2章
6話
バスを降りて、自由行動の班ごとに整列する。

「集合時間は3時だからな!ちゃんとそれまでに戻って来いよ。じゃあ楽しんで来い!」

設楽先生の合図ともに、各班ごとに行動を開始した。今回の班は男子2人女子2人の4人グループになるように、事前にくじよって決められていた。

「これからどうする?」

学級委員長の仲島一輝が尋ねてきた。仲島は社交的で、みんなに優しく、爽やかイケメンだ。

「とりあえず、順路通り歩いてみよ!」

「そうだね!」

堀未央奈の提案に山崎怜奈が賛同する。堀は中学から学校が一緒で、飛鳥の親友だ。少し変わっているが、飛鳥曰くいいやつらしい。山崎は成績が学年トップ10に入る才女だ。歴史が大好きらしい。

このクラスの遠足の場所は水族館だ。4人で順路進んでいると、仲島と山崎が話しているので、堀と会話をすることになった。堀とは中学から一緒だが、二人で会話するのは今回が初めてかもしれない。

「前の二人楽しそうだな」

楽しそうに話している仲島と山崎を指さす。

「ザキは仲島くんに絶賛片想い中だからね」

「え!?そうなの!?」

「あっ!これ内緒のやつだった。誰にも言わないでね」

堀は顔の前で手を合せてお願いしてくる。

「わかったよ。だれにも言わない」

このとき堀には内緒の話をするのはやめておこうと思った。。

「でもごめんね。相手が私で。本当は飛鳥がよかったでしょ?」

堀はニヤニヤしながらこちらを見てくる。堀の質問に、噎せてしまった。

「な、なんでそこで飛鳥の名前が出てくるんだよ」

「海崎君って本当わかりやすいよね。中学の頃から飛鳥の横で君たちのやりとり見てたんだよ?まぁ海崎君が飛鳥のこと好きなのは、みんな分かってたけどね。当の本人の飛鳥以外」

自分の行動はそんなにわかりやすいことに自覚はなかった。それよりもみんなにバレていたのは恥ずかしい。中学時代の自分の姿を思い出し、穴があったら入りたい気分になった。

「海崎君はどうするの?」

「どうもしないよ」

「まぁ飛鳥には成瀬君いるしね。成瀬君じゃちょっと分が悪いか」

「ちょっとなんてもんじゃないよ」

「そうかな?私は海崎君けっこうかっこいいし優しいし、いいと思うけどな」

「え!?」

「中学の時は飛鳥がいたからだれも告白しなかったけど、海崎君好きって子何人かいたよ」

「そうなの!?」

「うん。中学の時よりモテてるでしょ?この前告白されてなかった?隣のクラスの上村さんだっけ?」

たしかに堀の言う通り、中学性の時は告白されたことはなかったが、高校に入って、有り難いことに上村含め3人に告白された。

「てかなんで堀そんなこと知ってんだよ」

「なんでかな〜」

女子の情報力が恐ろしいなと思った瞬間だった。



アゲハ ( 2019/01/08(火) 18:46 )