28話
A.M7:30 週が明け、また新たな1週間が始まる。
「祐希、おれ先に行くから、鍵よろしくな」
「お兄ちゃん早くない?いつももうちょっと家出るの遅いのに」
「ちょっとね」
「まさか女の子と待ち合わせでもしてるの?」
「うん」
「そんなわけないよね。どーせ京…え!?お兄ちゃん本当!?」
「うん、いってきます」
僕は玄関の扉を開け、家を出る。祐希は玄関の向こうで何か言っているが何を言ってるか聞き取れなかったし、彼女を待たせてしまっては悪いので祐希のことは無視して家をあとにした。
僕が待ち合わせ場所に着いた時にはすでに彼女はそこにいた。
「ごめんお待たせ」
「ううん、私も今来たところです」
「べつにいいよ、敬語じゃなくて」
「はい、わかりました。あっじゃなくて、うん、わかった。」
「じゃあ行こっか。菜緒」
歩き出すと彼女は僕の右腕に腕を巻き付けてきた。僕は彼女がいる右側を向いた。
「湊君いやだった?」
彼女は上目遣いで僕の方を見ている。
「ううん、そんなことないよ。ただ、菜緒もそういうことするんだなって思って。恥ずかしくてできないとか言うと思ってた」
「恥ずかしいけど、彼氏ができたらやってみたかったから…」
俯きながら頬を赤める彼女の姿を見て、僕は思わず彼女の頭を撫でた。
「湊君!?どうしたの急に?」
「ううん、なんでもない」
僕は彼女と一緒に学校へと向かって行った。