3章
17話
体育祭は順調に進み、次の種目は男女混合二人三脚だ。

「湊がんばろうね!」

瑞穂が拳を突き出してくる。

「おう!」

瑞穂の拳に、拳を重ねる。

「いちについて、よーい」

「パンッ!!」という銃声によって二人三脚はスタートした。僕たちのクラスの第1走者は片山と守屋だ。スタートとともに快調に走りだした2人は、他のクラスのペアを数メートル離して、第2走者の北村と高本にバトンを繋ぐ。

北村と高本は他の組に差を少し縮められながらも1位でバトンを、アンカーである僕と瑞穂に繋いでくれた。

「1,2,1,2」と声をかけ息を合わせながら、一歩ずつ踏みだし、そして加速する。そして他の組を引き離し1位でゴールテープを切った。

ゴールし、お互いの足首を繋いでいた紐を解き、立ち上がると瑞穂が抱きついてきた。

「やったね!!!」

「おい!瑞穂何やってんだよ、こんなとこで!」

外野にいる生徒から歓声が上がる。歓声により、自分がしたことに気づいた瑞穂は僕から離れた。顔見ると真っ赤に染まっていた。

グランドから退場し、クラスの待機場所に戻ると男子に囲まれ、京介からヘッドロックをかけられた。

「おまえ、いつから土生とあんな関係なったんだよ!」

「べつに、ただの友達だよ」

「ただの友達が、抱きつくかよ!」

「知らねぇよ、てか離せよ!」

「おぉ悪い悪い」

京介のヘッドロックから解放される。

「湊、本当に土生とはただの友達なのか?」

「そうだよ」

「だってさ!みんな」

僕と京介を囲んでいた男子は、去って行った。背後から視線を感じたので後ろを振り返ると数人の女子が殺気だった目を向けてきていた。たぶん瑞穂のファンだろう。瑞穂の女子人気の高さを再認識させられ、それと同時に自分の身の危険も少し感じさせられ、瑞穂のファンは怒らせないようにしようと心に誓った。


■筆者メッセージ
閲覧数が9000を超えました。誠にありがとうございます。

これからも読んでいただけると幸いです。

もしよかったら、拍手、メッセージをお願いします。
アゲハ ( 2019/01/19(土) 18:37 )