TAKE7
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俺は部屋に奈々未と飛鳥を呼んだ。
「どうしたの?急に話って」
「飛鳥 奈々未、俺来月からドイツ行くことになった。」
「え、なんで?いやだよ。お兄ちゃんいなくならないで!」
「まぁ話は最後まで聞いてくれ。ずっと行くわけじゃないから。長くても一月までだから。国際大会に出るだけだから。その代わり決勝までいったら選手権は出れない。それは理解してくれ。」
「いい顔してるじゃん翼。いいんじゃない?行っておいで!その代わりちゃんと帰ってくること!いい?」
「お姉ちゃんが言うなら・・さみしいけど。ちゃんと帰って来いよ!バカ兄貴」
「たりめーだ。カワイイ姉貴と妹を置いて行ったりしねーよ。」
奈々未と飛鳥は思い切り抱き着いてきた。
「やめろ!苦しい!重い!死ぬ!」
「女の子に重いって言ったな?飛鳥!もっとやっちゃおう!
「おーー!」
相変わらずの姉妹だ。ただ今の俺にはうれしかった。こんなにも思ってくれる家族がいる。それだけで幸せだった。

翌日俺は職員室で監督に思いを伝えると快く送り出すと言ってくれた。
放課後部活前に俺のドイツ行きを部員に伝えると
「夏のインターハイ。正直お前に頼ってた部分が多かったからな。そろそろみんなが主役になるのも悪くない。」
なんて笑いに変えてくれた。
ほんと最高の仲間に出会えてよかった。
帰り道鷹山と歩いていた。
「三年生と選手権出れないのは申し訳ないけど、鷹山がいれば大丈夫でしょ?」
「もう翼は勝手だな。まぁいいよ。君と再会するときは選手権MVPとして会おうかな。」
「鷹山なら大丈夫だよ。あと、七瀬のことよろしく頼む。」
「世話の焼ける親友だよまったく。」
「それみずほのセリフだぜ」
お互い笑いながら俺は七瀬の家へ向かった。
「どないしたん??急に話があるって。」
「七瀬、俺来月から二か月ドイツに行く。」
「え?なんで?選手権はどうするの?」
俺は事情を話した。
「そうなんや・・・なな一人になってまうのか」
「本当に七瀬には申し訳ない決断をしたと思う。ごめんね。わがままで。でも一つ約束する。絶対七瀬のもとへ帰ってくる!欧州チャンピオンとして。だから待っててほしいんだ。」
「ええよ?その代わり!帰ってきたらたくさん甘えるで!デートもたくさんいくで!ええな?」
「もちろん!おれも七瀬とデートしたいし。」
「なら待ってるで!」

様々な気持を胸に俺は再びドイツへ向かった。
ドイツへ着くと懐かしい匂い 景色を目にした
がんばんねーとな。
俺はドルトムントに向かいチームに合流した。

翼がドイツへ渡り一か月したころ。
ドルトムントが順調に勝ち上がってるニュースが日本でも報道され
翼の活躍も日本に伝えられていた。
「お兄ちゃんだ!ママ!お姉ちゃん!」
「あの子がんばってるじゃない!」
「当たり前じゃない!私の弟だからね」
いくら喜んで送り出したとはいえ心配しないわけがない。こうゆう便りが何よりの幸せだった。

それから数週間たった時だった。
衝撃のニュースが日本に届いた。
「ドルトムントU-18所属の西條翼選手がドイツで事故に遭い意識不明の重体になっています。発見された際に右足を骨折している状態で発見されたとのことです。」

シベリアス ( 2018/07/11(水) 22:09 )