第1章〜出会い〜
第2話
体育館に着くと、まもなくして始業式が始まった。

校長先生の話が始まると、みんなの顔がだんだん退屈そうになって来た。そう、うちの学校の校長先生は、やたらと話が長い。その話には特別大事な内容はなく、ただただ校長先生の話たいことを話しているといっても過言ではない。これを、始業式、終業式と繰り返すたびに聞かされるのだから、嫌になるのも無理はない。

僕も退屈になって来たので周りを見渡してみる。改めて見てみると、男子の生徒数が少ないということを実感する。なんせ全校生徒460人に対して、男子は100人いるかいないか、割合にしてその比は大体8:2である。だから、各学年5つの組があるものの、1組における男子はせいぜい6.7人である。何でも、ほんの5年前までこの学校は女子校だったらしく、その翌年から共学になったんだとか。共学の学校になった年の男子生徒数はたった10人だったというのだから、これでも増えた方だと言うのだから驚きだ。

ちなみにうちのクラスは40人中男子は僕と圭介を含めて6人だった。圭介は小学校からの友人で、頭はそんなに良くないが、顔立ちもよく、スポーツに関してはずば抜けた才能を持っており、1年の頃からバスケ部でスタメンに入るほどであった。常にバスケットボールを持ち歩いているようないわゆるバスケばかなのだが。

周りを見渡していると、少し斜め後ろにいる白石と目が合った。白石はこっちを見ると、にっこりと微笑んだ。相変わらず可愛い。白石は中学からの同級生で、中学2年の時に初めてクラスが同じになったのをきっかけに仲良くなった。その容姿端麗さと性格の良さ、たまにお茶目なところが、数多くの男子を虜にする彼女の魅力である。しかしながら、今まで一度も彼氏ができたことがないと言うのだから、驚きである。いったいどれだけの男が玉砕して来たのだろう。


そんなことを考えているうちに、校長先生の話が終わった。あー、もうすぐ戻れる、そう思った矢先、司会の教頭先生の口から発せられたのは予想していなかったものだった。

教頭「えー、それでは次にですね、急なんですが、今日から新しくこの学校に来た転校生を紹介します。」

ん?転校生?そんなの一言も聞いてない...まさか、僕が居眠りしてる間に設楽先生言ってたのか、なんて考えていたが、同じクラスの生徒たちもザワザワしているところを見ると、みんなも今聞いたらしいので、安心した。

すると、ひとりの女子生徒がステージに向かい、教団の前で立ち止まった。

「はじめまして、今日からこの学校で一緒に学ばさせていただきます、齋藤飛鳥です。よろしくお願いします。」


Ryu ( 2018/09/06(木) 05:44 )