなかった。
「こ、これはどういうことだ!?」
「それはこっちのセリフですよ。こっちはバッチリ告白シーン撮影できましたけど?最近のカメラはスゴイですよねー?暗くても電気がついているような明るさに変えれるんですって!」
教師は冷や汗が止まらなかった。唇は震えだし、目はキョドっていた。
「き、貴様らぁ…ただでは済まんぞ!!」
「何言ってるんですか?こればらされたら先生困りますよねぇ?」
「教師を脅すつもりか!!」
「つもりじゃなくて脅してるんです。あれ?これ前にも言った気が…」
「何が目的だ?」
「とりあえず調子のって怒鳴り散らかすの止めて、目障りだしウザい。」
「ってことらしいですよ先生?あと変なことしたらばらすんで覚えておいてくださいね?あと、他にもいろいろ頼むと思うんでしっかりやれよ?」
そう言うと教師を帰らせる。
「あの教師、新任のくせに俺にしつこいからこうなるんだ。今回はスカッとしたわ。よくやった、ゆりあ。」
「ありがとうございます。あの神崎さん…ご褒美今下さい。私のアソコ…もうヌルヌルなんです…お願いします、ここでしてください。」
そう言うとゆりあはスカートを捲る。その時だった。
「へぇ、寝取り以外にこんなことしてるんだ。」
そうやって教師とは違う入り口から入ってきたのはビビリこと宮脇翔だった。
「おいお前…何様だ?私のこと知らないわけないよね?」
そう言って近付くゆりあを神崎は彼女の前に腕を出して止める。
「別にいい。なんのようだ?」
「明日の放課後、僕と決闘しよう。僕がビビリじゃないって証明してやる。」
「嫌と言ったら?」
「さっきの会話を録音したこのボイスレコーダーをさっきの教師に渡すなり学校にばらすなりさせてもらう。」
「おいお前!いい加減にしねぇとマジでぶっとば…」
「ああ、分かった。」
ゆりあの言葉を遮るように神崎は返事をする。
「場所は後で送る。逃げるないでね?」
そう言うと翔は教室を出る。
「何あいつ!神崎さん、私に任せて下さい!あんなつボコボコに…!」
「いや、いいわ。ビビリが何するのか見物だしな。」
そう言うと神崎たちは帰っていく。
そして決闘当日…
神崎は法改正になると翔が指定した場所に向かった。
「やぁ、神崎くん。一人で来てくれたんだね。」
「お前ごときに数はいらない。早く済ませろ時間の無駄だ。」
「まぁ、待てよ。皆!出てきて〜」
そう言うと奥から数人の男たちが現れる。その男たちは神崎に彼女を寝取られたやつらだった。
「この人たちのこと覚えてるよね?僕は一対一なんて言ってないからいいよね?」
「へぇ〜、ズルくなったな。」
「おかげさまでね!」
そう言うと翔は走り出し仲間たちもそれを合図に一斉に神崎に襲いかかる。
「いいねぇ〜こういうの…青春って感じがするわ。」
神崎は一人ずつ確実に倒していく各個撃破で挑んだ。神崎はそういうタイプの不良では無かったが目の前の敵より場数は積んでいるためどんどん翔側の数が減っていっていた。
「クソ!皆大丈夫だ!この数なら勝てるよ!」
「ふん、勝てるわけないだろ?」
神崎は多少ダメージは喰らったがまだまだ平気だった。そして数十分で翔以外の仲間は戦闘不能になっていた。
「もう少し骨のあるやつを連れて来るんだったな?」
「ちっ!仲間の分も戦ってやる!」
翔は神崎に真っ向勝負を挑んだ。
「ふーん、強くなってるな。」
「この日のために色々習ったからね!必ず倒してやる!」
翔は今日のために空手や柔道などの武道を習っていた。全ては神崎に復讐を果たし由依を取り返すためだ。
「お前、俺と戦ってどうする?勝ったら由依が戻ってくると思ってるのか?」
「手始めにだよ!君をボコボコにしないと気が済まない!!」
翔は武道の技を組み合わせながら神崎に攻撃するが全く当たらない。
「畜生!なんで当たらない!?」
「そりゃあ、俺もやってたからだよ。」
神崎も昔に武道を習っており翔が繰り出す技を見切ることができた。
「結構努力したんだろうが…残念だな。そのレベルじゃあ俺には勝てない。」
神崎は技と技の間の一瞬の隙をすかさず突いて懐に入り込んだ。次の瞬間、翔は宙を舞った。神崎の渾身の一発で漫画のような距離を吹き飛んだ。
「ぐはぁっっ!!」
翔はダンボールの中に突っ込んだ。
「お前にいいこと教えてやるよ。」
神崎は翔に近寄り髪を掴み無理矢理目線を合わせる。
「優しさは…弱さだ。俺はこの言葉を一番嫌いなヤツから教わった。だが今は俺の座右の銘だ。だからお前も覚えとけ。」
そう言い残すと神崎は帰っていった。