TAKE3
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学校も一学期が終わりいよいよ明日開催地愛知県名古屋へ向かう。
夏休みということもあり希望者は学校からバスで行けるらしく白石 七瀬 千歳の彼女衛藤
飛鳥 鷹山の妹の未央奈もくるらしくちゃんと優勝をプレゼントしたい。
出発前夜
夕食を食べていると
「ねえ翼、優勝できるの?」
姉貴が唐突に訪ねてきた。
「どうかな日本の全国大会のレベルがどんなものかわかんないけどたぶん大丈夫っしょ」
「それならいいけどやるからには優勝してきなさいよ!」
姉貴の言葉は不思議と体内でうまいことモチベーションに変換できるのでありがたい。
「ちゃんと日本一になって帰ってくるから!」と姉貴の頭を撫でた。
すると
「おいバカ兄貴、飛鳥ちゃんの頭もなでろ!」
あー出た出た。ここ最近なんでかはわからんが姉貴と飛鳥が妙に張り合っているのをよく見る。
そうゆう年頃なのかもなと安易な考えで解決させ
「はいはい!応援頼むよ!」と飛鳥の頭をなでる。
夕食を終え部屋でストレッチしていると
ノックしながら姉貴が入ってきた。
「なに?どしたの?」
尋ねるといつになく真剣な顔をしている姉貴
「ねぇお願いがあるんだけど・・」
なんだろうこの感じどっかで・・・
思い出せないけど前にもあった
「姉貴って呼ぶのやめて。」
「いきなりどうしたの?じゃぁなんて呼ぶの?お姉ちゃん?姉ちゃん?奈々未姉ちゃん?」
自分で言ってなんだが奈々未姉ちゃんは100%ない。
すると頬を赤らめながら
「奈々未がいい」
奈々未ね・・・・って呼び捨てかぁ
「いや一応姉なわけだからその」
「なに?いやなの?」
だめだ。一度言ったら折れない人なの忘れてた。
「いやじゃないけど、慣れるまでは時間かかるかもしれないからそれは勘弁して」
「じゃぁ今試しに呼んでみ?」
これは言わないと部屋に戻らないと踏んだ俺は勇気を振り絞り
「な、な、奈々未?」
「なーに?」
いや呼べといったのはあんたでしょ!と突っ込みたくなる。
「明日早いからそろそろ寝るから、部屋戻って。」
姉貴は立ち上がり素直に部屋に戻ろうとする
これはご機嫌取りのチャンスだと思い俺は
「じゃ!おやすみ奈々未!」
どうだ・・・・・・・
ちらっと姉貴のほうを見ると満足げに
「よろしい。さすが私の弟だ。」と笑顔で
部屋に戻っていった。
一息つくと睡魔がやってきた。
いよいよ明日移動して明後日は開幕戦だ。きっと大アウェイだ。
ただそんなのは負けていい理由にはならない。
選択が正しかった。それはあいつらに証明してみせる。

日付が変わり出発の朝
アラームが鳴る前に俺は目覚めた。
うん、問題ないコンディションは大丈夫。
朝食を済ませ荷物を確認して学校へ向かう。
玄関へ向かうと
両親と姉貴と飛鳥が見送りにきた。
「翼、何も言わん。がんばってこい。」
親父はあまり多くを語らない。だけどそれだけでもうれしいもんだ
「けがに気を付けてね。お父さんと応援いくから」
今思えば小学校から始めたサッカーを両親一緒に見に来てくれたことは一度もなかった。
素直にうれしい気持ちで溢れた。
「親父、母さんありがとう。応援よろしく。ちゃんと点きめてくるから」
お、素直に母さんって言えた。なんて自分で感心していると
母さんの頬を水滴がつたっていた。
「翼、ありがとう」
その一言で気づかされた。俺は相当気を使わせていたんだと。だからこれからはちゃんと恩返しをしようと。
「こっちのセリフだよ母さん。これからも頼むよ」
母さんと初めての握手を交わした。これは一生忘れないだろう。

「せっかく飛鳥ちゃんが応援してあげるんだから負けたら許さないからな!」
もーこの妹はまったく。ただ飛鳥がきてくれるのも素直にうれしい
「負けないよ。んで飛鳥をちゃんと勝利の女神にしてやるよ!」
お決まりの頭なでなで
飛鳥はうれしそうにしている。
「優勝してこい!お兄ちゃん!」
初めて飛鳥にお兄ちゃんと呼ばれた。これは・・・
「翼。楽しんできな。そうすれば大丈夫だから」
姉貴にしては珍しくソフトな言葉のチョイスだ。と思いながら
「任せて。日本一の姉貴にするから奈々未を!」
忘れずちゃんと呼び捨てで伝える。

シベリアス ( 2018/04/26(木) 01:02 )