2章
7話
水族館内のフードコートで昼食をとり、堀の提案でイルカショーを見に行くことになった。イルカショーの会場に行くとクラスのほとんどが見に来ていた。

「おい湊!こっちこいよ!」

一番前の列に座っている京介から呼ばれた。

「ごめん。みんなあそこでもいい?」

「おれは全然いいよ!」

「いいよ!」

山崎も指で丸を作ってくれ、班のメンバーは了承してくれた。そして、京介の班と一緒にイルカショーを見ることになった。

1列目に、京介と一輝、あと京介の班の男子の佐々木蓮の4人で座った。1列目は水がかかるかもしれないというアナウンスがあっため、1列空け、3列目に堀、山崎、京介の班の土生瑞穂と長濱ねるの4人が座った。

イルカショーが始まり、イルカがジャンプすると歓声が上がり、拍手が起こった。その途中、目の前でイルカがジャンプし、大きな水飛沫が上がり1列目に座っていた男子4人は全身濡れてしまった。それを見て後ろの女子や他のクラスメイトたちは爆笑していた。そしてその後もショーは続き、最後中央でイルカが大ジャンプを見せ、イルカショーは終わり会場は拍手で包まれた。

「やべー超ビショビショだぞ湊」

「それはお前もだ京介。これ帰るまでに乾くかな?」

「乾かなかったらやべーな。まぁなんとかなるだろ」

京介と話していると、小池が京介の傍にやってきた。

「これ、使ってええで」

小池は京介にタオルを渡した。

「小池、サンキュ!」

ふと周りを見ると、山崎が仲島に声をかけタオルを貸そうとしている。『なんだここはリア充の巣窟か』などと、心の中でツッコミを入れていると、後ろから肩をたたかれ、後ろを振り返る。

「海崎君、これよかったら使って」

長濱が少し頬を赤らめながらタオルを持って立っていた。

「いいの?ありがとう」

長濱から借りたタオルで髪などを拭いた。

「長濱ありがとう!また洗って返すわ」

「いいよべつに」

「でも悪いし、洗うよ」

「じゃあまたいつでもいいから返してね」

そう言って長濱は土生の元へと走っていった。

周りを見ると、なぜか、佐々木がタオルを三つ持っていた。不思議に思った京介が佐々木に尋ねた。

「佐々木なんでタオル三つも持ってんの?」

「誰も貸してくれる人がいない俺に、かわいそうだからって堀と土生と秋元が貸してくれた」

「あーね」

「悲しいことを自分で言わすな!」

その場は笑いに包まれた。その後は、水族館のお土産コーナーを見てバスへと戻った。帰りのバスは、賑やかな行きのバスと違い、みんな疲れ切ったらしく、寝てしまい、静かな車内だった。気が付けばバスは学校まで戻ってきていた。




アゲハ ( 2019/01/08(火) 19:33 )