06
二人の散歩の少し前のこと。友香の父親は少女売春の罪が確定し、逮捕へ踏み込む為の働きを警察が密かにしていた。
それに自宅の庭の不自然な何かを埋めた跡がいくつか見つかった。その殆どは埋めた跡しか発見できなかったが、その一つから見つかったものによって実の娘への性的虐待も認められようとしていた。
そう言った事実があれば友香の罪は軽くなるかもしれないが、彼女の命はもう消えようとしている今、罪が軽かろうが重かろうがもう意味を成さない。
友香が居たはずの病室には心臓に果物ナイフの刺さった仰向けの父親の死体。病院から通報を受けていた警察はすぐに事情聴取のため二人を追った。
程なくして足はつき、河原の道へパトカーを走らせると近くの木の下にて疲れて眠っているような友香と、一人で喋り大笑いしている聡志を見つけたが警察は暫くは声を掛けられずにいた。
何年も花を咲かせていない桜の木の下で、儚げな花が狂い咲いている。
少年の問いに少女が答えることはない。もう二度。