1話
彼女の名前は渡辺美優紀。
あの国民的アイドルグループの一人で総選挙なるものでは12位を獲った。
そんな彼女はあんまり学校には来ず仕事に追われるが、暇があれば学校には来ていた。その理由はひっそり作った彼氏に会うためだ。
「ヤッホー、久しぶり!」
「みるきー!今日来れたんだ!」
「うん!でもお昼で仕事に行かなあかんねん。」
「そっか!でも、顔見れただけで俺は幸せだよ!」
二人は空き教室で密会していた。
「なぁ…最近してないやろ?キスとか…その先のこととか…」
美優紀はもじもじしながらそんなことを言っていた。
「分かった。したいんだろ?」
彼氏はそう言うと美優紀にキスした。会えなかった分を取り返すかのように長い間キスいていた。
「ぷはぁ…なぁ…もう我慢できへん…触って?」
そう言うと美優紀は自分のスカートを上げる。彼氏はゆっくりと手を近付けようとしたその時…
キーンコーンカーンコーン…
「もう!ええとこやったのに!!」
「仕方ないよ。これの続きは今度のオフの時にやろ?」
そう言うと二人は顔を赤くしながら空き教室から退出した。
ガタッ…
「あー、狭かった。だがいいのが撮れたぜ。」
その少し後に奥のロッカーから神崎が現れた。神崎は美優紀が今日学校に来ることも美優紀が朝にいつも彼氏と空き教室で密会することも知っていた。
「さぁて、どう揺するかなぁ?」
神崎はいつもの不気味な笑みを浮かべながら空き教室から出て行った。
そしてその日の昼休み…
「渡辺さん、先生が呼んでるよ?」
「えー、ほんま?どこって?」
「視聴覚室だって。」
「分かった。なんでやろぉ?」
美優紀はそう言うと視聴覚室に向かった。
「先生ぇ?居ますかぁ?」
美優紀は先生を探すが姿がない。しかし、突然暗転しスクリーンに今朝の一部始終が映される。
「なんやこれ!?誰がこんなこと…」
「俺だよ。」
そう言うと視聴覚室の隅から神崎が現れる。
「なんでこんなことするん!?こんなんバレたら退学やで!?」
「でもこれがバレたら君も相当ヤバイよね?こんなことしてるのバレたらアイドルはクビになるだろうし、社会的にも一生残る傷だよねぇ?」
美優紀はなんとか優位に立とうとするが、自分に不利なる一方だった。
「なぁ、見逃してくれへん?握手だってするし…あっ、なんならサイン付きの生写真とかも…」
「あー、俺そっち系じゃないから。てか、アイドルに興味ねーし。」
「なら何が目的なん?どうしたら見逃してくれるん?」
「そーだなー、なら今度のオフは彼氏じゃなくて俺に使って貰うかな。」
「そんなぁ!今度のオフは彼氏とデートしたかったのに!」
「うるさい!自分の立場考えて物言えよ!お前に拒否権はない!見逃して欲しかったら言う通りにしろよ。」
美優紀は仕方なく頷いた。こうして神崎はトップアイドルの1日を手に入れた。あとは堕とすのみだ。