6話
バスを降りて、自由行動の班ごとに整列する。
「集合時間は3時だからな!ちゃんとそれまでに戻って来いよ。じゃあ楽しんで来い!」
設楽先生の合図ともに、各班ごとに行動を開始した。今回の班は男子2人女子2人の4人グループになるように、事前にくじよって決められていた。
「これからどうする?」
学級委員長の仲島一輝が尋ねてきた。仲島は社交的で、みんなに優しく、爽やかイケメンだ。
「とりあえず、順路通り歩いてみよ!」
「そうだね!」
堀未央奈の提案に山崎怜奈が賛同する。堀は中学から学校が一緒で、飛鳥の親友だ。少し変わっているが、飛鳥曰くいいやつらしい。山崎は成績が学年トップ10に入る才女だ。歴史が大好きらしい。
このクラスの遠足の場所は水族館だ。4人で順路進んでいると、仲島と山崎が話しているので、堀と会話をすることになった。堀とは中学から一緒だが、二人で会話するのは今回が初めてかもしれない。
「前の二人楽しそうだな」
楽しそうに話している仲島と山崎を指さす。
「ザキは仲島くんに絶賛片想い中だからね」
「え!?そうなの!?」
「あっ!これ内緒のやつだった。誰にも言わないでね」
堀は顔の前で手を合せてお願いしてくる。
「わかったよ。だれにも言わない」
このとき堀には内緒の話をするのはやめておこうと思った。。
「でもごめんね。相手が私で。本当は飛鳥がよかったでしょ?」
堀はニヤニヤしながらこちらを見てくる。堀の質問に、噎せてしまった。
「な、なんでそこで飛鳥の名前が出てくるんだよ」
「海崎君って本当わかりやすいよね。中学の頃から飛鳥の横で君たちのやりとり見てたんだよ?まぁ海崎君が飛鳥のこと好きなのは、みんな分かってたけどね。当の本人の飛鳥以外」
自分の行動はそんなにわかりやすいことに自覚はなかった。それよりもみんなにバレていたのは恥ずかしい。中学時代の自分の姿を思い出し、穴があったら入りたい気分になった。
「海崎君はどうするの?」
「どうもしないよ」
「まぁ飛鳥には成瀬君いるしね。成瀬君じゃちょっと分が悪いか」
「ちょっとなんてもんじゃないよ」
「そうかな?私は海崎君けっこうかっこいいし優しいし、いいと思うけどな」
「え!?」
「中学の時は飛鳥がいたからだれも告白しなかったけど、海崎君好きって子何人かいたよ」
「そうなの!?」
「うん。中学の時よりモテてるでしょ?この前告白されてなかった?隣のクラスの上村さんだっけ?」
たしかに堀の言う通り、中学性の時は告白されたことはなかったが、高校に入って、有り難いことに上村含め3人に告白された。
「てかなんで堀そんなこと知ってんだよ」
「なんでかな〜」
女子の情報力が恐ろしいなと思った瞬間だった。