7話
水族館内のフードコートで昼食をとり、堀の提案でイルカショーを見に行くことになった。イルカショーの会場に行くとクラスのほとんどが見に来ていた。
「おい湊!こっちこいよ!」
一番前の列に座っている京介から呼ばれた。
「ごめん。みんなあそこでもいい?」
「おれは全然いいよ!」
「いいよ!」
山崎も指で丸を作ってくれ、班のメンバーは了承してくれた。そして、京介の班と一緒にイルカショーを見ることになった。
1列目に、京介と一輝、あと京介の班の男子の佐々木蓮の4人で座った。1列目は水がかかるかもしれないというアナウンスがあっため、1列空け、3列目に堀、山崎、京介の班の土生瑞穂と長濱ねるの4人が座った。
イルカショーが始まり、イルカがジャンプすると歓声が上がり、拍手が起こった。その途中、目の前でイルカがジャンプし、大きな水飛沫が上がり1列目に座っていた男子4人は全身濡れてしまった。それを見て後ろの女子や他のクラスメイトたちは爆笑していた。そしてその後もショーは続き、最後中央でイルカが大ジャンプを見せ、イルカショーは終わり会場は拍手で包まれた。
「やべー超ビショビショだぞ湊」
「それはお前もだ京介。これ帰るまでに乾くかな?」
「乾かなかったらやべーな。まぁなんとかなるだろ」
京介と話していると、小池が京介の傍にやってきた。
「これ、使ってええで」
小池は京介にタオルを渡した。
「小池、サンキュ!」
ふと周りを見ると、山崎が仲島に声をかけタオルを貸そうとしている。『なんだここはリア充の巣窟か』などと、心の中でツッコミを入れていると、後ろから肩をたたかれ、後ろを振り返る。
「海崎君、これよかったら使って」
長濱が少し頬を赤らめながらタオルを持って立っていた。
「いいの?ありがとう」
長濱から借りたタオルで髪などを拭いた。
「長濱ありがとう!また洗って返すわ」
「いいよべつに」
「でも悪いし、洗うよ」
「じゃあまたいつでもいいから返してね」
そう言って長濱は土生の元へと走っていった。
周りを見ると、なぜか、佐々木がタオルを三つ持っていた。不思議に思った京介が佐々木に尋ねた。
「佐々木なんでタオル三つも持ってんの?」
「誰も貸してくれる人がいない俺に、かわいそうだからって堀と土生と秋元が貸してくれた」
「あーね」
「悲しいことを自分で言わすな!」
その場は笑いに包まれた。その後は、水族館のお土産コーナーを見てバスへと戻った。帰りのバスは、賑やかな行きのバスと違い、みんな疲れ切ったらしく、寝てしまい、静かな車内だった。気が付けばバスは学校まで戻ってきていた。